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Arms・Front  作者: 白兎
東京襲撃
105/120

105話 正と負

「結彩何をする気だよ!」

一人でアルマの大軍に立ち向かおうとする結彩を俺は止めようとした。しかし

「言ったでしょ、私はあなたを守るって」

そう言い残し結彩は火の海に飛び込む。そんな結彩を俺は何も出来ず座り込んだ。

「俺は…誰かに守ってもらわないと駄目なのかよ…」

そう言い何も出来ない自分への腹立たしさをぶつけるように地面を思い切り殴った。


「っは!?」

憐斗は勢い良く起き上がる。

「夢…だったのか…」

落ち着かせるように自分の手を重ね合わせる。

(でも、もしあれが本当なら…)

深刻な表情で考える憐斗だったがそんな憐斗を気にせず聞こえる寝息に憐斗は我に返り寝息が聞こえる場所を見る。そこには玖由と大和が寄り添ういながら気持ち良さそうに寝る姿があった。

起こしては悪いと考え憐斗は物音を立てずに部屋を出る。

「起きたのね」

扉を開けると扉の横に立っていた瑞鶴が憐斗に声をかける。

「あんたを心配して玖由が付きっきりで傍に居たのよ…ったくあんたが羨ましいよ…」

「話しがあるんじゃないのか?」

「そうね…あんたには知ってて貰わないとね」

と半分開いたままの扉から玖由が寝ているのを見届け扉を閉める。

「玖由はもう戦えない…」

「どういう事だ」

「玖由は梨絵が死んだのは自分のせいだと思ってる、そしてそれがトラウマになってるの…それは玖由自身が自覚して無くても心の奥でストッパーが掛かってる…多分もう二度アームズになれない」

「そうか…」

「だから、お願い!」

瑞鶴は土下座をし憐斗に頼む。

「玖由を許して上げて欲しい」

「許すって…なにを…」

「玖由が悪く無いとは言っても油断さえしていなければ玖由ならあんな攻撃防げていた梨絵を死なせてしまった原因を少なからず作った玖由を許してあげて欲しい」

「玖由はそう考えて自分を責めているのか?」

「うん…」

「分かった…けどこれは自分自身で自分を許さないとどうする事もできない事だぞ」

「大丈夫、玖由は強い子だから」

「…そうだな」

部屋で寝ていた玖由は涙を流す。それに気づいた大和は更に深く寄り添い再び目をつぶった。

「憐斗もう起きたの?まだ休んでいた方が…」

艦橋にあがると夏琳が憐斗に気づき駆け寄る。

「もう大丈夫だ、それにもうすぐ呉だろ…聞かないと行けないこともあるしな」

怒りという感情を押し殺した様な喋り方をする憐斗を見て夏琳は不安そうな表情のまま憐斗を見る。

「憐斗…」

艦橋の端に居た信濃はそんな憐斗を見て目を逸らした。

ーーーーー

呉に着くと同時に憐斗はおおすみから飛び降りそのまま琢斗が居る指揮官室に向かう。そして扉を破壊するかのように勢い良く開け琢斗に歩み寄り胸ぐらを掴む。

「全部知っていたんだよな…?」

「あぁ知っていた」

「っつ!」

予想通りの質問に冷静に答えた琢斗に憐斗の感情を更に逆撫で拳を琢斗にぶつける。

「気は済んだか?」

真っ直ぐ憐斗を見る琢斗に憐斗は更に拳を引く。

「知っていたならなぜ…言わなかったんだ!」

「なら聞くがお互いが手加減をして敵の隙を狙っていたと言う事を敵が知っていたらどうなって居たと思っている、今よりもっと死人は出ていた、蒼嵐や結彩も死んでいた可能性もあったんだ、それでも良かったというのか!?」

「それは!あくまでも可能性の話だろ!」

「だとしても、敵がカオスアルマとなった瞬間に何人死んだ!誰に梨絵…いや遥香が殺されたんだ!」

琢斗は憐斗にそう言い殴り飛ばす。

「…っ!」

憐斗は立ち上がり琢斗に殴り掛かろうとするがそれを後ろから伸びた手に止められる。

「いい加減もう辞めるんだ」

「お前は…」

香楽の手を振りほどき敵を見る目を香楽に向ける。

「あいつがどうして…」

「そんな事より憐斗を止めないと!」

遅れて指揮官室に到着した結彩、蒼嵐、玖由は部屋の状態を見て戸惑うがいち早く状況を理解した玖由が憐斗を止めるために飛び出す。

「憐斗!とにかく一旦落ちついて!」

そう憐斗に訴える結彩を背に蒼嵐と玖由が香楽を警戒する。そんな香楽を守るように武蔵が香楽の前に立つ。それを見た流星、瑞鶴が2人の横に更に武装を纏った大和とヘルまでもが香楽と武蔵を囲むように立ち砲塔を向ける。

「っ…!」

一触即発の雰囲気を感じここで戦いを起こす訳にはいかないと考えた憐斗は気持ちを落ち着かせるに落ち着いた憐斗に安堵しながらも結彩は琢斗を見る。

「どういう事か説明して貰えますね?」

「あぁまず香楽は俺の弟子だ」

「「!?」」

香楽以外の一同の驚く姿を知り目に話を続ける。

「憐斗が生まれる以前、俺は地学を勉強していた、そしてそこで知り合ったのが香楽、そして…末莉、そして俺達の教授が政宗さんだった」

「母さんも…」

「ある時、俺達3人はとある山である石を見つけた、それは石と言うには軽く淡い藍色で見た事が無い石だった、俺達はそれを持ち帰り政宗さんに尋ねた、しかし政宗さんも知らない石である事を知り俺達は研究をする事にしたんだ」

「司令官…少しいい、ですか?」

ぎこちない敬語を使いながら玖由は琢斗に問いかける。

「司令官達は自分達が絶対に死なないようにしています…よね、なら生きてるんじゃないんですか?…憐斗のお母さんも…」

「ま…まさかそんな事ある訳が…まずそれが本当だとしたらどうしてそんな偽装をしないといけないの…」

「憐斗のお母さんは巫女だったんだよね?」

玖由は憐斗に問いかけると憐斗は戸惑った表情で頷く。

「聞いたことがある…巫女の中には未来を見る事が出来る者も居るって、恐らく憐斗のお母さんがそうだったんだと思う、そしてそんな力を持っていると敵に知られると命を狙われる可能性がある、だからあらかじめ死んだと思わせておくほうが守りやすい…だからだと思う」

「本当なのか?」

「流石だ、玖由」

琢斗がそう言うと琢斗の背後にある棚が横に滑り現れた空間から巫女服の末莉が現れる。

「母さん…!」

「久しぶりね、随分大きくなって…」

近づいて来る末莉から距離をとるように後ずさりをし憐斗は全身の力が抜けまともに立てなくなる。そんな憐斗を結彩と蒼嵐が支える。

「話…を…続けてくれよ…」

憐斗の言葉を聞き琢斗は再び話し始める。

「研究していくうちにこの石には波長がある事を知った、それも人間が無意識に放つ波長にそっくりだった、そして異変が起きたのは1年後の事だった」


「ねえ琢斗、これは…」

輝きが増した石を見て末莉は不思議そうに俺にに問いかけてくる。

「今までに見た事が無い現象ですね」

「そうだな」

と触れようとした瞬間石から電撃が放たれ電撃が部屋中に広がり俺達は身を伏せた。そんな時石が2つに分裂しその片方が解けるように消えた。


「この事件以降俺達は石に付いて様々な事が知る事が出来た」

と淡い藍色の石を憐斗達に見せる。

「この石には人間の正と負の感情を集める役割がある事」

「誰が…どうしてそんなものを作ったのよ…」

「それは今でも分からないの」

琢斗の代わりに末莉が答える。

「そしてこの石が大和達クリークを生み出している」

「正の石から生み出されたクリークはアームズに負の石から生み出されたクリークはアルマ・カオスアルマに属していると」

「そう、そして石を…世界を戻すには全てのクリークを集める無いといけなかったんだ」

「だから香楽にアルマ側に付いてもらい出来るだけのクリークをこちらにつくように説得してもらったんだ」

「そんな時に例の悲劇が起きた、私が駆けつけた時には九花村は…」

香楽はそう言い、憐斗に歩み寄り土下座をする。その行動にその場の全員が驚く。

「末莉さんは救出出来たが君たちを助ける事は出来なかった…全て私の責任だ紀伊達カオスアルマの行動は事前に察知出来ていたというのに」

「あんただけが…悪いんじゃないさ…」

そう言い残し憐斗は部屋から出ようとするが、扉の前で立ち止まる。

「さっきは殴ってごめん」

と憐斗は部屋を出ていく。そんな憐斗を結彩達は追いかけ最後に部屋を出た玖由が軽く一礼し扉を閉めた。

「分かっていたことだけどやっぱり辛いことをさせたね、憐斗には…」

「あぁ…香楽も悪いな」

「いえ、私が望んでしている事ですから問題ありません」

「次の作戦で全て終わらせる…!」

琢斗は自分の爪が手に食い込み血が流れるほどの力で握りながらそう答えた。

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