41話 助け
「はぁーっ!」
渚は片手で薙刀を振りかざしながら人に向けて突っ込むが、いつの間にか現れたアルマによって行く手を阻まれる。
それを見て間口と木岐が敵を囲むように回り込む。そして敵に向けて砲撃する。それを見て紺が正面から狙い打つ両サイドから向かって来る砲弾をかわそうとしたがそれを見越して間口と木岐は砲弾を放っていたため相手は砲弾をかわすことが出来なかった。しかし逃れられないと感じた相手はその場に留まり前後を砲弾を通過すると同時に砲弾に触れる。すると砲弾が止まり目の前から向かってくる砲弾に向けて投げ爆発を起こす。そして残る一弾を間口に向けて投げ返す。勢いを倍増させた砲弾が向かってくるのを見て間口は装甲を展開しようとするがそれよりも速く砲弾が直接命中し装甲を砕く。そして次の瞬間、間口の目の前で爆発を起こす。
「間口!」
「あぁ…!」
「そんな…っつ!」
渚を周囲のアルマを薙ぎ払い道を作りその先に居る敵に立ち向かおうとする。
「待って渚」
「紺さん…どうして」
「砲弾を操れる事ができる以上一人で戦うなんて無謀」
「そう…ね…」
「木岐さん、大丈夫ですか!?」
「えぇ…」
その時敵が手を伸ばす。それを見て渚達が警戒した瞬間手が変形し砲塔が現れる。
「逃げて!」
木岐の咄嗟の言葉を聞き3人が分かれるとの同時に水面を切り裂くように砲弾を放ちそれから巻き上げられる衝撃で渚達は吹き飛ばされる。いち早く体制を立て直した紺と木岐は合図と共に一列に砲弾を放つ。それを見て敵は先ほどと同じように最初の砲弾を受け止め2弾目に向けて投げ返し爆発させるしかし、黒煙の中から更にもう一つの砲弾が貫き敵の砲塔と化した腕を吹き飛ばす。
「はぁ…はぁ…くっ…!」
3発目を放った渚は苦しそうに息をしながらふらふらと立ち上がる。
(もっと早く…私がアイツに気づいていれば…!)
そんな渚を見て木岐は紺だけに無線を繋ぐ。
「何?」
「馬鹿な事思いついちゃった」
ーーー
「!?」
「どうかな?」
「馬鹿…でも賛成」
そして木岐は渚に近づき
「渚!あなたは戻ってこの事を司令官に伝えて!」
「でもそれだと木岐さん達が!」
「そんな見捨てる事はしたくありません!」
「2人とも危ない!」
もう一つの腕を砲塔に変形させ木岐と渚を狙い放ちそれにいち早く気づいた紺が素早く2人の間に入り装甲を展開した直後、砲弾と衝撃波が紺に襲いかかる。
「っ…!」
「紺さん!」
頭から血を流す紺に渚が近づく
「渚…行って…」
「でも…!」
「これ以上私達を傷つけさせる気?」
「…そんな」
そんな中でも人型のアルマは3人に近づきもぎ取られた筈の腕から剣が伸びそれを振り上げる。それを木岐が砲塔で受け止める。が、あっさりと木岐の剣は折られ振り下ろされる刃が木岐の肩を斬る。
「…っつ!行って渚!」
「…ごめんなさい!」
渚は振り返り進んでいく。人型のアルマは渚を追いかけようとする。が、紺と木岐が人型のアルマの行く手を阻む。しかし次の瞬間素早く身体を回転させ2人を蹴り飛ばす。受け身の体制を取れた木岐は体制を立て直すと同時に人型アルマに向けて機銃を乱射し怯んだのを見て素早く背後に回っていた紺がゼロ距離で砲弾を放ち身体を貫く。
(やった…)
紺の頭部に激しい痛みを感じる。意識が薄れながら見上げると人型アルマが砲塔を振り下ろしていた。
(くっ…)
と、そのまま水面にうつ伏せのまま気を失う。
(まずいわ…あの状態で気を失ってしまったら…窒息してしまう!助けないと!)
木岐は折れた剣の刃を手に取り振り下ろす。それに気づいた人型アルマがその刃を受け止める。
木岐は刃が手に食い込み血が流れる。それでも力を強める。人型アルマの注意が刃に集中したのを見て足に装備された魚雷を全弾放つ。そして爆発を起こさせる。が、そのダメージは木岐にも喰らい武装が大破する。が、それも構わず木岐は紺を抱き上げその場を離れる。
「私…こんな事でいいのかな?私だけ逃げちゃって…」
「渚の思うようにすればいいわ、ただ覚えていてほしいのが私は渚と共にある」
「ありがとう…」
と渚は振り返り木岐達の元に向かう。
「本当に行くの?」
「大丈夫、さっき信号で放ったから運が良ければ誰かが拾ってくれる筈」
「ふふっ、運任せね…面白いわ、そんな事より…」
目の前に群がるアルマを見て渚は立ち止まる。
「追って…ね、気づいていたんだ渚」
「行くよ、神風」
主砲を縮小させ仕舞い薙刀を両手で持ちアルマの群れに突っ込む。
「はぁはぁ…きゃっ!」
岩の影に隠れた直後、足の武装が砕け水面を転がる。
「痛ぁ…」
「き…木岐…今の状況は一体…?」
「凄くまずい状況…私もこれ以上動けそうにないわ…それに…けほっ…」
と、血を吐き出し身体から流れる血が海水に混じり赤く濁る木岐は紺にここから離れる様に伝えるが、紺は拒否する。
「嫌!どうしていつも木岐は自分を犠牲にするような事をするの!」
「それでも…生きているから大丈夫よ…」
「今回はそんな事言えるような状態じゃない!」
「それでも…決めた…じゃない…渚だけは守るって…」
「…分かった」
「早く…行きなさいよ…」
「さよなら」
紺は岩陰から飛び出し人型アルマの注意を引く。
「さよなら…か…」
紺を見届け木岐は気が抜けたためか力が抜けるような感覚と共に瞼が重くなりそのまま目を閉じた。
「こっちだ!」
人型アルマに向けて乱射を続け次々に人型アルマの周囲に水柱が上がる。
それを人型アルマは刃を振り水柱を吹き飛ばし残像を作り出すような速さで紺に近づく。
「あれは!」
追ってのアルマを全滅させ木岐達に追いついた渚は岩にもたれている木岐を見つけ近づく。が、息をしていない事に気付き渚は動揺する。
「落ち着いて!それより紺の姿が無いわ!もしかしたらまだ戦っているかもしれない」
その言葉を聞き握っていた木岐の手を離す。その時爆発音が聞こえる。
「今のって…」
「急いだ方がいいわ!」
「こいつ…不死身…なの…」
砲弾も撃ちつくし速力も失った紺は唐突に武装の重さを感じ水面に座り込む。そんな紺の首に冷たい刃が当たる。
(ここまでか…)
紺が諦めたその時、人型アルマに砲弾が直撃し砲塔を破壊する。
「渚…!駄目!」
「何で!っ…あぁっ!」
破壊したはずの砲塔が再生され渚に向けて砲弾を放つ。咄嗟に渚はかわすことが出来たが衝撃波を喰らい吹き飛ばされる。
「渚…!」
人型アルマは再び紺を見る。そして刃を振り上げる。
「や…やめろぉぉぉぉぉっ!」
「…っつ!」
渚の叫びも虚しく人型アルマは刃を振り下ろす。そして血飛沫が飛び散り紺はその場に倒れる。
「お前ぇぇぇっ!」
渚は人型アルマに立ち向かおうとするが霧が立ち込め人型アルマの姿を隠す。そして霧が晴れるとそこには人型アルマの姿は無かった。
「そしてそれからは渚は他人を拒絶する様になったの、けど今の渚はあなた達を認め始めてる、こんな事言って良いのか分からないけどお願いしたい事があるの」
と風に吹かれながらレンナを見る。
「すぐにとは言わないから渚を助けてあげて欲しい」




