13.げぇっ、今日は13日の金曜日じゃないかっ!?
(残酷な表現が入ることを先にお詫びしておきます。特にお食事中の方に)
11日に不在にしていたときの分を一気に昨日投下してしまったので、今日は母ちゃんの小説部分だけ投下して骨休めしようと思っていた。
だが、今日が13日の金曜日だと分かり、しかもこの話が第13話だから、何としてでも今日書いて投下しちまうことにする。
といっても、取り立てて書くこともない。
そんなにドラマチックな出来事がそう毎日俺に起きるワケないし。
なので、ごくごく普通の話を書いてみる。
ついこの間のことだが、朝、起きたら、部屋が臭かった。
お、俺、何もしてないからなっ。
海産物系の匂いじゃねーし。
いくら弁明しても説得力に欠けるので、ちゃんと何の匂いか書いておく。
一言で言うと、◯ンチの匂いだ。
あ、俺のじゃないからっ。
人間のではなく、犬のウン◯だ。
ちょっと書いてて不安になってきたけど、
みんな普通にウ◯チの匂いがしたら「これは犬の、これは人の」って分かるよな?
犬の場合は、ドッグフードの匂いが混じるから、一発で分かる。むしろ人間のほうが人によっていろいろ偏った食い物を摂ってる分、バリエーションがあって「これ、人間の」と断言しにくい気がする。雑食だからかな、基本。
猫も当然分かる。
てか、絶対嗅ぎたくない。
(ここから◯ンチではなく、フ◯と呼ぶべき)
鳥類と爬虫類は匂いも形状も割りと似ている。
さすが祖先がかぶってただけある。
両生類は魚類に近い。この辺は棲息地が同じだからか?
って、おいっ。
何で俺は延々この話題を引っ張ってるんだ!?
本題に戻ろう。
「おはよー。何か臭ぇけど、また父ちゃん?」
「そうよー。まったくねー。玄関ですぐ脱いで貰ったけど、ダメだったわー」
俺と母ちゃんはこれだけで通じる。
また父ちゃんが朝ジョギングでどこかの犬のウン◯を踏んで帰ったのだ。
父ちゃんはちょい蓄膿ぎみなので、一般より鼻が利かない。
かたや、母ちゃんと俺は一般より鼻が利くほうなので、こういう結果になる。
後で家を出るときにドアを開けたら、父ちゃんのシューズが野ざらしにされていた。
思えば、全ての発端となったあの日も、匂いから始まっていた。
バイトから帰って玄関で靴を脱いでいるとき、ぷんと異臭がした。
あ、異臭っつっても◯ンチじゃない。
家族ではない人間の匂いが玄関に漂っており、それは帯のように居間まで伸びていたので「あ、誰か来たんだな」と分かった。
古い洗濯バサミをビニール袋に入れて放置したような匂い。
これはオバハン、あるいはバーサン。
あと、限りなく希釈した甘酢に、やっと気づくか気づかない程度まで薄めた馬糞を、混ぜるのではなく、それぞれまだらに散らしたような匂い。
…赤ん坊だな、これは。
強いて説明すると、こうだ。
だが、これだけ詳細に説明したとしても賛同されることはほぼない。
色なら見せれば分かる。
音なら聴かせれば分かる。
味なら食べさせれば分かる。
しかし、匂いに関しては、よほどテンプレな芳香か悪臭でないかぎり、人はあまり気に留めないし、それを分析して考えようともしない。だから仮に甘酢と馬糞を入手して俺のいう「赤ん坊の匂い」を再現したとしても、ほとんどの人は赤ん坊の匂いを認識してないのだから分かってもらえないだろう。
調香師になればいいじゃん。
昔、そう言われたことがある。
でも、たぶん無理だ。
俺や母ちゃんの嗅覚は、人工的な芳香は分析できない。分かっても、
「トイレに置いてあるのと同じニオイだ」
「◯スクリンのニオイ〜」
ぐらいで、オサレな女子大生やOLさんのほうがずっと詳しいと思う。
「あっちから煙の匂いがする。火事じゃないといいけど」
「昨日から季節が変わったね。何か空気が違う」
俺たちは目に見えるものや聞こえた音と同じように嗅いだニオイについて話す。そしてその間、父ちゃんはぼや〜っと俺たちの会話を聞いている。
そういや、あのとき。
母ちゃんのノートを見つけるきっかけになったアルバムにも、親戚のオバハンの古いプラスチックめいた匂いがバッチリ残っていたっけ。
俺は警察犬をめざすべきだったのかもしれない。
あー、なんで唐突にウ◯チの話になったかというと、
「13日の金曜日 → 不運 → 運が悪い → 運の尽き → ウン◯つき
→ 父ちゃんが犬の◯ンチ踏んだ → 家の中が臭い → 以下略」
こういう連想があったから。
まあ、嗅覚の話は本当だけどさ。




