第11話 騎士の逆召喚 ~騎士だって人間です~
あれから2週間経ちました。数回後の逆召喚儀式魔術です。
「カイト。」
姫さんもやっぱり元気に魔法陣班が板を並べる所を見ています。
「みんなで板を持って踊っているように見えるんだけど。」
「そう見えますね。あ、1列にに並んでいた人達が2列にに並び直しましたよ。」
「胸の前に持っていた板を頭上に持ち上げたわね。これ、魔法陣作りに必要かしら?」
魔法陣ではなく、見事なマスゲームです。
「必要ないでしょうね。あ、2列の左右が位置を変えました。」
「じゃあなんで?2列から円形に並び直しましたわ。」
「姫様が『踊ったりすれば良いのに』とおっしゃったからですね。板を置いて魔方陣の円が出来た様です。」
一応魔方陣も作っていたんですね。作りながらのマスゲームは見事です。
「綺麗に出来たわね(パチパチパチ)。そんなつもりで言った訳じゃないのだけれど。」
「でも踊って見ようと思った様ですよ。」
皆で踊るくらいには賛成者もいたと。
「呪文詠唱隊の人達は、手を上げたり足…を上げようとして服が引っかかっているわね?」
「あの服は踊りには向いていませんから。上手く行かなかったのでは。」
詠唱の際に身振り手振りでもあれば、動きやすいように作ったのでしょうが、立って唱えられれば良い服ですからね。
「あれはあれで見世物になっているわね」
こんな見世物になりたくは無いでしょうけれどね。
「そういえば、オーソン王太子殿下が無事封印まで終わった様です。」
「良かったわ。オーソン兄様は帰って来るのね。」
戦いが終わったのです。一度、帰って来るでしょう。
「帰還のパレードをしながら帰って来るそうですよ。」
「パレード?見世物になるのかしら。」
「そうですね、勝利して部隊が帰るのも初めてですし、良い知らせで少しは明るくしたいのでしょう。」
勝利して帰るのです。見る人たちも明るくなって欲しいものです。
「兄さんたちの隊列も一列になったり二列になったりするのかしら。」
本当に見世物をする訳じゃないんですよ。せいぜい手を振るだけです。
「隊列を変えずに普通に歩いても、皆さん喜んでくれますよ。」
「楽しんでくれるなら良いわね。」
「数少ない娯楽です。」
王族と騎士が隊列を作って歩いて行くのを見る娯楽です。キラキラしていて楽しいんですよ。運が良ければ手を振ってもらえますし。
「それでメインの娯楽…じゃなくて今日の召喚者は誰?」
「まぁ娯楽になっていますが、今日の召喚者は騎士のナイトさんです。」
「騎士なの?早く召喚しましょう!」
ああ、急いで配置についちゃった。周りのみんなも急いでますね。
皆が所定の位置に着きます。
姫さんが魔法陣に魔力を流すと、魔方陣が淡く光ります。
それを合図に、呪文の詠唱が始まり、詠唱が進むにつれて、光がだんだん強くなります。
詠唱が止むと同時に姫さんが力ある言葉を唱え、唱え終わると、魔方陣の光が目を開けていられないほどになり、眩しい光が皆の視界を奪います。
その光が収まると、騎士の鎧を着た青年が立っていました。
「私は第2王女エルメラと言います。貴方がナイト様ですか。」
「はい、私がナイトです。あ、メアリー!」
そう言うと、姫さんの後ろに誰かを見つけた様で、そちらへと走っていった。
「メアリー、君に告げたかったんだ。」
そういうとナイトさんは彼女の前で片膝をついた。
「メアリー、君の事を思わない日は無かった。私と一緒になってくれ。」
「あぁナイト。私もあなたの事を」
「メアリー!」
二人はそのまま二人だけを見つめた。
「カイト。」
背後から姫さんの声がする。そちらを向いて、ジト目の姫さんと向き合った。
「どうかしましたか。」
「彼女が居るわ。」
「騎士の彼女チェックはしていませんから。」
名簿を貰った後は場所の確認して、城と一日で往復できるなら逆召喚です。
「なぜしてないの?」
「騎士に彼女が居ても忠誠を誓うことはありますよ。」
もともと姫さんの希望は、『忠誠を誓ってくれる異世界帰りの騎士』でしたからね。『彼女が居ない』は条件に入っていませんでしたから。
「ええ、でも」
「彼女のいる騎士を除くと、騎士はいなくなりますよ。この方は初めの名簿の最後の1人でしたからね。」
ええ最後です。皆一日以上かかる場所で召喚されています。
「う……。やっぱり彼女のいない忠誠を誓ってくれる騎士が欲しぃぃぃい!」
ですから居ませんって。
読んでいただき有難うございます。
もしも少しでも面白いと思っていただけましたら、
★を少しでもいただけますと、喜びます。




