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ウチの母ちゃんが25年前に書いた小説見つけたったwww  作者: 征彌
俺は母ちゃんに復讐したい
24/210

24.母ちゃんの小説 第12話

 サンダルを履いた桃子の足が床に着くかつかないうちに階段を駆け上がる音がし、グレイのスーツの男が現れた。

「桃子っ!」

 スーツの男は大声で叫ぶと少女に駆け寄った。

「ケガはないか。どこかぶつけたか」

 慌ただしく言うと、少女の頭や手足を仔細に調べだした。

 そのうちに他の男たちも現れた。

「桃子様、ご無事でございましたか」

 少女は大人たちの慌てぶりに目を丸くしていたが、但馬の言葉ににっこりと微笑んだ。

「うん、平気」

 そう答えると、両手でワンピースの裾をつまみ、男たちに向かって優雅にお辞儀をした。

「今晩は。伝令、参りました」

 一同は呆気にとられたようにポカンと桃子が頭を下げるのを見ていたが、翔からは雄司の眉が釣り上げるのが見えた。

 雄司は少女の肩を掴むと激しく揺さぶった。

「何でお前が来たんだ、桃子。え? 透はどうしたんだ、透は」

 少女はあどけない顔で笑った。

「えへへ。透おにいちゃんに代わってもらったの。桃子、どーしてもやりたいって言って」

 たちまち雄司の雷が落ちた。

「伝令は遊びじゃない、村の大切な役目だ。勝手に代わるんじゃない。それにどうしてこんな遅くまで起きているんだ。真夜中だぞ。華子おばさんか誰かにことわって来たのか。行く先はちゃんと言ってあるのか」

 雄司の厳しい口調に少女の笑みはだんだん消えていった。

「だって……だったんだもん」

「何だって」

「……だったんだもん」

「え」

 少女の頬が硬くこわばり、次にそれは泣き顔に変わった。

「だって…だって桃子、どうしても雄司ちゃんに会いたかったんだもん」

 目から大粒の涙がこぼれる。

「パパ(・・)ぁ」

 桃子は雄司の腰にしがみつくとしゃくりをあげて泣きだした。

「「パパ」?」

 翔は驚いて振り返り、遙の顔を見上げた。

「しっ」

 遙は翔の指に人差し指を押し当てた。

「黙ってろ。後で話してやるから」

 翔はひんやりした遙の指の感触にむずがゆいような快感を覚え、小さくうなずいた。

 雄司はしばらくの間、きつい表情で泣き続ける少女を見下ろしていたが、不意に穏やかな顔になった。

「…そんなに会いたかったのか、桃子」

 その手が少女の頭を撫でる。

「こんな危ないことをしてまで」

 泣きながらも少女はうなずいた。

「うん。…だって、パパが帰ってくるの、一年にいっぺんなんだもん。もっとたくさん会いたいよ。…そうじゃないと、杏子も橙子もパパの顔忘れちゃう。…陽司だってね、もうお話しできるようになったんだから」

「へぇ。陽司が」

 男は目を細めた。

「よく分かったよ、桃子。でも、もう二度とやっちゃダメだ。伝令はとても大切な仕事だからね。約束できるな」

「うん」

 少女は雄司のスーツに顔を押し付けたままうなずいた。

 他の男たちはその様子を所在なげに見守っていた。

「島邑の嬢ちゃんか」

 ややあって、間島が目を細めて言った。雲を突くような巨体で見かけは恐ろしげではあるが、顔に似合わず彼は大の子供好きであった。

「桃子ちゃんは今、いくつだ」

 彼の問いに少女は雄司の蔭からちょっと顔を覗かせて答えた。

「桃子ね、八歳なの」

 その顔には再び愛くるしい笑みが戻っていた。

 こうして見ると、少女の目や口もとははっきりと雄司の面差しを留めている。そして彼らが寄り添う姿は紛れもなく血を分けた肉親であることを表していた。

「なかなか大変ですな。——ねえ、パパ(・・)」

 遙が雄司に向かってニヤリと笑ってみせた。

「今度言ったら…消すぞ」

 雄司は片手を遙に向けてかざして見せ、振り返って桃子に笑いかけた。

「さ、桃子。但馬のおじちゃんに透から預かった手紙を渡すんだよ」

「うん」

 桃子はワンピースのポケットを探り、中から二つに折りたたんだ白い封筒を取り出すと神妙な顔つきで但馬に手渡した。

「伝令の書、有り難く頂戴いたします」

 桃子の背丈に合わせて絨毯に片膝をついた但馬は深々と頭を下げ恭しく封筒を受け取った。

「では皆様、部屋にお戻りなさいませ。宮司様からのおつとめをお知らせいたします」

 翔は男たちの視線を気にしながらも手を伸ばし、後ろから遙の指先を握った。

「分かってるよ」

 遙が小さくつぶやいた。彼は雄司の肩をつつくと何やら耳打ちした。

「オーケー、分かった」

 雄司はそう言うと桃子の手を引いて階段を降りていった。但馬らがその後に続く。

 何か今回の部分を写していたとき、何となく「母ちゃん若かったんだな〜」と思いました。たぶん、子供との接し方とかその辺の印象からだと思うんですけど。

 あと、俺、親に肩車をしてもらったのは幼稚園までだったと記憶してます。それ以上だと自分が恥ずかしいというよりも、きっと重すぎて無理だったのかもしれないです。

 でも、外国の人とか平気で大人の女の人を肩車してたりしますよね。やっぱり体力差ってことなのかな。

by「俺」

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