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Arms・Front  作者: 白兎
舞鶴遠征任務
60/120

60話 人間

「憐斗様は以前から梨絵知っていますか?」


憐斗はしばらく考え首を横に振る。


「いや…分からない」

「憐斗様達の故郷は九花(くか)村…ですわよね」

「「!?」」

「九花村!?」

「蒼嵐さん知ってるのですか?」

「九花村の悲劇…アルマが最初に現れた場所よ…そしてその村の800人のうち死者796名行方不明者2名生存者はたったの2名…まさかその二人が憐斗と結彩だったなんて」



憐斗と結彩は『九花村』という名前を聞き表情を変える。


「ちょっと待って!行方不明者2名…?一人しか知らないわよ…」

「あの時はまたいつアルマが現れるか分からない状況でしたのですべて瓦礫を掘り出す時間も無かったのでしょう…その時は見つから無かったのかも知れませんわ」

「それと、梨絵がなんの関係が…」

「梨絵も九花村の出身なのですわ」

「そんな事ありえない!あそこは俺と結彩以外生き残りは居なかった!それは俺達が確認しているんだ!」

紺野(こんの)遥香(はるか)…梨絵の前の名前ですわ」

「はる姉…」

「遥姉さん…だと…どうしてそう思ったんだ?」

「梨絵について調べていると悲劇が起きた次の日に梨絵の戸籍が作られていましたわ…これはわたくしの予想ですが憐斗様が見つけられなかったのは遥ではありませんか?」

「確かに…遥姉さんはどれだけ探しても見つけられなかった…でも偶然じゃ…」

「憐斗様の言う通り偶然だとしたらなんの面識のない憐斗様を命懸けで守ろうなんて有り得ませんわ、梨絵は憐斗様と何か特別な思い出があったから守ろうとしているのではありませんか?」

「ならもし夕立の仮説が正しいとしてどうして遥姉さんの面影も残らない姿で名前まで変えて居たんだ…」

「そこだけが分かりませんの…」

「くそっ…なにがどうなっているんだよ…」

「憐斗…」


一連の出来事と夕立の言葉で頭の整理が追いつかない憐斗達は必死に頭の整理をしようとしていた。そんな中いち早く状況を夕立は梨絵達がいた場所に何かが落ちているのを見つけ拾う。そこには『32 24 55 45 42 45』と書かれてあった。

(これは…)

「それって…暗号?」

「そう見たいですわね…」

「俺達だと読めそうにないな…こんな時にあいつが居れば…」

「あいつ…?」

「俺達の知り合いに暗号解読するのが得意な奴が居るんだ」

「前から思ってたけど憐斗って知り合い多いわね」

「あぁ、前まで俺も不思議に思っていたんだが父親の仕事を知って納得した…」

「それではわたくしはこれで、またお会いしましょうですわ」


夕立は半歩後ろに下がり屋上から飛び降り姿を消す。



その頃港に着いた船から人目につかないように素早くコンテナからコンテナへと移る少女が居た。その少女は空を見上げる。


「やっと呉にこれた…待ってて今行くから」



「はぁ…あーもう!」


マチルダはこみ上げる怒りを地面に転がる小石にぶつける。そこに大和が両手いっぱいに袋をぶら下げながら歩いてくる。


「そんな所で何してるんだ?」

「別に…大和こそなにしてるのさ」

「憐斗達に頼まれたものを買って帰ってる所だ、ん」

「ん…って…え?」

「持ってくれるんじゃないのか?」

「誰が持つ…はぁ、分かったよその代わりちょっと相談したい事あるんだ」

「相談?」


マチルダは大和から袋を受け取る。が、あまりにも重いため荷物にバランスを取られそうになるが持ち直しバランスを取り直す。そしてマチルダ口を開く


「人間って面白い?」

「面白い…か…私は面白いなんて思わない、人間は自分の為ならなんでも、人だって殺そうとする人間は自己中心的で時々イラッと来る時もある、でもそんな中に自分の欲望の為に命を懸ける馬鹿もいる」

「それって…」

「あぁ憐斗達だ、人間の中にも色々な奴が居て色々な事を考え生きているだから私は人間に興味があるんだ、そして人間が好きだ」

「人間が好きか…ふっ」


マチルダは立ち止まり笑う。それを見て大和は振り返り不機嫌そうな表情を浮かべる。


「悪いか?」

「いや、私のこの気持ちも大和のそれと同じなんだなと思って、私は最初人間なんて無能下等な生き物だと思ってた、でもこうして暮らしていくうちに人間も色々考えている事を知ったんだ、そして憐斗達が毎回ボロボロになって帰ってくるのを見てなにも出来ない自分が情けなくて腹立たしかったの」

「パートナーが欲しいと…?」

「うん…」

「と言っても自分に会うパートナーが見つかるのはほぼ運頼みだからな」


と大和はマチルダから袋を受け取る。そしてその中からアイスバーを取り出しマチルダの口に突き刺す。


「ふぁふにふるのほ!」

「パートナー探し頑張って、マチルダがその気ならいつでも武装は返すからさ」


(ありがと)

マチルダは口に刺さるアイスを齧る。すると頭に鋭い痛みを感じ頭を抱え悶絶する。



「迷ったどうしよこのままやと死んじゃう…いや死にはしないか…あぁっどうしよ!」

「痛た…まだ頭が痛い…」


マチルダは頭を抑えながら歩き慌てていた少女は目の前に見ていなかったためにお互いに気付かずぶつかる。お互いが接触した直後、白い光が二人のあいだに現れ二人を吹き飛ばす。


「今の…」


驚きよりもマチルダは喜びの感情が強くなり笑みを浮かべ少女に駆け寄る。


「ねぇ!」

「ひっ!?」


突然勢い良く話しかけられ少女は驚く。


「な…なんですか?」

「私のパートナーになってよ!」

「ほぇ…?」

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