36話 渚
「損害はほぼ無いが…やはり、仕掛けてきたな…」
「これからどうするの?」
結彩の問いかけに憐斗は黙り込む。
「作戦なら…無くも無いが…」
「なら!」
「ただ…」
はっきり言おうとしない憐斗を見て渚はため息を付き部屋を出ようとする。
「どこに行くの?」
渚に気づいた露が問いかける。その声に結彩達の視線が渚に向く。
「あなたはもっと出来る人だと思っていました」
「何を言ってるのですか?」
怒りを押し殺した様に梨絵が渚に尋ねる。
「強行突破…」
「っ!だがそれをすれば損傷した場所が更に悪化する可能性がある!下手をすれば沈んでしまう、それに…」
「それです…リスクを恐れている、そのような事を恐れていて何が出来るのですか!」
渚が声を荒らげる。そして
「憐斗さんが言う気が無いのなら私が言います」
と部屋を出ていく。
「待てっ!」
「行かせない!」
神風が憐斗の前に立ちはだかる。
そして渚の指示で輸送艦のスピードを加速させる。加速するのを感じ憐斗は渚を止めに行くのを諦める。
「なあ、教えてくれ…君たちに何があったのか」
「嫌…なんであんたなんかに…」
「…そうか」
「来た…お前なら気づくだろ?…相良憐斗」
岩陰に隠れていた人影がそう呟く。
「っ…!?」
電気のが脳を貫いた感覚になり憐斗はよろめく。そして神風を押しのけ部屋を出る。
いきなり血相を変えて飛びたした憐斗を見て状況を理解する前に結彩は反射的に憐斗を追いかけた。そんな結彩を見て蒼嵐達も追いかけた。
「今すぐレーダーで半径10km以内を集中的に間隔を開けずにしてくれ!」
戸惑う乗組員に憐斗は
「いいから早くしろ!死にたのか!?」
と言う。そして憐斗の威圧に負けレーダーを周囲に放つ。すると次々に赤い点が周囲に現れる。
「どうして!こんなに居るのに何故探知出来なかった…」
「当たり前だ…高速で動いているんだレーダーに間隔を置いて探知をするなんて間に合うわけないだろ」
「そんな…」
「こんなにステルスアルマが居るとなると輸送艦はこのままスピードを下げるな!スピードを下げると狙われるぞ!みんな行くぞ!」
「「了解!」」
「また…私の…せいで…」
「渚…」
輸送艦の先端に立ち乗り出す様にして憐斗は周囲の様子を見渡す。
「っ!とにかく撃ちまくれ!輸送艦の進路を作るぞ!」
憐斗達は武装を展開し至る所に砲撃する。そして砲弾がアルマに命中しステルスが解ける。
「適当に撃っても当たるか…やはり相当の数がいるな…」
「アルマ一体一体にステルスが付いているとなると限りがないですっ!」
梨絵はサーマルスコープを取り付けて熱源目掛けて拡散弾を放ちアルマを撃ちぬいていきながら呟く。
「どこかにアルマをステルスにさせるやつがいたりしないの!」
蒼嵐が空から銃弾の雨を降らしアルマのステルスを解いていく。姿を現したアルマを羽根が魚雷を落としアルマを爆殺していく。
「アルマをステルスにさせるアルマ…それだ!梨絵!」
「は…はい!?」
「この中で熱源が異常に高いやつがいたりしないか!奴らは電磁波で光をねじ曲げて俺達から見えない様にしている、だか一体で複数のアルマをステルスさせようとすれば高熱になっている筈だ!」
「了解です!」
「俺達は梨絵がアルマを見つけるまでサポートする!」
「「了解!」」
「わ…私はまた…」
「渚…っ!」
神風は渚の指示なく渚に纏う。
「えっ…」
「いきなさい!そうじゃないと渚の目の前であいつらも死ぬわよ」
「そうだね…」
「居ました!」
見つけると同時に反射的にトリガーを引き弾丸を放つ。しかし弾丸は水面に着水する。
「なんで…こんな時に!」
「梨絵!俺が殺る!場所は大体把握したから大丈夫だ!」
憐斗は改大和を纏い梨絵が狙った場所目掛けて光の槍と化した砲弾を放つ。すると光の槍が空中で止まり隠れていたアルマのシルエットが浮かび消滅する。そしてステルスが解け数え切れない程のアルマの姿が現れる。
「流石だ…」
「「!?」」
「憐斗後ろ!」
蒼嵐が憐斗の後ろに現れた人を見て叫ぶ。
蒼嵐の声を聞き憐斗は振り返るとその人物が拳を突き出していた。咄嗟に両手を重ね前に突き出し拳を受け止める。更に相手は蹴りを繰り出す。それを見て憐斗は防いでいた拳を上に突き飛ばし片足で立っている相手の足を蹴り倒す。が、それを読んでいた相手の砲塔が自分に向いている事に気づいた憐斗は素早く装甲を目の前に展開する。しかし砲弾の威力で憐斗は軽々と吹き飛ばされ海に落ちる。
「憐斗!」
「来るな!」
水面に着水し降りてきた相手を見る。
「武蔵…」
「なに!?ならあいつもアームズ…」
「そうさ」
「お前は…一体」
「私は不亜香楽」
その時周囲に群がるアルマが憐斗に襲いかかる。それを憐斗が迎撃しようとする。しかし一瞬で周囲のアルマが切り裂かれ神風を纏い薙刀を構えた渚の姿が憐斗の目の前に現れた。




