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Arms・Front  作者: 白兎
終焉決戦
118/120

118話 キズナ

(どうすればいいかなんて…)

大和は拳を握りその手を見る。

(私達がやらないと!)

大和は自身に武装を纏いモンスターに立ち向かおうとするが、その行動を見て憐斗は制する。

「なにをしてるんだよ」

「私達以外にあいつを止めれないだろ、だから…」

「だからわたくし達がやると…」

「分かってるなら言うなよ!」

夕立に強く当る大和に同じように大和を止めようとした流星やヘルはかける言葉が分からなくなる。

「私一人でもやる」

「待て、大和!」

「黙ってろ憐斗!憐斗は私が守るから邪魔をするな!」

とモンスターに一人で突撃する。

「確実に冷静さを失っていますわね…」

「私達はどうしたら良いかな?」

「どうする事も出来ない、見守るしかない」

と憐斗はそういい最後に小さく『今は…』と呟く。最後の言葉を聞いていた夕立はやれやれと呟き、残りの2人のクリークに目を向ける。

「行きますわよ、お二人とも」

「えっ!?」

「行くって…まさか」

「そのまさかですわ、大和を止めるにもあの怪物を止めるにもわたくしだけじゃどうする事も出来ませんから!」

夕立は地面を蹴りモンスターとの間合いを詰める。

「お二人はモンスターの注意を引いてください!わたくしは大和を!」

「「了解!」」

無意味に近い砲撃を繰り返す大和の砲弾を夕立の大鎌が引き裂く。

「何をする!」

「少し落ち着いたらどうですの」

「お前になにが分かる!私達はもう憐斗に力を貸す事が出来ない!もう憐斗に必要とされなくなるんだぞ、そんなの寂しい…だから!」

次の瞬間、大鎌の刃が大和に向く瞬時に大和は砲塔で大鎌で防ぐ。が、防御が出来ない大和の頬に平手打ちをする。

「腑抜けた事を言わないでください!あなただけがそんな思いをしていると思っているのですか!?」

次の瞬間大和をモンスターから振り落とし地面に打ち付けその上から夕立は押さえつけ2本の大鎌を突きつける。

「……っ」

「わたくしにもパートナーが居ました、そしてあなた達と同じように二度と共に戦う事が出来なくなったのです…しかしその方はわたくしを見捨てずに頼ってくださいました、だから憐斗様もあなたを捨てたりしませんわ!」

「その人はそうかもしれないけど人はそれぞれ意思があるその人にも憐斗にも…だから、同じという可能性なんて…」

「ありますわ!なぜならその人は…」

と夕立は大和に耳打ちをするような小さな声で

「憐斗様のお母様ですから…」

と、呟く。

「えっ…!?」

「「!?」」

その言葉を聞いた大和達、クリークは驚きを隠せ無かった。憐斗達を守るために憐斗の横に居たマチルダは恐る恐る憐斗を見あげた。

「あの夜瓦礫の下敷きになった茉莉様を助けたわたくしに憐斗様になにかあれば手助けをしてあげて欲しいと頼ってくださったのです」

(なるほど…夕立が憐斗に固執する理由も2人のクリークを纏える理由も納得が出来る…)

マチルダはこの事を憐斗に伝えるべきか悩んだがこの状況で更に憐斗を惑わせる事を言うべきではないと考える。

「茉莉が夕立の…」

「親子ですからきっと大丈夫です、信じましょう憐斗様を」

「そうだな…すまなかったな…」

「あ…あのぉっ!そろそろ助けてください〜!」

ラーテの注意を引き集中砲火をされていた流星が悲鳴のような叫び声で大和達に助けを求める。

「もう少し頑張って下さい!」

と大和の手を引っ張り一飛びで憐斗達の前に着地する。

「ふぇぇぇ…」

「文句言ってないの…っ!頑張って!」

砲撃を避けながらヘルは流星を励ます。

「憐斗様、なにか策があるのではないのですか?」

「そうなの!?」

夕立の言葉に結彩は驚きながら『何故もっとはやく言わなかったのよ!』と訴えるような視線を向ける。

「成功する確率が低いかもしれないし…そもそも、やり方が分からないからな…」

「やり方?」

蒼嵐の問いかけに憐斗のしようとしている事を察した夕立が口を開く。

「憐斗様はクリークの本来の姿でガラクタに対抗しようとしてるのです」

「大型兵器には大型兵器ねぇ…確かにそれしか方法は無さそうかな」

美咲は苦笑いを浮かべ目を逸らす。

「でも憐斗はその方法を知らないんよね…夕立は分かってるん?」

加奈の問いかけに夕立は悪戯をする前のような笑みを浮かべ頷く。

「教えて差し上げましょうか?」

「なんで勿体ぶるのよ…」

「少々刺激が強いですから言っていいものなのかと」

「時間ないんだからさっさと言いなさいよ!」

急かす蒼嵐にため息を付きながら憐斗を見る。

「接吻すれば良いのですわ」

さらっと発言した言葉に憐斗を含めその場全員が驚く。

「「はぁぁぁぁ!?」」

「い…今なんて言った…」

「接吻、分かりませんかキスですわよ」

「分かってるわよ!こんな時にそうやってからかってるんじゃないわよ…」

「わたくしは嘘なんて言っていませんわよ」

「はぁ…大和」

「は…はいっ!」

動揺している最中に声をかけられた大和は直立不動になりながら返事をする。

「やるぞ」

「は…はいっ!」

憐斗はしゃがみ大和と同じ目線になる。そして一呼吸を置き

「大和」

「ふ…ふぁぃ…」

緊張のあまり目を回し倒れそうになるのを踏ん張りながら憐斗を見る。

「俺は大和を信じている、もちろんこれからも…だからもしもう二度と共に戦えなくなったとしても一緒に居て頼っても良いか?」

その言葉を聞き大和の意識がハッキリする。

「憐斗…あぁもちろんだ、私はこれからも憐斗と共に進む事を誓おう」

その勢いのまま大和は自ら憐斗に顔を近づけキスをする。

(これからも憐斗と共に…!)

大和と憐斗をまばゆい光が包む。

「これは…」

口を離した憐斗は自身を覆う輝きに戸惑う。

「大丈夫だ、しっかり捕まってろ」

大和は大きく飛翔し背後に見える太平洋の中に飛び込む。

「武装、リミットアウト…」

武装が光の粒子となり2人の周りを漂う。そして大和は自分の頭に手を当て

「メモリーオン…」

粒子が渦を巻きながら水面に向けて上昇する。そして水面を貫き船の船首が突き出る。更に砲塔を備えた巨大な船体が浮上する。

「あれが大和…」

「蒼嵐行くよっ!」

流星が蒼嵐を掴み大和に向かう。続いてクリーク達は結彩を持ち上げ流星と同じ様に大和に向かう。

大和の存在に気づいたモンスターはゆっくりと全体を回転させ主砲を大和に向けようとする。

「食い付いた」

「どうするんだ大和」

「あいつを海に引きずり込む」

「自重で沈めるのか、それが一番妥当だな分かった…」

「どうした?」

大和がそう問いかけた時

「憐斗!」

艦首に入ってきた結彩達に憐斗は迷った表情を向けてしまう。その顔を見た瞬間瞬時に察した結彩は腰に手を当て

「なーに迷ってるのよ、私はどんな事でも全力で協力するから、迷惑なんて思ってないわよ、それに憐斗に振り回されるのは慣れっこだしね」

「まぁ…私達じゃぁ憐斗見たいな判断は出来ないから…出来る事ならやってあげる」

夕立が憐斗の元に歩み寄り腕を掴み憐斗を見上げ背伸びをし顔を近づける。

「みなさんも危険なのは百も承知ですわ、ですから存分にわたくし達を利用して下さいまし!」

「そうか…ありがとうなみんな」

と、闇夜に見えるモンスターを見る。

「あいつを海に沈める、みんな協力してくれ!」

「「了解」」

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