4話 朝
「ま…待ってぇ…」
「無理しなくても良いって言っただろ…」
「そういうわけにもいかないの!私ももっと強くならないと…!」
憐斗は時計を見る。5時を指しているのを見て近くのベンチに座る。そしてペットボトルを結彩に投げる。
「飲んどけ、こんな所で倒れられるのも嫌だからな」
「たっ…倒れないわよ!」
(それよりこれ…飲んでも良いの…!?…か、か、か、関節キ…)
「何してんだ?」
憐斗が結彩の様子を見て呆れたように問いかける。その手にペットボトルを持っているのを見て結彩は
「別に…」
と、ふてくされながらペットボトルの水を飲む。
「行くぞ」
休憩し結彩の息がととのったのを確認した憐斗は立ち上がり再び走り出す。
走り始めてしばらくして二人は一人の老人とすれ違う。
「朝はやいのに元気ね」
「元気があるのが取得ですから」
結彩がそう言い憐斗は軽く会釈をして再び走り始める。結彩は老人に手を振り憐斗を追いかける。
「ここの人達はアームズの私達も受け入れてくれているんだね」
「ここは基地も近いしさっきみたいにアームズと触れ合うこともあるみたいだからな…まぁこんなのはアームズと言うものがどのような者かを知って居るからなんだろうな…俺達がいた街はアームズはアルマと同じように見られていたし」
「そうね…得体の知れないものと殺し合いをする野蛮な奴らとも見られているみたいだし…なんかそう考えると私達がしている事ってなんだろうってなるね…」
「そうだな、まぁ、今はアルマと戦ってそう言う奴らが俺達を認めさせればいいんだ」
「そうね!」
と、その時、木々の奥から木になにかを当てる音が聞こえた。次の瞬間目の前にミサイルの模擬弾が結彩目掛けて突き進む。それを憐斗が寸前で止める。
「なんかデジャヴ…って!まさか!」
結彩は憐斗を押しのけ林の中を進む。
その時結彩はなにかにぶつかり倒れる。
「「どこ見てんのよ!」」
「あっ!」
「やっぱり!」
蒼嵐と結彩はお互いに睨み合う。
「朝から何やってんだよ…」
結彩の後を追い憐斗が姿を現す。
「憐斗…あんたも来てたんだ…ってか、あんた達何してたの?私が起きた時にはもう居なかったし…」
「朝のトレーニングよ」
「あんた達もするんだ…」
「あんたこそ何やってたのよ?人に模擬弾投げといて…!」
「あぁ…練習よ、こうやって動く的に確実に当てれるようにっ」
「あたっ!」
模擬弾が結彩の頭に命中し結彩は頭を抑える。
「何すんのよ!」
「それより戻るぞ、朝礼に間に合わなくなる」
憐斗の後を結彩が追いかける。
「蒼嵐は…行かないのか?」
「い…一緒に行っても…良いの?」
「駄目な理由が無いしな」
と、憐斗は再び歩き出す。二人の後ろを蒼嵐は追いかける。
「まず、昨日の戦闘についてだ…」
と、琢斗が話す。
「犠牲者は12人…この戦いで亡くなった者達のためにもみんなには頑張って貰いたい…こうとしか言えない俺を許してくれ」
(犠牲者が…多すぎる…)
憐斗はそう思った。
「次にこの戦いで発見された人型アルマについてだ…この人型アルマは陸海空によって姿がある事、そして個体差がある事が今回の戦いで分かった事だ、これからもこいつらと戦うことになるだろうがその時は最新の注意を払って戦うようにしてくれ!」
「「了解!」」
「あとZ-99.W-15.M-82.K-21.B-66.A-10部隊はここに残ってくれ」
「「了解」」
他の部隊はそう返事をしたが結彩や蒼嵐達はお互いに不思議そうに顔を見合わせた。
「全員揃ってるな」
「で、話ってなに?」
憐斗はそう言い放つ。それを聞き
「お前!司令官にその言い方は…」
「良いんだ花阪」
「…分かりました」
花阪と呼ばれた少女は渋々後ろに下がる。それを見て琢斗は話を続ける。
「昨日の襲撃から引き続き偵察に出てもらっていた美咲、空からの報告によるとここから20km先に敵の主力を発見したという通信が入った、主力には人型アルマが海上に5体、空に3体の人型アルマが発見、その他アルマが合計30体だそうだ」
それを聞いた憐斗達の表情が強張る。
「そんなものを私達が相手をしなくちゃいけないと…」
「あぁ…その為にアームズ強化用装備を開発している、幸いにも敵は何故かその場を動こうとせずに居る、だから時間は今の所あると俺は考えている、俺からは以上だ…質問は?」
と琢斗は言ったが誰も手をあげようとはしなかった。しなかったというより憐斗達は出来なかったのだ。
(急にこんな事を言われて理解できる訳ないよな)
琢斗は司令官室に戻ろうとする。それを見て憐斗は琢斗を追いかける。
「どういう事だよ!あんな所に俺達を行かせて!俺達に死んでこいと?そう言いたいのか!?」
「そんな事ない、俺はお前達に生きて欲しいと思っている」
「じゃあ…」
「その為にお前達に託したい娘がある」
「えっ…」
「待ってろ」
そう言って部屋を出ていく。数分後扉が開き少女の手を優しく引っ張る琢斗が現れた。
「紹介する、椎名玖由だ」




