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青い蝶  作者: 伊湖夢巣
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第6章 映像記録 その1

イコムス星に帰るリギュンの中で、「俺は結構、いい奴だったんだな」と、コックピットで操縦席にふんぞり返るように足をコントロールパネルの上に投げ出し座りながら、雨雄はそうつぶやいた。


「そうですかね、まあ周りに迷惑を掛けなければ、私としては構いませんがね」と、ビオーヴェはポツリと言った。


「しかし俺はいつペリタン星に行って、あんなことをしたのかな」と、又雨雄がつぶやくと、


「これから行く事になるのかもしれませんね」と、ビオーヴェが又誰に言うでもなくそう言った。


そんな気分を良くしていた中、ふと晴雄の事務所からもって帰ったディスクの事を想い出した。


そして、ディスクの中に出てきたあの二人の顔を思い出したとたん、突然リギュンから大量のデータが雨雄の頭にドッと送られてきた。


それは、織田あつし、織田美奈代夫妻の写った、ビデオデータだった。


「なっ、なっ、なんだ!!」雨雄の脳が一度にデータを送られパニックに陥った。


その映像データは、雨雄が家で父の晴雄から無断で拝借してきたディスクの入っていた物と、比べ物にならないほど大量で、ディスクの中に入っていた全ての内容であった。


その内容は、最初にこれは未来の私たちの子孫へのメッセージとして残します。子孫の中に青いあざのあるものは20世紀に来るのは十分注意してください。


良からぬことが起こるでしょう、と言う出だしでそれはこれから私たちが体験した事を説明します、と言う事だった。


そして体験した事を話し始めた。自分たちは事故にあって、治療中に見た夢だとお互いが思っていたけれど、二人が結婚し暮らし始めてからのある夜の二人のふとした会話から解った事だった。


 「俺さ、二人がドイツで再会した時、孝一や圭子ちゃんたちと4人で散歩していて、事故に遭っただろう?」と、あつしが話すと、


 「うん、私はあの時もうだめだと思ったわ。だってあの車絶対自分たちにぶつかると思ったんですもの」と、美奈代も答えた。


 「あの時、二人ともどこにも怪我がなく不思議だったけど、もっと不思議に思ったのは、病院で目覚めるまで変な夢を見たことなんだ」と、ここまで話した時美奈代も自分も不思議な夢を見ていたと、言った。


 その後二人がそれぞれその内容を話していくと、覚えている細部の事まで同じだと分かった。


 ただ二人は今まであまりにも話が突拍子もないことで、二人とも他人に話したことは無く、徐々に記憶が薄れてきていたので、二人で話し合い記録に残そうと言うことになった、と言う出だしだった。


二人は、自分たちは自動車に引かれそうになったと思った瞬間、ある宇宙船の中にいて、その乗員は腕に青い蝶のあざがあり、「私は、あなた方の子孫です」と、名乗ったそうだ。


 それから、二人を未来の世界に連れて行き、そこで民間の宇宙船が他の銀河の戦闘艦に襲われている現場に遭遇したたという事。


 その宇宙船から女性を救い出したまでは良かったけれど、退避しようとした際事故に遭い、これまた宇宙戦闘中のペリタン星と言う星に飛ばされ事。


 その星で救助した女性を、病院に降ろしたけれど、その後行方が分からなった事など、あまり詳しくはないけれど触れてもいた。


 又あつしは、友人の孝一と体験した不思議な話もしていた。


 この話も孝一が宇宙船らしき物を見ていて、危うく二人でビルの屋上から落ちそうになった時のことだった。


 二人の体がビルから完全に乗り出し、後は落ちるだけの状態から、急に二人の体がふわりと持ち上げられ、気が付くとビルの屋上に二人が降ろされていた。


 二人の動向をビルの下や、屋上から見ていた他の人たちの記憶が、まったく二人が何をしていたか、どんなことが起きたのかまるっきり覚えていなかった、と言う話だった。


 そして再び最後に「腕にあざのある青年が、わが子孫に生まれたなら気をつけなさい」と、締めくくられていた。


 そんなビデオを雨雄は見ていた。


 いや正確に言えばデータが直接脳に送り込まれたわけだが、なぜそのデータがリギュンに残されていたのか、いや先祖であろうその夫婦がなぜこのようなビデオを残すことになったのか。その事を無性に知りたくなった。


雨雄は元来、思いつくとそれが自分にとって不利益なことでない限り、やって見たい性分だった。


 もともとこのビデオの一部を見て過去に行き、この夫婦を探すことをすでに決めていた雨雄は、母の事は気にはなったが、今からすぐに過去に行こうと決めたのだった。

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