第8話 槍兵の逆召喚 ~目覚めちゃったのよ~
あれからまた1週間経ちました。2回後の逆召喚儀式魔術です。
「カイト。」
相変わらず姫さんも元気です。
「今日は街道沿いなのね。」
「街道沿いの休憩場所です。」
道の横に、拓けた場所が有ります。
「板を置くのに迷いがなくなったわね。」
「作業に慣れた様です。」
拓けた場所は平坦なので、整地がし易くて、板が敷きやすそうです。
「詠唱班の人達は変わらないわね。」
「彼らはどこでも同じですから。」
城以外は、相変わらず何処も知らないところですからね。
「見物の人…あら、何か飾りの様な物が売っているわ。」
「魔方陣を真似てお土産にしているそうですよ。」
部下が買ってきて、皆に配っていましたね。姫さんには恐れ多くて配っていなかった様ですが。……今度買って渡しますか。
「そういえば、見習い騎士のエクスさんが、無事に補給物資を届けたそうですよ。」
襲ってきた敵を無事倒したそうです。
「あら、オーソン兄様の所に補給が届いたのね。」
「おかげで体調と士気が上がって戦況は良くなったようです。」
おなか一杯になれば、元気になるし、やる気も上がりますね。
「エクス様を逆召喚した甲斐がありましたわ。」
「これからも逆召喚していきましょう。」
他の所にも救援が出せるように。
「そうね。それで今日は?」
「槍兵のラースさんです。」
「槍騎士?」
姫さんとしてはその方が良いんでしょうけど。
「槍使いの兵士です。」
「騎士じゃ無いのね。」
残念ながら騎士じゃ無いんです。
「軍が急いで名簿を出してきたので、そちらを優先して捜索していました。」
「どうかしたの?」
あちらも困ってたんです。
「村人を守るのは、騎士隊や軍の仕事です。」
「そうね。」
二つ居たんです。
「二つのうち騎士隊はエクスさんが逆召喚され、オーソン王太子への補給成功という成果を上げました。」
「逆召喚されてから補給部隊の護衛まであっという間だったわね。」
早く成果を上げて欲しかったんでしょうね。
「軍にはまだ逆召喚者がいません。」
「名簿も無かったんでしょう?」
「名簿を作るのに時間が掛かったようです。」
騎士隊なら10人に9人、軍は100人に99人は脱走者が居そうですからね。
「それで急いで名簿を作ったのね。」
名簿が無いと逆召喚は出来ませんからね。
「急いで届けて来たので一人は急いで逆召喚しようと言う訳です。」
「届けてくれたお礼ね。じゃあ始めましょう。」
皆が所定の位置に着きます。
姫さんが魔法陣に魔力を流すと、魔方陣が淡く光ります。
それを合図に、呪文の詠唱が始まり、詠唱が進むにつれて、光がだんだん強くなります。
詠唱が止むと同時に姫さんが力ある言葉を唱え、唱え終わると、魔方陣の光が目を開けていられないほどになり、眩しい光が皆の視界を奪います。
その光が収まると、彫の深い逞しく男性的な顔にアイシャドウとルージュを引いた20代半ばの男性が居ました。
「私は第2王女エルメラと言います。貴方がラース様?ですか?」
「そうよぉ。私はラースよぉ。呼び戻してくれたのね、あ・り・が・と♪」
とても良いバリトンボイスですね。姫さんちょっと引いてません?
「こ、個性的な話し方ね。」
「あぁこれ?異世界に行ったときにちょっと目覚めちゃったのよねぇ。」
そのまま姫さんにウインクしています。姫さん後ろに下がっちゃダメですよ。
「こ、この国は魔物に攻められています。お、お力を貸していただけませんか。」
姫さん引き攣ってますよ。姫としての威厳もどっかに行ってます。
「いいわよぉ。この状態だと軍隊はちょーっと居心地悪そうだし、除隊して旅しながら人助けしてみるわぁ。」
「お、お願いします。」
ラースさんは、そのまま去って行かれました。
「姫様、プロポーズはされなかったんですね。」
「あの人はちょっと。それより除隊するって言ってたけど、軍は大丈夫?」
「逆召喚はちゃんとしましたから。」
次の人に期待しますかね。
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