表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青い蝶  作者: 伊湖夢巣
3/48

第1章 古文書 その1

いよいよ本文です。

「まったく時空局の奴ら、だらしがねえったらありゃしねぇ。」


 コクピットの中で、雨雄は子供のようにはしゃぎながら、小型恒星間シャトルの後方監視モニターを眺めながら、騒いでいた。


 先ほど時空局のパトロール船と遭遇し、雨雄の船の方がパワーの大きい事を良い事に、パトロール船を振り切ったところだ。


 「坊ちゃん、ほどほどにしておきませんと、またお父様に迷惑がかかりますよ。」と、後ろの機関席で船の機関コントロールをしていた、ビオーヴェが説経じみた口調で、声を掛けてきた。


 このロボットは、もともと翻訳用ロボットとして作られ、腕は必要なかったのだが、翻訳用ロボットということで、見知らぬ人の前に出る機会も多く、見た目だけはヒューマノイドの格好の方が相手が親しみやすさが出る、と言う理由から、肩から二の腕を吊り下げるような格好で、腕はついていた。


 しかし雨雄にとって、骨董屋でその金色に輝くボディに魅せられ、ふらふらと何も考えず購入したまではまだ良かったのだが、買ったときの興奮もさめ冷静になって来ると、パートナーが欲しかった雨雄にとって、腕の動かない口の達者なロボットは手に余り、何故買ったんだろうと、後悔すら覚えたのだった。


 しかし雨雄はとりあえず、腕だけは部品を組み込み自由に動かせる様にし、小型恒星間シャトルの機関システムを、コントロールできるよう操作法を、ビオーヴェのコンピューターにダウンロードし、機関員として雨雄の船に乗せる事にしたのだ。


 「ふん、なぁにが親父だ!あの飲んだっくれ!さっさとくたばっちまえばいいんだ。」

「そんな事おっしゃっては、お父様もかわいそうですよ。」


「ふん!、それより追いつかれたときの為に、いつでも全開で逃げられる様、機関を安定させておけよ。」と、言ったまま不機嫌に雨雄は黙りこくってしまった。


 それでもなおビオーヴェが、「まったくもう、坊ちゃんは…」と、何か言いかけると、「もういいよ、お前は言い出すとしつこいんだからな、まったくどこにいったら翻訳するのに、いちいち説経するアルゴリズムが必要なんだろうな、こいつを設計した奴の顔を拝んで見たいもんだ。」と、


雨雄は毒づいたが、ビオーヴェは構わず、「後先の事を考えずに、すぐ行動しするんですから…」と、ここまで言いかけたが、テキスト文で家から通信が入ってきたので、言葉を切った。


 義理の姉からの通信で、どうやら家でひと悶着あった様で、 「また、あなたのお父様が暴れましたよ。」と、言う内容だった。


 ビオーヴェの報告では、なんでも、その騒動でテーブルが再起不能になったらしい、と言う事だが、


 「再起不能?」と、雨雄が問い直すと、通信では再起不能とありました。おかしいですよねテーブルは再生不能とは言いますが、再起不能ですと生物に使われる…」


 このまま放っとくと何時間でも、ビオーヴェの抗議が続きそうなので、


 「これは言葉のあやってやつだよ。」と、雨雄はビオーヴェの言葉をさえぎった。


 雨雄にとってこの後の時間には予定が無かった。(まあ雨雄は毎日、一日中ブラブラしているのだから、予定などある筈も無いのだが、)そこで自宅に帰り、親父が何をしたのか、やじ馬よろしく見てやろうと思いたち、


 「よし帰るぞ!」と、ビオーヴェに言うのでもなく言って、船のコースを、イコムス星に向け、自宅に帰ることにした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ