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Arms・Front  作者: 白兎
四国奪還作戦
32/120

32話 大和対玖由

「不味いわね…」


結彩は今まで以上に険し表情で呟く。


「結彩…どうする?」

「とにかく大和、この事は誰にも言わないように」

「わ…分かった」


そして2人は部屋に入った。


「ここにもいない…」

「誰かと思えば玖由…だっけ?」

「っ…!?」


朝から姿を見ない憐斗を探すため部屋を出た玖由は自分にかけられた声を聞き振り返り目を見開く。


「やあ」

「マチルダ…なんでお前が!」

「ちょちょっ!そんな敵意を向けなくても…今の私は大和に武装ロックされてるから暴れられないよ、身体能力も人間並になっちゃったしっ!」


と、マチルダは壁に向けて拳を突き出し殴る。今までのマチルダならこんな壁は軽々と粉砕できたが今のマチルダは鈍い音が響き


「いったぁぁぁぁあっ!」

(馬鹿なの…)


痛みで手を抑えながら悶絶するマチルダを見て玖由は冷たい視線をマチルダに向ける。これ以上相手にしたくないと思った玖由はマチルダを無視し歩いて行く。しかし、マチルダは早歩きで進む玖由の横に並び同じように歩く。


「さっきからなに?」


我慢の限界となった玖由は立ち止まりマチルダに詰め寄る。


「い、いや…何をしているのかなと思って」

「憐斗を探しているだけ、じゃあ」

「あ、待って」

「今度はなに!?」

「私も一緒に行くよ、探している人物が同じ見たいだから」

「憐斗に何の用?…まさか大和から武装ロックを解かせるために」

「違う違う、逆に武装をロックされて気が楽になったから…お礼が言いたくて」


それを聞き玖由は無言で振り返り歩いて行く。


「………何してるの行かないの?」


こうして2人は憐斗を探した。


「ここには居なさそう」

「あら、玖由ちゃんどうしたの?」


玖由は食堂を覗くが憐斗の姿は無かった。

しかし玖由に気づいたエプロン姿の梨絵が歩み寄ってくる。


「どうしたの?」

「憐斗何処にいるか知らない?」

「そう言えば朝から姿見てないですね…」

「最後に見たのいつ?」

「んー昨日の夜中…ね…大和なら知ってるかも知れないわよ昨日も一緒に居たみたいですし…今なら多分いつもの場所にいると思いますよ」

「分かった、ありがとう」

「はっへ!」


梨絵の手料理を頬張るマチルダをほおって玖由は食堂を出る。そんな玖由をマチルダは慌て追いかける。


「いつもの場所って?」

「行けば分かる」


と森の中に入っていくすると蒼嵐と羽根、そして梨絵の予想通り大和と結彩が居た。


「あ、玖由ちゃん」

「何してるの?」

「憐斗さんを探しているんだけどどこにも居なくてもしかしたらここに居るんじゃないかと思ったんだけど丁度結彩さん達が居て…もしかして玖由ちゃんも憐斗さんを探してるの?」

「そうだよ」

「わぁっ!びっくりした…マチルダか」


玖由の後ろにいたマチルダがひょこっと顔を出し羽根は驚く。


「一体何処に行ったのよ…報告書が仕上がったから一緒に提出しに行こうと思っていたのに…結彩達も知らないんだね」

「え…えぇこっちはあちこち探したけど居なかったわ」


と、結彩は北を指さす。


「なんだ…行こう玖由、大和が知らないならここにいる必要ないし」

「待って…」

「誰も憐斗を見ていないなんてなんだか気味が悪いわね」

「じゃあ…最後に私達以外で憐斗を見たのは梨絵で昨日の夜という事になる…そう言えば大和昨日の夜憐斗と一緒に居たんじゃないの?」

(っつ!?)

「いや、確かに一緒に居たが眠くなって私は先に寝たから憐斗の行方は知らない」

(不味いか…)


大和は玖由の視線を感じ見抜かれたと感じた。


「結彩…ここでは無理だ」


小声で結彩に言い


「私達は憐斗をもう少し探してみる」


と言い結彩の手を引っ張り引き返していく。それを見て


「行くよ…蒼嵐も」

「でもそっちは結彩さん達が…」

「結彩と大和嘘ついてる」

「じゃあ結彩と大和は憐斗の居場所を知ってるって事?」

「多分…梨絵も呼んできて」

「分かった」


と羽根が梨絵を呼びに行く。数分後梨絵を連れて来た羽根と合流し結彩と大和の後を追いかける。


「不味いぞ結彩、多分玖由にバレた」

「えぇ…予想外だったわ…」

「こうなったら見つからないうちに急ごう…見られたられ…あいつが怒るからな…」


と2人は基地の細道を走った。


「何で嘘だって分かったの」

「喋り方…結彩はこういうのが苦手なのがよく分かった、大和は慣れていたけど私が憐斗と一緒に居たと言ったら動揺したのか少し早口になってた…それに探しきった筈の場所になぜまた行ったのか…憐斗のいる所に戻ったと考えるのが妥当」


これを聞きその場に居た4人は玖由に嘘はつけないと思った。


「玖由っていつもあんな感じなの?」

「そうですね…いつもみんなを見ている玖由だからわかる事なのかも知れませんね」

「ふーん…」


玖由をただの子供と少し見下していたマチルダは梨絵の言葉を聞き玖由の事を見直す。しばらく歩くと分かれ道で玖由は足を止める。


「これは…足跡?」


玖由が足跡を辿って行こうとすると


「まぁ相手は大和だからねぇ〜」


とマチルダが何気なく呟いた言葉を聞き玖由ははっとなり


「大和…詰めが甘いわよ…」


と玖由は足跡の付いていない道を歩いて行った。

そして辿り着いた場所は小さな小屋だった。


「開けるよ…」


蒼嵐は扉を勢いよく開ける。


「なっ!」


大和と結彩は蒼嵐達の姿を見て慌てる。


「なんでばれたの!?」

「作戦は完璧だった筈なのに…」

「確かに完璧だったわよ…でも読みすぎ」


玖由は呆れた目線を大和に向ける。


「大和が足跡を残すなんてことする訳が無い、ならわざと反対に逸らすようにした…そうでしょ?」

「はぁ私の負けだ…」

「ちょっ!大和!」

「分かってる…玖由、負けたとはいえこの先に行かせるわけには行かない」

「どうして?」

「どうしてもよ」

「結彩まで…」

「なら強引に開けたら良いんだ」


結彩と大和が気づかないうちに背後に周り込んだマチルダが2人が守っていた扉を開けようとしていた。


「なっ!」

「マチルダ!いつの間に!」

「よっ!」


「駄目ぇぇぇぇっ!」


マチルダは結彩と大和に押し倒されるように扉の向こう側に倒れる。


「えっ…!?」

「「あっ…」」


結彩と大和は目の前に居た結彩と同い年ぐらいの少女と目が会いお互い声が出る。そして少女は恐る恐る視線を上に上げる。その先に居た蒼嵐達と目が会い少女は顔を赤らめる。玖由達含め5人は少女を見て


「「誰…」」

「なんで連れて来たんだよぉぉぉっー!」


と少女の悲鳴の様な叫びが辺に響いた。

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