表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Arms・Front  作者: 白兎
終焉決戦
114/120

114話 破壊

「憐斗っ!」

「分かってる!とにかくここから出るぞ!」

突如動き始めた要塞ラーテを見上げながら憐斗は唇を噛む。

ラーテが動いた跡は大きく地盤沈下を起こし洞窟が崩壊を始める。

「急ぐぞ!」

憐斗達は旋回しラーテの移動よりも早く洞窟の中に飛び込み奥に見える光に向けて突き進む。

無線を受信した事に気づいた加奈は耳に手を当てる。すると切羽詰まったような口調の憐斗の声が聞こえる。

「加奈今すぐ合流するぞ!」

「えっ!?…わ…分かった」

歯を食いしばり俯く美咲に目を向ける。

「時間なの…?」

加奈の視線に気づいた美咲は問いかける。

「は…はい」

その言葉を聞き美咲はゆっくりと立つ。

「心配かけたわね、もう大丈夫よ」

「来たみたい」

憐斗達の接近を感知しマチルダが2人に知らせる。それと同時に武装を纏った憐斗達が洞窟を飛び出す。

「憐斗!」

「二人ともはやくこっちに!」

結彩の呼びかけに戸惑いながらも合流し洞窟から距離を置く。

「一体何があったの…?」

「来る」

憐斗の呟きを聞き加奈は後ろを振り返る。すると洞窟のある山が崩れその中から巨大な要塞に似た戦車が現れる。

「まさか…ラーテ!?」

「ラーテ…」

「ラーテって大昔人間が設計していた兵器よね…でもあれは現実的に考えるとまともに動く事も不可能な兵器のはずなのに」

「いや…不可能じゃ無かったんだ」

と横目でラーテを見る。

「あいつは自身の重さから地盤沈下を起させている」

「確かにそうみたいやけどそれがどうして不可能になるん?」

「戦車だけでなく軍艦、戦闘機は国を守るためのものだ、だがその国を守る為のものが道路や橋を破壊していくような諸刃の兵器だと誰も造ろうとは思わない、けど今回は違う紀伊達はこの世界を破壊しようとしている、何も気を使う必要なんて無い、だからラーテを使う事が出来た、ただそれだけだ」

「そんなやつどうやって破壊するの?」

「破壊するのは後回しだまずはあいつの足止めをしないと…」

振り返りながら憐斗は砲弾を放つがラーテの装甲に弾かれる。

「あいつの外部装甲は硬すぎる…足止めでもしないと対策が思いつかない」

「いや、有るわ」

と、蒼嵐が憐斗の考えを否定する。

「硬いのは攻撃を受ける外部…なら内部からなら誰も想像していないから脆いはずよ」

「でもどうやって中に入るの?中に入るにもそんな隙間なんて…」

戸惑う結彩に蒼嵐はこう言う。

「あるじゃない大きな穴が!」

と主砲を指さす。

「確かに大きな穴だけど危険すぎるわよ!」

「あいつが粒子光線を放つには時間かかる、そこを狙えばやれる」

魚雷ミサイルを手に蒼嵐は自信の笑みを見せるそしてラーテの主砲からスパークが発生している事に気づき

「迷っている暇は無いわよ!」

と蒼嵐は憐斗に指揮を促す。

「分かった、俺が…」

「私が行くわ」

「こんな危険な事を…」

それ以上言わせないと言うように蒼嵐は憐斗の口に指を当てる。

「誰がやっても危険なのは同じよ」

「分かった…任せる」

エネルギーが最大まで溜まり辺りにスパークを散らしながら飽和するのを防いでいる主砲を見る。

「来るぞ!この攻撃を防いだら作戦開始だ!」

「「了解」」

同時に粒子光線が放たれる。素早く蒼嵐は憐斗達から距離を置き間合いを詰めやすいようにギリギリまで詰め寄り装甲を展開ししゃがむ。粒子光線の放つ衝撃が装甲を襲う。

「…?」

「憐斗どうしたの」

1度目に受けた時の衝撃の強さより弱い事に違和感を感じた憐斗は身を乗り出しラーテを見る。二門の主砲の内片方の主砲から未だに光が溢れていた。

「憐斗!はやくしゃがんで!」

光を浴び火傷をした頬を見て抑えるように加奈が憐斗をしゃがませる。

「まずい!蒼嵐、もう1発くる!」

憐斗の叫び声を聞き蒼嵐は主砲が自身に向けられている事に気づく。

「蒼嵐逃げて、流石に直撃は防げない!」

流星に言われすかさずその場から離れようとする。が、ラーテの前部に付いた目玉が動き蒼嵐を捉える。そして火花を散らしながら主砲が回転し蒼嵐を追う。そして蒼嵐の行動を先読みした主砲から粒子光線が放たれる。

「しまった!」

ーーーー

大爆発と共に周囲に水柱が露達の行く手を阻む

「ちっ!」

「お姉様!」

「ここは私達が!」

と、朱愛と美逢が先行する。その時海中から近づく音に気づき

「二人とも駄目っ!」

しかし露の制止はとどかず水中から水柱が二人を飲み込み空中に勢いよく吐き出す。宙に舞う血まみれの二人を露と冬菜が受け止める。

「姉様!」

「っ…死んでる…」

「一体何が…」

「潜水艦…」

と海中から再び近づく音に気づき

「回避!」

冬菜と露は左右に回避すると同時に二人の中間から水柱が立ち上がる。

「っ!」

その瞬間に振り返り水柱にてを突っ込む。そして何かに触れた感触を感じそれを逃がさないように掴み水柱から引きずり出し海面に叩きつける。

「少女…」

恐らく見た目は玖由と同じくらいの年頃の少女に露はより警戒心を強める。

「だれがー!子供だぁー!」

見た目通りの駄々のごね方に露は拍子抜けする。

「もー!お姉さんたちはいたぶってころしてやる!」

そのクリークは両肩に装備した発射口を露に向ける。すかさず露は後ろに下がると同時に下がると発射口から魚雷が空中に撃ち放たれる。

「なんでよけるのー!」

「全く…見た目と言う事のギャップが凄いありますね…」

「あー!また幼いっていったー!」

「言ってないですってば…」

冬菜の呆れた表情で突っこむ姿にそのクリークは地団駄をしながら

「いーちゃん!頭カッチンきた!」

「いーちゃん?」

露の問いかけに大袈裟に驚きながらも自信たっぷりの表情でこう答えた。

「伊十三型潜水艦その四番艦伊号第一潜水艦、いーちゃんさ!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ