第5章 銀河艦隊 その1
ここでの銀河とは、我が銀河、天の川銀河のことです。
「艦長!識別不明小型船が、この領域にワープ航法で進行中です。」と、索敵担当士官が報告してきた。
USGがアンドロメダ星雲銀河に遠征攻撃に出る為に訓練中である艦隊旗艦のブリッジは、その報告で緊張感が高まった。
艦長はすぐさま、その小型船に関する詳しい報告をするよう求めた、暫くすると先の士官が、「小型船は、数分で通常航行に入るもようです。」と、報告してきた。
「よし、各艦船に連絡!各艦船は準戦闘態勢をとり、タイムドロップ及びサイレントモードで姿を隠す様に指示を出し、当艦は今の状態のまま戦闘態勢のまま待機し、小型船が通常航行に入ったと同時に船影を前方大型モニターに投影しろ!」と、艦長はブリッジで通信士官および、当艦の戦闘指揮士官に命じた。
「今日は早く家に帰ったほうがよろしいのでは…」と、ビオーヴェがたしなめたが、雨雄は一向に気にする様子もなく、船を先日時空局の船を振り切った領域に向けて進んでいた。
「坊ちゃん、今あそこにはUSGの艦隊が居て、軍事訓練中でしょう?」と、ビオーヴェが再びたしなめる様な事を言ったが、
「ああ、なんかそんな事を誰か言っていたな、それがどうかしたか?」と、雨雄はそんな事は臆せず、めんどくさそうに答えた。
「まもなく通常航行に移ります」と、リギュンの音声が流れてきた。
「まあいいじゃないか、ちょっとこの船がどの位の物か見てみたいんだよ」と、雨雄がビオーヴェに言うと、ビオーヴェは呆れて、
「なにも今でなくてもいいと思うのですがね」と、言ったところで、リギュンが通常航行に入った。
通常航行に入った所に、リギュンの進路を塞ぐように、一隻の戦艦が待受けていた。
「こちらはUSG艦隊旗艦『ザイエルフィ』である。貴船は訓練星域に侵入している。船名、所属および目的を明らかにせよ!」と、その戦艦から通信でいきなり誰何された。
「おいおい、いきなり誰かってか」と、雨雄がだるそうにそう言うとビオーヴェが、
「坊ちゃん、ここは素直にご返事なさった方がよろしいのではないかと、私は思います。USG戦艦を敵にまわしては、とても勝ち目なんかありませんよ」
「だがなあ、お前も知ってのとおり俺は人から、ああしろ、こうしろと、言われるのは嫌いないんだよな」と、なおも雨雄が艦船に対し、返答を渋っていると、
「警告!前方の船が武器を準備して、こちらをロックしています」と、リギュンの声が通常の音声より高めの声で響いた。
「ふん、そう来るか!」と、雨雄がなおも通信を渋っていると、
「警告!宇宙魚雷が発射されました。当船着弾まで5秒!回避行動を取りますか?」と、リギュンが聞いてきた。
「左に30度転進!」と雨雄が言い終ったところで、宇宙魚雷が飛んできて、リギュンの右横で宇宙魚雷が炸裂した。
「坊ちゃんがのんびりなさっているから、威嚇攻撃されたじゃないですか」と、ビオーヴェがのんびり言ったが、雨雄は何か考えているのか、黙ってリギュンのコンピューターとコンタクトを取っているようで、コンピューター中のデータを調べていた。