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Arms・Front  作者: 白兎
東京襲撃
103/120

103話 真実

「ツクヨミ…あははっ!」

葵は自分に向けられる紫色の瞳を睨みつけるが、笑いながら手を広げる。

「お前を倒して私が最強だという事を証明する!」

葵から放たれるオーラから刃が形成、実体化し結彩に向けて放たれる。伸びた髪を靡かせながら真っ直ぐ手を伸ばす、すると結彩の周囲からプラズマがはしりそれが手から放たれる。電撃は刃を砕き葵のオーラを貫く。

「っ!」

葵は再び刃を形成させそれを四方から襲いかかるように放つ。電撃を放つが撃ち落とす事が出来なかった刃が結彩に突き進む。

「結彩っ後ろだ!」

憐斗の声を聞き結彩は振り返るがそれと同時に刃が命中する。

「やった…」

「所詮、この程度…結彩(わたし)の相手にならないな」

刃を粉々に砕き横目で葵を睨む。

「…っ」

結彩の目を見て葵は自分の震える手に気づき抑える。

(私が…あいつに恐怖してるというの…?)

葵は睨み返しオーラから精製した刃を手に取り結彩との間合いを詰める。

(遠距離が駄目なら近距離でっ!)

と、刃を振り下ろすが結彩に触れた瞬間刃が砕け衝撃が葵を吹き飛ばす。

「はぁっ!」

結彩は反撃しようと葵を掴み押し倒し稲妻を纏う左手を振り下ろすが同時に脳裏にある光景が過ぎる。

ーーーーー

燃える街に横たわる自分を抱き上げ涙を流す憐斗の姿、そして

「大好き…」

そう言い目を閉じた。

ーーーーー

「くっ…」

突然よろめく結彩を見て憐斗達はもちろん隙を見て脱出した葵はなにが起きたのか理解しきれずにいた。しかし葵はこのままだと不利になると考え

撤退しようとする。それを苦しそうに顔を歪め手を当てながら右手を葵に向け周囲にアルマをわかせる。

「にが…さない…!」

アルマは一斉に葵に襲いかかるが、葵はオーラから2丁のライフルを精製しアルマに向けて放ち葵は身体を回転させ四方から襲いかかるアルマを撃ち抜いていく。銃声が鳴り止みアルマが全滅した時には葵の姿は無かった。

「っ…」

力なく倒れる結彩をレンナが支える。

「目的のものは奪えたんだ、撤退する」

「……」

センが梨絵を抱え、玖由は無言のまま立ち上がりレンナの元に歩いてくる。そんな玖由の頭を撫で

「玖由の責任じゃない、俺が最初に葵の正体に確信をもっていれば…」

「そんな誰の責任だなんて、どうでもいい事…その言葉二度と聞きたくない…」

そこに天井を突き破り夕立の姿が現れる。

「ビークルの殲滅完了しましたわ」

「あぁ…」

覇気のない返事に夕立は疑問を抱くがセンが抱える梨絵の姿を見て察したように目を閉じる。

「こちらですわ」

それ以上何も言わず夕立は憐斗達を安全に脱出出来るように案内する。

レンナは無線が点滅している事に気づきスイッチを入れる。

『憐斗!良かった、繋がった』

蒼嵐の安堵する声が憐斗の胸を苦しめる。

(蒼嵐も遥姉さんが死んだ事を知ったら…)

『大丈夫なの?』

「あぁ…今、撤退している所」

『無事に終わったのね!』

「っ……後は合流してからでいいか…?」

『えっ…うん、了解』

「すまない…」

とレンナはスイッチを切る。

「くそっ!」

結彩を振り落とさないように気を使いながらも拳を勢い良く壁にぶつける。同時に涙がレンナの額から振り落とされたのを玖由を目にし俯いた。

「憐斗…」

無線を見つめる蒼嵐に加奈は覗き込むように見る。

「なんかあったん?」

「いや…憐斗の様子がおかしかったから心配で…」

「ならうちらも早く合流しに行こ」

「うん、そうだね」

加奈は四条達に事情を伝え急ぐ。そして蒼嵐達が憐斗達になにが起こったのか理解したのはそれから2時間後の事だった。

ーーーーー

「嘘…」

「えっ…」

梨絵が死んだ事を知り蒼嵐と加奈はぼう然となる。更に蒼嵐には梨絵を殺したのが葵だという事を知り力なく蒼嵐は座り込んでしまいそうになるが机を支えに立つ。

「蒼嵐…」

「大丈夫、けど少し1人にさせて…冷静になりたい…」

と蒼嵐は艦橋から出ていく。玖由は心配になり追いかけようとするが瑞鶴が玖由を止め首を横に振る。

「………っ!」

蒼嵐は壁を何度も強く叩く。そして痛みを感じる頃には拳が痛々しく赤くなる。しかしそれでも止めずやるせない気持ちをぶつけようとするが、後ろからの力に引っ張られ止められる。

「何やってるの?」

「結彩…」

蒼嵐達と合流すりなり気を失ってしまい先程まで寝ていたと思わせるガウンコートのような物を一枚羽織った結彩の姿があった。

「…聞いたのね」

蒼嵐の涙を浮かべる表情を見て結彩はそっと蒼嵐を抱きしめる。

「蒼嵐がそんなんだと憐斗任せられないじゃない…」

「え…えっ!?」

「蒼嵐も憐斗が好きなのは知ってるわよ」

蒼嵐は全てを見透かされていような感覚になりながら結彩を見上げる。

「私は多分あまりみんなと居られないから…」

「それってどういう意味?」

「…蒼嵐には教えておいた方が良さそうね、私はね…死んでるの」

「じ…じゃあ今私の目の前に居る結彩は…!?」

「この身体も人格も本物なの…けど私は存在していないはずなの…どうしてこうなってるのか説明出来ないの…ツクヨミでさえも…」

「まさか、ツクヨミの力を使ってアルマを全滅させるつもりじゃ…」

「……っ」

「そんな事したら本当に死んじゃうかもしれないのに!」

「そうね、でも私がやらないと行けないことだと思うの…」

「そんなことない!私達…私も頑張るから…」

「その気持ちは嬉しい…けど頑張っても出来ない事もあるの、誰も犠牲にせずに解決することも…」

「…分かってるわよ!」

頭では理解しているものの結彩に言われ思わず反論してしまう。

「…分かってる…けど…」

蒼嵐は結彩に背を向け

(けど…そんなかっこいい所見たら憐斗を奪えないじゃない…)

と夜空を見上げた。

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