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ウチの母ちゃんが25年前に書いた小説見つけたったwww  作者: 征彌
俺は母ちゃんに復讐したい
50/210

50.母ちゃんの小説 第25話

 雄司は小さくため息をつくと羽毛の山の下から手紙を拾い上げた。

「罠というよりは警告(ウォーニング)という感じだな。彼女を探すな、という」

 彼は封筒の皺を伸ばし、中から便箋を取り出した。

 前略

 突然このような手紙を差し上げて大変心苦しく思っております。

 ですが他におすがり出来るところがございません。


 私は新潟に住み、夫と二人で薬局を営んでおります。私自身は子宝にこそ恵まれませんでしたが、家業も順調で人並みに幸せだと思っております。

 私が心に懸けているのは妹の事でございます。

 幼い頃に両親が相次いで亡くなり、私達姉妹は叔父の家に引き取られそこで育ちました。そして私も妹も高校を卒業するとすぐ働きに出、まもなくそれぞれいい人に出会い結婚いたしました。親のない身の上だけにいろいろ負い目を感じることもございましたが、幸い私の夫も妹の夫もそういったことに拘らない人でしたので助かりました。

 妹が夫の実家である長野の山奥へ行ってしまったので会う事こそ年に二、三度と少なくなりましたが、その分頻繁に手紙をやり取りしたり電話で話したりしておりましたので、妹の生活ぶりについてもよく知っているつもりでした。

 妹の嫁ぎ先は農家で主に高原野菜を栽培しておりました。町育ちゆえ果たしてうまくやっていけるものか心配しておりましたが、妹は夫婦仲もよく、姑たちと一緒に楽しく農作業をしていると言っておりました。

 半年前からです。全てが変わってしまったのは。

 ある日突然警察から電話があり、妹の家が火災で全焼したと知らされたのです。私は夫と急いで妹の家に駆けつけたのですが、焼け跡から義弟の遺体は見つかったものの、妹は見つかりませんでした。

 そして現場検証が進むうちに出火場所にガソリンを撒いた形跡があるとのことで失火によるものとされていた火災は一転して殺人事件に変わり、妹の身内として村に入った私達は途端に容疑者の家族と呼ばれ、義弟の葬儀にも出席を許されませんでした。

 それ以来、私は妹を見つけ出し殺人の疑いを晴らすべく奔走しております。自分で調べまわるだけでなく、興信所にも依頼し、霊能者と呼ばれる人たちにも会いました。しかし妹の行方も義弟が殺された手掛かりも分からないままです。

 正直に申し上げますと、私は今まで特に信心深かったわけでもなく、霊能力などには懐疑的でしたので、これは誠に自分勝手なお願いだと承知しております。しかしながら、もう他にはおすがり出来るところがございません。

 どうか私の妹、加山多鶴子(たづこ)の居所をお教え下さい。

 伏してお願い申し上げます。

早々


「送り主の名は宮間千鶴子(ちづこ)。宮間は旦那の姓だ」

 遙はテーブルの上のタバコに手を伸ばした。

「しかし、変じゃないか。人探しの以来の手紙に警告(ウォーニング)()なんて」

「何故だと思う、遙」

「さぁ。俺の力じゃそこまでは分からないな」

 雄司は便箋を遙に見せた。

「これが原因だ。この便箋は失踪した多鶴子のものだ」

 遙の頭の中を一瞬でいくつもの情景が駆けぬけた。

 炎。悲鳴。崖を真っ逆さまに落ちていく車。

「俺たちの前に宮間千鶴子はいろんな拝み屋のところに行ったようだな」

「しかし彼らはことごとく警告に殺られた。そして彼女自身も」

 雄司はポケットから小さく折り畳んだ新聞の切り抜きを出した。


  居眠りか!?

  乗用車谷底に転落

  夫婦死亡


 白抜きの大きな見出し生地が目に飛び込んできた。

「高原日報。長野の地元紙の今月初めの朝刊だ。これによると事故が起きたのは先月末の深夜。二人とも即死だったらしい」

「居眠りじゃなかったのにな」

「あぁ。視えただろう。二人とも車がカーブにさしかかったときちゃんと起きていた。何かにハンドルを取られて崖から落ちたんだ」

 二人はそれぞれの脳裏に鮮明に映し出された車を見つめていた。車はカーブの手前で急にバランスを崩し、ガードレールを越えて遙か下の谷底に吸い込まれていく。

「シマ」の一族では彼らと名鹿島家の人間しか出来ない「過去視」の力である。

 俺は非常によろしくないタイミングで今回の話を掲載するような気がします。    

 これは25年前に書かれたもので、俺がタイプし直し、適当な長さに分けて順次ウェブ上にアップしています。話の中に車の事故が出てくるので、何か最近現実にあった出来事に関連づけて考えてしまいそうですが、このパートが今回来てしまったのは本当に偶然です。どうかご理解ください。

by「俺」

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