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Arms・Front  作者: 白兎
東京襲撃
89/120

89話 行動

「ぐっ…!」

振り下ろされた拳を受け拘束された椅子ごと蒼嵐は吹き飛ぶ。

「けほっ…」

「蒼嵐っ!」

結彩は視界を覆い尽くすほどの大柄なボスを睨む。その反抗的な目を見てボスは結彩にも拳を振り下ろす。しかし結彩は椅子の後ろに体重をかけ椅子を倒す。それと同時に足を突き出し拳を弾き飛ばす。

「ヘル!」

「ういっ!」

結彩と合図で結晶からヘルが飛び出し男達をかく乱する。

「蒼嵐!ナイフ!」

「わ…分かった…」

その間に結彩は蒼嵐からナイフを受け取り自分を縛る縄を切る。そして素早く蒼嵐を縛る縄も切る。

「大丈夫?動ける?」

「うん…大丈夫…」

男達がヘルに混乱させられているあいだに二人は部屋から出る。続いてヘルも部屋から出ようとするが右腕に砲塔を出現させ天井に向けて砲弾を放つ砲弾は天井を崩落させ追ってくるまでの時間を稼ぎ二人を追いかける。

「っ!」

結彩は一つの部屋の中に飛び込み鍵を閉める。

「蒼嵐!」

「心配…ないわよ…」

と口から流れる血を拭う。

「本当なら憐斗達が助けに来たタイミングで奇襲をしようと思ったのだけど…」

「ごめん…」

「蒼嵐を責めてるわけじゃないけど…とにかく…蒼嵐の傷を手当てしないと…」

(憐斗…)

ーーーー

「横浜までどれくらいかかりそうだ?」

「あと20分ほどかかります!」

「くっ…!羽根、玖由偵察を頼めるか?」

「わ…分かりました!」

「了解」

羽根は車の天井を開け外に出る。車のスピードに小さく悲鳴を上げながらも結晶を包み込む。すると結晶がガラスのように割れ武装は零戦五二型甲へと変化し羽根に纏う。そして羽根は分厚くなった翼を広げ空に飛び出す。続いて玖由が艦載機を発艦していき羽根の指示に従うように命令し跡を追わせた。何も出来ないもどかしさを我慢しながら憐斗は前を見る。

(待ってろ…二人とも…!)

ーーーー

「革命軍の本拠地に殴り込みに行くの!?」

「声が大きい…」

明歌の口を葵は抑えながら呟く。

「やっぱりアームズなんか頼れない…だから!」

「止めたりはしないよ…ただ、葵は巻き込まれて欲しくないかな…」

「巻き込む…何に?」

「助けに行くなら教える事が出来ない…」

明歌は俯きながらそう言い小さく「ごめん」と謝る。その様子を見た葵は戸惑う蒼嵐を早く助けに行きたいが明歌が自分を何から守ろうとしているのかが気になるのだった。しかしこうしている間にも蒼嵐の身に何かが起きているかもしれないという焦りが募り

「分かった…」

と言い葵は部屋を出ていく。葵が出て行き部屋に取り残された明歌は

「そう…だよね…なら、私は私に出来ることで葵をサポートしないと!」

と自分の頬を思いっきり叩く。あまりにも力強く叩きすぎたため数十秒悶絶した後、明歌は勢いよく部屋を飛び出した。

ーーーー

「っ…」

物陰から様子を見る羽根は周囲を警備する男達の人数と配置をメモする。

「艦載機達屋上の偵察お願い」

羽根の言葉を聞き玖由の艦載機は上昇し無線で屋上の状態を伝える。

「屋上には機銃が配置されている…と…空からの奇襲を困難にさせるためかな…面倒くさいことを…それにしても警備が手薄なような…」

と羽根がため息をつくと同時に艦載機達が羽根の元に戻ってくる。

「お疲れ様です」

そう艦載機に声を掛けた時再び無線が鳴り憐斗の声が聞こえる。羽根は慌てて無線を耳に当てる。

「羽根、そっちの状況はどうだ?」

「周囲の状態は把握出来ました」

「分かった、あと5分程で到着するからその場所で待機していてくれ」

「分かりました」

無線を切った後羽根はその場に座り込み自分の武装に触れる。

「君とはいつ話せるようになるかな」

と呟いた。その5分後丁度に羽根の元に憐斗達が到着する。

「あの…これを」

と羽根はメモを憐斗に渡す。

「なるほどな…屋上からの奇襲を羽根達にしてもらおうかと思っていたが無理みたいだな…」

「あと気になっていたのですが警備が手薄な気がするんです…」

それを聞いた憐斗は大和を纏い剣を構え正面から突撃する。不意に現れた憐斗に対応出来ずに次々倒される。そして入り口までたどり着くと憐斗は砲塔を目の前に突き出し入り口を砲撃で吹き飛ばす。するとサイレンが鳴り響く

「羽根、渚は俺と一緒に、加奈と玖由、遥姉さんはセキュリティのハッキングを!」

「「了解」」

と憐斗の指示で二手に分かれる。

「今の爆発と揺れって…」

結彩はこの建物全体に響き渡るような音を聞き扉に近づき半開きにする。そしてその隙間から廊下の様子を覗く。

「侵入者が現れたらしい!」

「そうらしいな、しかも正面から襲撃してくるなんて…そんな馬鹿な事をする奴がいると思わなかった…とにかく我々も応戦しに行くぞ!」

と言う会話を聞き結彩は男達を見送った後、廊下に出る。

「ヘルは蒼嵐を!」

「結彩はどうする気…?」

「私にはもう一人居るからね」

と自分の拳を頭に当て目をつぶる。

「居るんでしょ!出てきなさいよ!」

結彩は誰かを呼ぶため暗闇の中で叫ぶ。すると

「なんだよ…うっせーな」

と暗闇の中からもう1人の結彩が現れる。

「ってかお前、私の存在に気づいてたんだな」

「そうね…と言っても最近だけど…」

「で?なんだ?私に乗っ取れに来たのか?」

「はいはい、そんなんじゃないわよ、ぐだぐた言わず力貸しなさい」

「随分上から目線だな」

「あんたにはこれで十分よ」

「ふっ…気に入った、手伝ってやるよ」

拳を頭に当てたまま微動だにしない結彩を心配し蒼嵐は結彩の目の前で手を振る。するといきなり蒼嵐の手を結彩が掴む。

「ひぃっ!?」

「いやぁ悪かったね」

「ゆ…あ…だよね?」

「あぁ」

雰囲気と口調が変わった結彩に恐る恐る蒼嵐が尋ねる。すると結彩は頷く。

「と言っても、あいつとは別だがな」

結彩は目を開き自分の目を蒼嵐に向ける。結彩の赤い瞳を見て

「アルマの結彩ね…」

「そう、察しがいいな、心配するな敵対する気は無い」

と蒼嵐に敵意が無いことを伝える。

「それに…こいつを死なせる訳にはいかないからな…」

「え…今何て?」

「なんでもない」

結彩の呟きをもう一度聞こうとするが結彩は誤魔化し再び赤い瞳を蒼嵐に向ける。

「でも…死なせる訳にはいか…」

結彩は蒼嵐の口を塞ぐ。そして蒼嵐の耳に口を近づけ

「小さい事ばかり気にしていたら好きな人に嫌われるぞ…いや…そうなったら私がの独り占めが出来るからそれでいいか」

「「良くないわよ!」」

蒼嵐は結彩に、もう一人の好き勝手な発言に結彩は自分にツッコミを入れる。

「お喋りもここまでだ」

人の気配を感じ結彩は笑みを浮かべ

「さぁお前達の仲間の元に行くぞ」

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