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プロローグ
ーーー私達は、とんでもなく似た双子だった。
頭が真っ白になるってこういうことなんだな。とか、思考がやけに呑気に働いている。
耳は、聞こえているであろう人々の悲鳴を完全にシャットアウトし、私の心臓の音だけが脳内に鬱陶しく響く。
目は、目の前にある“モノ”を映すためだけのものになっていた。
はっきり言うと、私の双子の姉妹の死体を映すためだけのものに。
錆びた鉄のような臭いを発する血に意識が朦朧とするなかで、鮮明に映る黒い影が飛び込んできた。
その影が、低く、底知れぬ悪意を感じさせる不気味な声で言った。
『お前は実の姉妹の身代わりになれるか?』