第4話 女性?の逆召喚 ~召喚名簿に私情はダメ~
あれから日にちはそう経ってません。次の逆召喚儀式魔術です。
「カイト」
姫さんもいつも通りです。
「ここ林じゃないのね。」
「村のはずれで林の中までは行きませんね。」
ちょっと手前ですね。まだ木が遠くに見えます。
「珍しいわね。ところであそこの人達、珍しい事をしているんだけど。」
「魔法陣班の人達ですね。」
今回は板を敷いていますからね。
「なんでも魔法陣を大きな板に書いたものを分割して、指定された場所に敷く方式にしたのだそうです。」
これなら、毎回描かなくても済みますからね。インクも修理するときだけで済みます。
「まるで大きなジグゾーパズルをしているみたいなんだけど。」
「どこの板か分かり辛い様ですね。正しい位置になるまで置き直しているようです。」
何度も位置を変えています。似た板も多いので置き間違えが起こりそうです。
「それでも描くよりは早そうですよ。」
だんだん魔法陣が出来ていますからね。
「詠唱班の人達、飲み物を買って飲んでいるのね。」
「いえ、あれは飲むと喉をスムーズにして、呪文を唱えやすくする飲み物だそうですよ。」
詠唱班の人達が何かを飲んでいますが、研究の成果だとかで、城から持ってきた飲み物のようです。
「あら、違ったのね。今日も飲み物の屋台が出ているからそちらかと。店がたくさん出てるわね。」
「村のはずれですからね。他の人も気づいて店を出したんでしょう。」
見物客もにぎわっていますしね。
おや、あの人は……休みではない筈ですが……
「それで今日はどんな人?」
「マリアさんです。」
「……」
「……」
ええ、分かります。私も初めて書類を見た時にそうなりました。
「苗字がマリア?」
「マリアとしか書いてませんね。」
平民なら苗字はありませんし。
「性別も?」
「書いてません。」
普段も描いていない項目ですね。9割女性でしょうが。
「職業は?」
「書いてません。」
こちらは普段は書いてあるんですけど。手抜きですかね。
「………」
「………」
「彼女?」
「証拠が薄いですね。」
心証は真っ黒ですが。
「怒ってもいいと思うの。」
「担当者には罰を与えたいと思います。」
逆召喚者に女性を選んでも、姫さんのわがままの部分以外には問題ないんですよね。
自分の彼女を逆召喚するのは、私情が挟まりすぎて罰の対象になりますかね。
仕事を抜け出して逆召喚を見に来るのは、確実に罰の対象ですね。
「彼女と会えないよう今晩は家に帰れないようにするとか。」
「それは普通の事なので、罰にはなりませんね。」
逆召喚をした日は後片付けや報告書作成で城に泊まり込みは普通の事です。
「これから1週間休みなしとか。」
「それも普通の事ですね。」
召喚者の精査が上手くいかないと、休日返上はよくあることです。
「その部署ブラックすぎない?」
「そうですか?」
城の中では結構あることですが。内政担当部署とか兵站担当部署とか。
今は戦争中なので人間的な生活よりも負けないことが大事なんですよね。
一応戦力補充の為の人員探索部署ですよ。
「まあ、呼び出してみればわかるわよね。」
「ええ。」
これで逞しい男性でも出てくれば全ては勘違いですからね。
抜け出して見物に来てい居ることも、不問にしましょう。
皆が所定の位置に着きます。
姫さんが魔法陣に魔力を流すと、魔方陣が淡く光ります。
それを合図に、呪文の詠唱が始まり、詠唱が進むにつれて、光がだんだん強くなります。
詠唱が止むと同時に姫さんが力ある言葉を唱え、唱え終わると、魔方陣の光が目を開けていられないほどになり、眩しい光が皆の視界を奪います。
その光が収まると、かわいらしい?5歳くらいの小さい女の子がちょこんと立っていました。
「「マリア!」」
「パパ!ママ!」
両親らしき男女のもとに向かい、そのまま抱き着いて泣き出しました。両親も泣いています。
「ロリコン?」
「では無さそうです。」
マリア達家族を見ながら、周囲の者と一緒にもらい泣きしています。周囲と表情に違いはありませんね。
「そう、なら良いかしら。」
「さすがに何の罰もなしには出来ませんが。」
担当者と、押しに負けてリストに載せたものには、叱責と減俸1か月位で済ませましょうか。
「部署で一番最後に休ませるのはどう?」
「戦いが終わるまで休めそうにありませんね。」
「その部署どれだけ仕事が多いの!」
「彼女無しの条件を取り払ってもらえれば、だいぶ楽になりますよ。」
「絶対にダメ!」
「デスヨネー」
やはり当分休み無しですか。
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