第31話 屋島の別れ
鷲羽に帰り着いたのは、夜半だった。
船着き場に千歳が灯りを持って待っていた。冬の夜風が灯の炎を揺らして、千歳の顔が明暗を繰り返す。疲れているはずだ。わたしが発つ前から支度に追われて、留守の間も屋敷を預かっていた。それでも千歳は「お帰りなさいませ」と平らな声で言い、わたしの荷を受け取った。
布団に入っても、すぐには眠れなかった。畳の藺草の匂い。高松の宴場にも同じ匂いがあったはずなのに、鷲羽の藺草はどこか柔らかい。新しくはないが、古びてもいない。千歳がこまめに拭いているからだ。
目を閉じると、颯の顔が浮かんだ。夕暮れの庭で並んだとき、目の下にあった薄紫の隈。慎重に、と言ったときの声の温度のなさ。——そして最後に、こちらを見たときの目の動き。声にならなかった何か。
それを反芻しているうちに、体が沈んでいった。布団の重みと藺草の匂いに包まれて、意識が途切れる。夢は見なかった。
翌朝。
千歳が朝餉を運んできたとき、膳の隣に一通の文があった。
「明け方に、鷹便が参りました」
文を開いた。
——明日。屋島にて待つ。颯。
短い。筆跡に迷いがない。昨日の宴での穏やかな物腰、慎重に言葉を選ぶ颯の喋り方とは別の人間が書いたように見える。
千歳が膳の脇に膝をついたまま、わたしの手元を見ている。
「世子殿下が直接お呼びになるのは異例でございます。宴の席でもなく、書院でもなく……屋島」
千歳の声に疑念がある。形式を外した呼び出し。公式の場ではなく、屋島という場所を指定してきた意味を、千歳は測りかねている。
わたしも測りかねていた。
昨日の宴の後、栗林の庭で颯と交わした言葉を反芻する。「気をつけろ」と颯は言った。高松家が見ている、と。あれは警告だった。そして今朝——呼び出し。
罠か。それとも、声にならなかった「何か」を、場所を変えて伝えようとしているのか。
朝餉の飯を口に運んだ。温かい。白米に味噌汁、焼いた鰆の切身。鷲羽の朝餉はいつもこれだ。鰆の皮が香ばしく、脂がじわりと舌に広がる。
飯を食べ終えてから、父の部屋を訪ねた。
父は書院で帳簿を広げていた。蝋燭の明かりの下、筆を走らせている。わたしが入ると、筆を止めずに「どうした」と言った。
「颯殿から鷹便が。明日、屋島で会いたいと」
父の筆が止まった。
「……行け」
短い沈黙のあと、それだけ言った。帳簿から目を上げない。
「ただし、一人で行くな」
「千歳と護衛を連れます」
父が小さく頷いた。それで会話は終わった。父はまた帳簿に目を落とし、筆を走らせ始める。蝋燭の芯がじり、と音を立てた。
*
翌日の昼前に、屋島に着いた。
高松の沖を回り込んで、朝の五つ時に出て昼の四つ時に屋島の麓の浜に着いた。
屋島は、島ではない。
正確には、かつて島だったものが砂州で陸続きになった半島だ。だが「島」の名は残っている。海の側から見ると、そのわけがわかる。台地状の山がまっすぐに切り立って海から突き出していて、遠目には巨大な船が座礁したようにも見える。天辺が平らで、壁のように垂直に落ちる崖が四方を囲んでいる。
建築学科の記憶が反応する。溶岩が冷えて固まった台地。浸食に耐えた硬い岩盤だけが残って、こういう形になる。でもこの世界では、別の名で呼ばれている。
——屋島。古の戦場。
この世界にも、源平の戦いに似た伝説がある。瀬都内海の覇権をめぐって二つの勢力がぶつかり合った古い合戦。屋島はその最後の舞台の一つだった。台地の上から矢を射た弓の名手。沖の船から掲げられた扇。そして——海に沈んだ敗軍の武者たち。
千歳に話を聞いたことがある。「屋島には死者の声が聞こえると申します」と千歳は言った。「風の音に紛れて、鎧の擦れる音がする——と、漁師たちが」
今、その風が吹いている。
冬の屋島。枯れた芒が台地の縁で揺れて、乾いた音を立てている。草は茶色く枯れて、岩肌がところどころ露出していた。灰色の安山岩に苔がこびりつき、苔さえも冬枯れの色をしている。
台地への道は、南側の坂道を登る。千歳と護衛の二人が後ろについてくる。護衛は昨日の宴にも同行した鷲羽の武士二人だ。口数が少なく、足音も小さい。坂を登る息づかいだけがかすかに聞こえる。
台地の上に出ると、風が変わった。
遮るものがない。瀬都内海が南に広がっている。島々の影が水平線に散らばって、冬の陽光が海面を白く照らしている。眩しい。目を細めると、南西の方角に高松の港が見えた。昨日まであの港にいた。あの港の奥の栗林の庭で、管理された松と管理された言葉に囲まれていた。
ここは違う。管理されていない。風と草と岩だけがある。
そして——颯が、いた。
*
台地の北東の端に、白い人影が立っている。
供はいない。一人だ。白い着物に銀糸の帯。昨日と同じ格好。いや——羽織がない。寒くないのか。冬の屋島の風は容赦がないのに、颯は身を縮めることもなく、海に向かって立っている。袂が風にはためいて、白い布が鳥の翼のように広がる。
千歳がわたしの袖を引いた。
「お嬢様。護衛は下でお待ちしましょうか」
千歳はわたしの顔を見ている。判断を委ねる目だ。颯が一人で来ている。こちらが大勢で近づけば——それは「警戒している」という意思表示になる。
「千歳は台地の入口で待っていてください。護衛も」
千歳が唇を引き結んだ。反対したいのが顔に出ている。でも頷いた。「何かあれば、お声をお上げください」と言い残して、坂道の上で足を止める。
一人で、颯に向かって歩いた。
枯れた芒を踏む音が足元で鳴る。乾いた茎が折れて、ぱきぱきと軽い音がする。その音で颯が振り返った。
昨日とは別の顔をしている。
目の下の隈は同じだ。薄紫の影。肌の白さが際立たせる。でも昨日と違うのは——仮面がないこと。栗林の宴場で被っていた「國主の世子」の表情がない。ここにいるのは、疲れた顔の若い男だ。
「瀬名」
颯が言った。声が風に紛れかけて、わたしは半歩前に出た。
「来てくれたか」
「呼ばれましたので」
颯の口元がわずかに動いた。笑みではない。何か言いかけて止めた形。
「昨日の宴では——言えなかったことがある」
風が吹いた。颯の白い袂がわたしの方に靡く。白檀の香りはしない。高松で焚かれていた香は、ここにはない。潮の匂いと枯草の匂いだけがある。
颯がわたしから目を逸らした。海を見ている。台地の下に広がる瀬都内海を。
「断罪は——嚴島の慣わしだ」
声が低い。風に溶けないように、押し出すように。
「父上が……そう決めている。鷲羽家は力を持ちすぎた。交易を握り、海守衆と手を結び、國主家の統制を脅かしている——と」
知っている。
その論理は知っている。ゲームでも、瀬名は同じ理屈で断罪された。交易利権の独占、海守衆との結託、國主家への不敬。どれも言いがかりだ。権力を削ぐための口実にすぎない。
「五十年の裁き」
わたしが言った。
颯の肩が動いた。ぴくり、と。こちらを振り向く動作が遅い。首が回るまでの時間が、長い。
「……知って、いたのか」
声が途切れた。疑問ではない。確認でもない。衝撃を処理しきれずに、音が割れたのだ。
「知っています。50年ごとに七家の一つを潰す。罪状を捏造し、見せしめにして、残りの六家を従わせる。前回は潮守家でした」
颯の目が見開かれている。
わたしは颯の顔を見た。屋島の風が二人の間を通り抜けていく。枯芒が鳴る。
颯が——笑った。いや、笑いではない。頬の筋肉が引きつるように動いて、口の端が上がりかけて止まる。崩壊しかけた仮面の残骸。
「……そうか」
声が掠れている。
「知っていたのか。君は」
繰り返した。同じ言葉を、別の重さで。
「いつから」
「紫雲山で文書を見ました」
「紫雲山……」颯が目を閉じた。風が白い着物を揺らす。まぶたの下で、何かを計算しているのか、それとも諦めているのか。わたしには読めない。
「瀬名」
颯が目を開けた。真っ直ぐに——初めて、今日初めて、わたしの目を見た。
「君を、守れない」
風が止んだ。
一瞬だけ——ほんの一拍だけ、芒も鳴らず、波の音も届かず、屋島の台地が無音になった。
「父上は鷲羽家をこの裁きの対象に選んだ。交易改革の提案は——昨日の宴は、父上に口実を与えただけだ。海守衆と結託していると。國主の統制に逆らっていると。わたしは宴で中立を装ったが、あれは君の提案を守ったのではない。手遅れだから……これ以上の口実を、作らせないようにしただけだ」
長い。
颯がこんなに長く喋るのを聞いたのは初めてだ。言葉を止めたら、もう二度と出てこないと知っている人間の喋り方。
「颯殿」
わたしの声は平らだった。感情を込めたら——込めたら、この人が崩れる。わたしが崩れるのではない。颯が崩れる。
「守ってほしいとは、言っていません」
颯の目が揺れた。
「では——何がしたい」
「慣わしを書き換えます」
言った。
声が風に乗って台地の縁を越え、海の上に散っていく。大きな声ではなかった。怒りもなく、決意の力みもなく、ただ——事実を述べた。明日の天気を報せるように。
颯の顔が変わった。
驚き。それだけなら、昨日の庭でも見た。交易改革を提案したときの驚き。だが今、颯の顔にあるのは驚きの底に沈んだ別のもの。
それは、恐怖だ。
「それは」颯の声が震えている。「王家に——逆らうということだ」
「逆らうのではありません」
一歩、前に出た。颯との距離が縮まる。手を伸ばせば届く。でも伸ばさない。
「正すのです。50年ごとに罪のない家を潰す制度を——この連環を止めるのです。前回は潮守家でした。その前はどこかの家だった。次は鷲羽家。その次はまた別の家。永遠に続く。誰かが止めなければ」
颯が黙った。
風が戻ってきた。芒がざわざわと鳴り、台地の縁を越えた風が崖の下に落ちていく。海鳥が一羽、崖の下から舞い上がってきて、二人の頭上を横切った。白い腹。広げた翼の影が、一瞬だけ颯の顔に落ちる。
沈黙が長い。
わたしは待った。颯の答えを急かさない。この沈黙の中で颯が何と戦っているか、想像はつく。生まれたときからあった制度。父が守り、祖父が守り、その前の代も守ってきた慣わし。慣わしの中で育った人間にとって、それを「間違いだ」と認めることは——自分の根を引き抜くことに等しい。
「瀬名」
颯が口を開いた。
「僕は——」
——僕。
わたしの耳が、その一語を捉えた。
「わたし」ではない。世子としての一人称ではない。颯個人の——鳴海颯という一人の人間の声が、漏れた。
「僕はその制度の中で育った。それが間違いだと……頭ではわかる。わかっているんだ。潮守家の取り潰しを——父上が語るとき、声に何の揺らぎもなかったのを覚えている。当然のことだと。必要な慣わしだと。七家の均衡を保つために。でも」
颯の目が濡れている。
泣いてはいない。涙が落ちてはいない。でも目の奥に光が浮いていて——冬の陽光が反射しているだけかもしれないし、そうではないのかもしれない。
「僕には……変える力がない」
声が消えた。風に紛れたのではなく、颯自身の喉が声を断ち切った。
わたしは失望しなかった。怒りもなかった。
ただ——胸の奥で、何かが静かに閉じた。
音はしない。扉が閉まるような衝撃もない。ゆっくりと、障子を引くように。嚴島で初めて会ったとき、白い着物の颯を見て胸の奥に灯った小さな光——あれは何だったのだろう。期待だったのか、好奇心だったのか、それとも、ゲームの中で王子と呼ばれていた人に会えたことへの、幼い高揚だったのか。名前をつける前に消えた。
颯は弱いのではない。制度の中で育ち、制度の上に立たされた人間が、足元を掘り崩す恐怖を知っている。知りすぎているから動けない。それはわかる。
わかるから——もう、待てない。
「わかりました」
声が平らだった。自分でも驚くほど。颯の答えを受け入れたのではない。颯の答えの向こう側に、もう行くと決めた声だ。
「——では、許嫁の話は」
颯が息を呑んだ。話題の転換に一瞬追いつけなかったのだろう。目が泳いで、それからわたしの顔に戻る。
「……形式は続けよう」
颯の声が変わった。「僕」が引っ込んで、「わたし」が戻ってきた。世子の声だ。感情を閉じ直す音が聞こえるようだった。
「今すぐ解消すれば、高松家が動く口実になる。鷲羽家との婚姻が破綻したとなれば、裁きを早める材料にされる」
政略。感情ではなく計算。許嫁関係を維持するのは二人の間に何かが残っているからではなく、解消すること自体が敵に利するからだ。
でも——颯の声は震えている。計算の言葉を口にしながら、その計算に傷ついている。自分自身の冷徹さに。
「承知しました」
わたしは頷いた。
形式だけが残る。わたしたちの間に張られていた糸は、今、颯の「僕」が漏れた瞬間に切れた。颯自身がそれに気づいているかはわからない。でもわたしにはわかる。さっき胸の奥で閉じたもの——あれが、二人の間にあった最後のものだった。
*
二人で台地の縁に立った。
足元は断崖だ。垂直に切れ落ちた岩壁の下に、冬の海が暗い色で広がっている。波が岩にぶつかる白い泡が、遠い下の方でちらちらと見える。
風が強い。髪が顔にかかる。押さえようとして——やめた。ここは栗林の庭ではない。整える必要はない。
颯が海を見ている。台地の上からの眺望は広い。南に高松の港、西に五色台の稜線、東に播磨灘に続く海。そして南西——島々が連なる水域の、ずっと先に。
「あの海の向こうに、来島の急流がある」颯が言った。「凪殿の海だ」
「ええ」
「暁殿の島も。——君はもう、あちら側の人間だ」
あちら側。
七家の側ではなく、海守衆の側。颯の目にはそう映っている。交易改革を提案し、海守衆の代弁をし、暁や凪と手を結んでいる令嬢。鷲羽の家紋を背負いながら、海の民の論理で動く女。
「あちら側もこちら側もありません」
わたしは海を見たまま言った。目を合わせない。ここで目を合わせたら——何かが決定的に終わる気がした。
「わたしは橋になりたいだけです。七家と海守衆の間に。陸と海の間に。制度の中にいる人たちと、制度の外にいる人たちの間に」
颯が少し笑った。
昨日の庭での苦い笑みとは違う。口の端が上がる角度が小さく、目尻にかすかな皺が寄っている。諦めの笑みだ。でもその底に——羨望がある。橋になりたいと言い切れる人間への、言い切れない自分を知っている人間の、静かな羨望。
「橋か」
颯が繰り返した。風の中で、その二文字がやけに澄んで聞こえた。
「——50年前にも、そう言った人がいたらしい。潮守の姫が」
背筋が冷えた。
冬の風のせいではない。体の芯を、氷の針が貫いたような感覚。潮守の姫。50年前に断罪された潮守家の——千歳の、先祖。
颯は知っている。潮守家のことを。五十年の裁きの記録だけではない。潮守の姫が何を目指し、何を言い、そしてどうなったかを。
「颯殿」
声が出た。今度は平らではなかった。抑えたつもりが、語尾がわずかに揺れた。
「あなたは——いつか、自分の答えを出してください」
颯は答えなかった。
風が吹いて、白い着物が揺れる。芒が乾いた音を立てている。崖の下を海鳥が旋回していて、甲高い声が岩壁に反射して返ってくる。
わたしは踵を返した。枯芒を踏んで、台地の中央へ戻る。背後に颯の気配がある。振り返ってはいない。追いかけてこない。立ったまま、海を見ている。
坂道の上に千歳が立っていた。両手を膝の前で重ねて、背筋を伸ばして。わたしの顔を見ると、何も聞かなかった。聞かないのが千歳だ。わたしが話すまで待つ人間。
「帰りましょう」
千歳が頷いた。護衛の二人が前後についた。
坂道を降りながら、一度だけ振り返った。
台地の縁に、白い人影がまだ立っている。風に着物を靡かせて、海を見ている。小さくなっていく。枯芒と冬空と灰色の岩に囲まれて、白だけが浮いている。
——颯。
わたしたちの間に何があったのか、今でもわからない。ゲームが引いた線の上を歩いただけかもしれない。制度が決めた婚約の、形だけの許嫁。
でも——50年前の潮守の姫のことを教えてくれた。それが颯にとって何だったのか。
考えるのをやめた。今は、まだ。
坂を降りきると、浜の空気が変わった。潮の匂いが濃くなって、波の音が近くなる。船が待っている。帆柱に鷲羽の旗が張られて、冬の風に鳴っている。
千歳が船に乗り込む手を差し出してくれた。
「千歳」
「はい」
「潮守の姫は——橋になろうとしたそうです」
千歳の手が、わたしの手の中で硬くなった。一瞬だけ。それからゆっくりと力が戻る。
「……お嬢様」
「知っていましたか」
千歳は答えなかった。わたしの手を引いて船に乗せ、それから自分も乗り込んだ。毛布を取り出して、わたしの肩にかけようとする。
「千歳」
「はい」
「わたしは——同じ結末にはしません」
千歳が毛布を肩にかける手を止めた。わたしの目を見ている。侍女の顔ではない。15年前からわたしを知っている人間の、もっと深い目。
「はい」
千歳が言った。声が震えていた。でも目は逸らさなかった。
毛布が肩に落ちた。温かい。船が浜を離れて、屋島が遠ざかっていく。台地の上に、もう白い人影は見えない。颯は——去ったのか、それとも見える位置から外れただけか。
どちらでもいいことだ。
船は西へ進む。鷲羽へ。帰って、暁に屋島のことを伝える。颯が五十年の裁きを知っていたこと。潮守の姫のことを知っていたこと。守れないと言ったこと。変える力がないと言ったこと。
暁は何と言うだろう。おそらく——何も言わない。一つ頷くだけだ。暁は颯の答えを最初から予測していたはずだ。國主家の世子に制度の解体を期待することの無謀さを、暁は誰よりも知っている。
でもわたしは行った。行かなければならなかった。颯の口から直接聞く必要があった。「守れない」と。「変える力がない」と。
それを聞いて——失望しなかった。
むしろ、輪郭がはっきりした。颯は敵ではない。でも味方でもない。今はまだ。
冬の瀬都内海を、船が進んでいく。波が船底を叩いて、規則正しい振動が体に伝わる。潮術で感じるリズムとは違う。もっと単純な、物理的な揺れ。
帰ったら、次の手を打つ。颯が動けるようになる状況を、こちらから作る。




