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Arms・Front  作者: 白兎
終焉決戦
110/120

110話 転生者

「風邪ひくわよ?」

憐斗達が出撃してから一向にその場から離れようとしない崖から海を眺める玖由に瑞鶴が声を掛ける。

「うん」

と言いつつも動こうとしない玖由の隣に座り自身の上着を玖由に羽織わせる。

「間に合わなかった…から」

と鍵を目の前に垂らす。

「それは?」

「ランチャー装備は武装の欠点を補う武器…だけどこれは武装の利点を更に強化する武器」

と背中から地面に転がり太陽の光を遮るように手を上にかざす。

「届けたい?」

「そんな事聞いてどうするの…」

「連れて行ってあげるわよ」

きょとんとする玖由に瑞鶴はウィンクした。

ーーーーー

向かい合う羽根と葵はお互い様子を見るように距離を置きながら対峙していた。

「こんな付き合いなんてごめんなんですけど」

「殺しても殺しても転生する方が悪い」

と線路の周囲に転がるバラストを宙に浮かせ弾丸のように放つ。

が、それを見て羽根は鞘に手をかけ飛んでくる石を砕く。それを合図に2人は一瞬で間合いを詰めお互いの刃を重ねる。その衝撃で周囲の物が吹き飛ばされる。競り合いを押し切り飛ばされた葵は宙に舞う線路に触れそれを羽根に向けて放つ。それをかわし距離を詰めようとするが葵にの猛攻に詰めることが出来ず銃を手に取り銃弾を放つ。対して葵は刃を重ね合わせ盾のようにし銃弾を弾く。僅か隙を見逃さなかった羽根は50kg以上ものある枕木を蹴り飛ばし更に間髪入れず持ち上げ投げ飛ばす。一本目の枕木を防いだ葵だったが枕木の重さと衝撃によろめいてしまう。更に瞬時に防ぐ事が不可能と感じ刃を消滅させ最低限のダメージで抑えようとする。しかしその瞬間枕木が2つに割れ飛翔し枕木の影に隠れながら距離を詰めていた羽根の放った衝撃波が葵を襲いバランスを崩し地面に叩きつけられる。

「かはっ…」

追撃をしようと滑空する羽根を見上げ葵は銃を創造させ弾幕を放つ。羽根は咄嗟に装甲を展開し銃弾を防ぎ1度距離を置く。そして再び踏み込み瞬時に葵の目の前に現れ居合いの構えをとり刃を向ける。しかしその刃を葵はオーラを纏った手で受け止めていた。

「なっ…見切り!?」

「昔からの悪い癖…あんたは最初から本気を出し過ぎる所っ!こんな攻撃2度3度見れば見切りなんて容易っ!」

地面を勢い良く転がり鉄橋の柱にぶつかり鉄橋から落下する寸前で止まった羽根は口から流れる血を吹き笑みを向ける。

「なら、あなたの悪い癖は最初から本気を出さない事」

「なにを負け惜しみを」

「それはどうでしょうか?」

羽根は刀を納刀する。同時に葵の武装から次々に亀裂が入り全身から血飛沫を上げながら力無く座り込む。

「いつ…の…間に…」

「私は誰も居合いは一撃とは言っていませんよ、でもあなたならこんな連撃本気なら防げた筈ですよね」

「…っ…あはっ…あはははははっ」

漂うオーラが炎のように揺れ動き瞬時に傷が癒える。

「今回の私とあんたの違い…それはこの力を持っているか否か!」

オーラを身体に吸収させる。

「あははっ!全身が鋭敏になってる」

薄い青色が濃くなった瞳を向け笑みを見せる。と同時に羽根の腹部に激しい痛みを感じよろめく。微動だにせずに繰り出された攻撃に困惑しながらも再び居合いの構えをとる。しかし鞘を握るという動作の間に間合いを詰められていた事に気づき咄嗟に居合いをするが鞘を握る手を殴られその衝撃で刀を手放してしまう。流れるように拳を羽根に触れさせる。と、衝撃波が全身を襲い軽々と吹き飛ばす。地面に叩きつけられた衝撃で武装の片翼が折れる。

「っ…なるほど…そういう事ですか…」

仰向けになったまま羽根は口を開く。

「あれを喰らってまだ喋れるんだ」

「溜めたエネルギーを衝撃波として放つ…」

「へぇ、残念だけど三角、エネルギーは武器も創造出来るの」

「そうですか…」

よろよろと立ち上がり銃口を葵に向ける。

「はぁぁぁぁぁ」

(一か八かの賭けです!)

大きく腕を振りながら銃弾を周囲にばら撒く。

「そんな事をして何になるって言うのさ!」

突っ込む葵は余裕な表情を見せる羽根に違和感を抱きながらそれを断ち切るように刃を創造させ突き出そうとするがその瞬間両側から飛んでくる弾丸に気づき後ろに飛び上がる。

(どこから飛んできたの…?)

2つの銃弾は接触すると別方向に飛んでゆく。

(跳弾!?)

葵はそれを身を翻して避けるが縦横無尽に飛び回る銃弾に徐々に行動範囲を狭められていく。

「まだだっ!」

刃から銃へと創造させ銃弾に向けて銃弾を放つ。すると銃弾の軌道が逸れ羽根との一直線の道が出来る。

「これで…」

「決めるっ!」

お互い短剣を持ち突っ込む。次の瞬間羽根は短剣を投げる。そしてその短剣に銃弾が命中し更に軌道が変わり葵に命中していく。それに耐えながら羽根の胸に刃を突き刺す。

「捕らえましたよ…」

手元に地面に突き刺さる刀を手にとり葵を切り上げる。

「くはっ…!」

が、それと同時に飛び交う銃弾が羽根の右目に直撃する。

「はぁぁぁぁぁっ!」

突き刺さる刃を抜き取り葵に向けて刀を突き刺す。

「かはっ…」

倒れる葵を見届け刀を抜き取る。その瞬間葵の笑い声が響き渡る。

「転生者と聞いて期待していたが想像以上だったよ」

「…あなたはアメノウズメ…」

「よく分かったな」

とふらっと立ち上がり葵は羽根を見る。

「私はこれで終わらせるのは面白くない、1度ここは引かせてもらう」

「待ちなさいっ!」

銃弾を放つが葵は姿を消してしまう。

「はぁ…はぁ…」

全身の痛みに耐えながら力無く柱にもたれる。

「今の私でもここまで…ですか…みんなあとは任せましたよ…」

と柱から横に倒れてしまいそのまま橋の下に落下していく。

(次会う時は…)

と、手を離れていく空に向けて伸ばすがそのまま

羽根は水に飲み込まれた。

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