第14話 鍛冶師の逆召喚 ~戦いたくない~
あれから1週間経ちました。3回後の逆召喚儀式魔術です。
「カイト。」
姫さんも元気に魔法陣班が板を並べる所を見ています。
「今日は跳ねているわね。前、後、前、前、前。」
「今度は足を前に出しながら飛び跳ねています。右足、右足、左足、左足。」
「繰り返しだわ。前、後、前、前、前。」
「揃っていると綺麗ですよ。右足、右足、左足、左足。」
人数がそろっていると綺麗に見えますね
「詠唱隊は手を振り回すだけじゃなくて、足を前に踏み出しながら手を振り回しているわ。」
「動きが大きくなりましたね。」
被服部に文句を言われたんですよね。『折角足を動かしても良い様に改造したのだから。足も動かせ。』と。
「こっちの方が綺麗だわ。」
「詠唱隊に言っておきましょう」
「姫さんに褒められた」って喜ぶ姿が目に浮かびます。
「そう言えば、これまでの逆召喚者達に聞いて回った所、封印の異能持ちが2人程見つかったそうです。」
「居たのを喜べば良いのか、少ないと悲しめば良いのか微妙ね。」
女性の逆召喚者に対する割合からすれば、少な目ですけれど。
「喜んで良いんじゃないですか。女性だけ逆召喚しろと言った極端なのが黙ります。」
「それは喜ばしいわね。これで封印する人も2人増えたんだし。」
「いえ、増えたのは1人です。」
そう簡単にはいかないんですね。
「あら、1人は?」
「断られました。襲って来る魔物が多くて村を守るので手いっぱいだと。」
逆召喚者は村の守り手ですからね。
「そんなに大変なの?」
「1~2日に一度は襲われるそうです。その話をしている間にも襲撃があったそうで、強く言えないそうです。」
代わりに魔物を退治する兵を派遣出来ませんし。出来ても彼ほどの瞬殺は無理です。
「それ、多すぎない?」
「多すぎるとはいえ事実ですし。」
使者の目の前で襲われましたからね。
「じゃなくて、近くに魔物の出現ポイントが有るんじゃない?」
「あ、その可能性は有りますね。周辺を捜索させて、見つかり次第封印しましょう。」
それは気付きませんでしたね。調べなくては。
「そうね、それこそその村を守っている人に封印してもらっても良いでしょうし。」
「いえ、他の方に頼みます。封印に行っている間に襲われたら本末転倒ですから。」
1体倒したら1日以上確実に襲撃されない訳では有りませんし。
「そうね、じゃあ本来の仕事に掛かりましょう。今日は誰?」
「鍛冶師のジョンさんです。」
「あら、女性じゃないのね。」
女性の召喚者も1人場所を特定したんですけれどね。
「場所を特定した女性に問題が有りまして。」
「身元も調べないのに問題が有るの?」
問題が身元じゃなかったんですよね。
「特定した場所が、崖下の湖でして。」
「湖の上だから魔方陣が敷けなかったのね。」
いえ、違うんですよ。
「それは筏を組んでその上に敷けば良いのですが。召喚された状態が問題でして。」
「死んでいた?」
殺さないで下さい。
「生きています。ただ崖から落下中でしたので。」
「足を滑らせて落ちていたの?問題あるの?」
それなら問題有りません。逆召喚したでしょう。
「崖から飛び込んだ所だったのです。」
「自殺中。」
その通り。
「死にたくなる様な所に呼び戻したとしても。」
「喜ばないわね。むしろなんで呼び戻したのか問い詰めたくなるわ。」
「そんな時に国を救う手伝いをお願いしても。」
「冗談じゃない、お断りよ!」
ですよね。姫さんでなくともそうでしょうとも。
「と言うことで諦めました。」
「良く分かったわ。じゃあ、ジョンさんを喚びましょう。」
皆が所定の位置に着きます。
姫さんが魔法陣に魔力を流すと、魔方陣が淡く光ります。
それを合図に、呪文の詠唱が始まり、詠唱が進むにつれて、光がだんだん強くなります。
詠唱が止むと同時に姫さんが力ある言葉を唱え、唱え終わると、魔方陣の光が目を開けていられないほどになり、眩しい光が皆の視界を奪います。
その光が収まると、がっしりとした体つきの中年が立っていました。
「私は第2王女エルメラと言います。貴方がジョン様ですか。」
「ああ、俺がジョンだ。」
「今、この国は魔物に襲われています。」
「ヒィッ」
ジョンさんは悲鳴を上げると、後ずさりながら蹲った。
「嫌だぁぁぁ、もう戦いたく無いぃぃぃ。」
「あ、あの、ジョン様。」
姫さんが声をかけています。
「嫌だぁぁぁ。」
あ、耳を抑えました。
「無理に戦えとは言いませんから。」
「嫌だ嫌だぁぁぁぁ。」
首を横に振り出しました。どうやっても聞きたく無い様です。
「ああもう、異世界で何が遭ったのぉぉぉ。」
何が遭ったんでしょうね。
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