21話 挑戦
「こいつには気をつけた方が良さそうね」
と薄暗い部屋の中に居た3人の中の1人が玖由の写真を机に置く。
「なら先に殺る?殺っちゃおっ!」
「確かに…そうだな」
「なら…俺が…」
「いやだ!私がやる!殺るのっ!」
「…そうか、なら任せる」
「ってかこんな雰囲気で話す必要無いよね…」
「そうだな…」
「まぁこういう雰囲気って必要じゃん?」
「必要…なのか?」
「さぁ?」
と照らしていた火が消え3人を闇が包んだ。
「…芙弥さん達が?」
「うん、あの人達何かを隠してる」
「それって私達にとって悪い事なの?」
「違う…でも…いい事でも無い気がする…」
「曖昧なのね」
「ごめん…」
「玖由が謝る事なんてないさ、まぁ各自一応気をつけるようにしておこう」
「「了解」」
「あ!こんな所に居たのですよ」
「映月か…どうした?」
「いや…みんなは朝ごはんどうするのかなと」
「そう言えばそんな時間だったわね」
「なら作りますね、憐斗達は何か食材を集めてきてください」
「了解~」
「作る?」
2時間後、憐斗達が山から集めてきた食材によって作られた料理が並べられていた
「こ…これを山菜で作ったの!?」
「梨絵は料理に関しては天才だからね」
蒼嵐は何故か誇らしげに言う。
「皆さんもどうぞ」
と梨絵は唖然としていた映月達にも料理を薦めた。そして梨絵の料理を口にした瞬間映月達は言葉にならない声を上げ
「美味しいなのだよ!」
と映月は感嘆な声で言い、あっという間に食べてしまった。それを見た梨絵の「まだおかわりありますよ」という声を聞き映月は飛びつくように梨絵に向かった。そんな中芙弥と冰渼が目配せをして二人は立ち上がりどこかへ歩いていく。それを見て憐斗は
「二人はどうしたんだ?」
と問いかける。すると
「いつもの日課だ」
と詩伊が答えた。ふと憐斗は玖由の姿を探すがどこにも居ないのを見てまさかと思った立ち上がり憐斗は二人の後を追った玖由を追いかけた。
身長が小さい玖由草木が大きく二人を見失い音伝いに歩き進む。次の瞬間玖由は前方から向かってくる何かを感じ後ろにバク転する。玖由の身体が地面と並行になった瞬間、衝撃波の刃が身体を掠め空気を斬る音が聞こえた。玖由は体制を立て直し素早く武装を展開周囲の木々を警戒する。気配を感じ上を見上げる。そこにはマントを被った人が刃を振り下ろす。玖由は咄嗟に杖を上につきだし上から向かって来る人物を叩き落とす。
叩き落とされた人物は起き上がるのと同時に衝撃波を放ち回避が遅れた玖由の周囲に衝撃波が着弾し怯んだ玖由との距離を詰める。
「速い!?」
「くすっ…」
素早く振り上げられる刃を玖由は杖で弾き飛ばし目の前の人を蹴り飛ばそうとするが玖由の足の長さでは届かず空振りする。
「ざーんねーんでした〜」
「馬鹿に…するなっ!」
玖由顔を赤らめ人物との間合いを詰め杖を振る。その人物は玖由の杖をかわす、そしてその先にあった木に杖が触れる。次の瞬間、波動の様な衝撃波が木を貫き粉々に砕け木の破片が周囲に飛び散り玖由の腕を掠め血が流れる。さらに相手のマントにも木々が襲い破る。
「あ〜破れちゃった」
とその人物はマントを脱ぎ捨てる。その姿を見て玖由は目を見開く。
「赤い右目…アルマ」
玖由は言葉を喋るアルマを見て警戒を更に強める
「正体を見たからには…」
「ぐはっ!」
アルマは玖由の腹部に拳を入れる。
玖由は口に苦い何かが広がりさらに喉が焼けるような感覚を感じるそのままその原因の液体を吐き出す。そしてよろめきながら後ろに下がり距離を取ろうとする。しかし
「おっと!距離は取らせないよ」
素早く後ろに周り玖由の杖を蹴り飛ばす。玖由は腹部を抑えながら木に飛び移る。
(どうする…このままだと…)
ふと玖由は地面に転がる杖を見つける。
(成功出来るか…一か八か)
と玖由は無謀な挑戦をしようとしている自分に驚いた。そして
(私も…変われた…前なら100%の事しかやらなかっただろうから)
そう思いながら玖由は杖に向かって手のひらを向ける。
(届けっ!)
すると杖が輝き魔法陣が展開される。そして艦載機が放たれる。エンジン音が聞こえたアルマは後ろを振り返る。機銃を放ちながら特攻して来る艦載機を見てアルマは慌てる。
「いっ!?」
と砲塔がを回転させ後退しながら艦載機を撃ち落とす。が、次の瞬間艦載機に気を取られたアルマは木に背中から激突する。
「いったぁ~っ!」
(今!)
玖由は木から飛び降り杖を掴み魔法陣をアルマに向ける。
「させるかぁっ!」
とアルマは連続で砲弾を玖由に向けて放つ。それを玖由は艦載機を放ち砲弾を迎撃しようと試みるが2発の砲弾は勢いを衰えず玖由に向かって突き進む。
「はぁぁぁぁっ!」
爆発音を聞き玖由を見つけた憐斗は飛び出しながら玖由に向かってくる砲弾を砲撃し進行方向を逸らす。そしてもう1発の砲弾を憐斗は砲塔を回転させ吹き飛ばす。
「大丈夫か玖由!」
「うん」
と思わず玖由は憐斗に抱きつく。
「見つけたわよ!マチルダっ!」
と芙弥が突然現れ憐斗、玖由とアルマの間に立ちアルマに向かってそう呼んだ。
「憐斗さん…まさかあなた達が戦っていたの!?」
「いや…正確には玖由1人でだ、俺もさっきここに来た」
憐斗は冰渼にそう説明し今度は憐斗が冰渼に尋ねる。
「あのアルマ…マチルダをお前達を知っているのか?」
「うん、そしてマチルダは芙弥が倒さないといけない相手」
マチルダは更に笑を浮べる。その笑は悪巧みの笑だと憐斗は思った。
「そこの2人は何も知らないんだね、なら教えて上げるよそこの余命宣告を受けた人の秘密を…」
「なに……」
「やめろぉぉぉぉっ!」
芙弥の叫びを無視しマチルダは話を続けた。




