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青い蝶  作者: 伊湖夢巣
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第6章 映像記録 その3

「さて、今は何年だ」と、雨雄がリギュンに聞くと、


「ただいまの年は、地球の西暦で言いますと、1995年6月29日になります」と、リギュンが答えた。


「こんな惑星から40万キロも離れていては、地表の様子が分かりにくいな、もう少し高度を下げようじゃないか。そうだな人工衛星の静止軌道あたりまで下げてみようか」と、雨雄が言うと、リギュンは月の軌道から離れ、静止衛星軌道まで降りていった。


「地球の人口は今何人ぐらいだ」と、言うと「約50億人です」と、答えが返ってきた。


「50億か!さてさて、その中からどうやってご先祖様を探し出したいいもんかな」と、思案していると、リギュンから、


「DNAをスキャンしてみては如何でしょうか」と、リギュンが提案してきたが、「50億人も居るんだぜ、全部調べてたら何年もかかっちまうぜ」と、雨雄が頭を振りながら言った。


「女性のみのミトコンドリアと言う、人間の細胞内にあるDNAを比較するようにすれば、スキャンするのは約25億人で済みます」と、さも簡単そうに言ってのけた。


「まだまだ、多いな半分になっただけだし、もっと特定できないもんかな」と言うと、今まで黙って聞いていたビオーヴェが、


「坊ちゃま、私の話を聞いて下さいますか。私はもともと翻訳ロボットとして作られ・・・」と、ここまで話すと雨雄は、


 「今、お前の事を聞いている訳でもなく、お前がどんな機能を持っているかを聞いているんじゃなく、どうすれば効率よくご先祖様を探せるか聞いているんだ」と、少々「むっ!」したような顔でビオーヴェの方をにらんだ。


「どのあたりの地域に住んでるかぐらいでも特定できれば、もっと絞り込めるんだがなぁ、何かいい特定方法は無いもんかな」


「そう言えば、ビデオデータの中の言葉なんかはどこの言葉だったのかな。リギュン分かるか」と、聞くと横からビオーヴェが、「日本と言う国の言葉です」と、即座に答えた。


「お前!何で分かってんのなら、何で早く言わないんだ」と、雨雄がまたしてもしかめっ面をして言うと、


「先ほど私が言おうとしたのに、お止めになられたでしょう」と、少々甲高い声で答えると、雨雄が、


「私は翻訳ロボットだからどうたらこうたら言わずにだな、用件だけ言やあいいだろう、!」と、今度は八つ当たりのようにビオーヴェの方を向き言った。


「あのぉ、もう少し詳しく言ってもよろしいでしょうか」と、雨雄の顔をうかがうかのように続けた。


「なんだっ!」と、さもあつかましそうに、雨雄が言うと、


「この頃の地球の言語は・・・」と、言いかけると、雨雄が「うんちくはいい!要点だけ言え!」と、イライラしながら言った。


「では結論から言いますと、その方言は特徴から日本の中部地方で、新潟県という地方になります」と、今度は簡潔にビオーヴェが答えた。


「よしよし、それでいいんだよ。で、そこにはどのくらいの人間が住んでるんだ」と言うと、今度はリギュンが「およそ240万人です」と、答えた。


「よしそれでは、リギュン。その中の女性だけスキャンしてみてくれ」と、雨雄が言うと、リギュンはおよそ120万人のスキャンを始めた。

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