第10話 重装歩兵の逆召喚 ~無口です~
あれから2週間経ちました。数回後の逆召喚儀式魔術です。
「カイト。」
姫さんも元気に魔法陣班が板を並べる所を見ています。
「魔方陣の板を裏にしていくつか並べているわね」
「あの方が効率が良かったんでしょう」
何人かで裏返して並べて、その中から一つ選んで、並べる人に渡していますね。
「いろいろ考えるのね。毎回違うわ。」
「まだまだ工夫の余地が有るんでしょうね。」
毎回どこか違っています。
「詠唱班の人達は、本当に変わらないわね。踊ってみるとかすれば良いのに。」
「いきなり踊られても困ります。」
せいぜい長時間馬車に揺られた後のストレッチにして欲しいものです。
「呪文の詠唱まで時間が有るんだから、ちょっと何かしてもいいんじゃない?」
「それで呪文を忘れたら困ります。」
何かして時間を忘れられても困りますし。
「あっちの大道芸の人達は踊ったり宙返りしたりいろいろしているわよ。」
「大道芸の人達はそれが仕事です。」
魔法使いが宙返りはしなくてもいいんです。
「子供たちも楽しそうにみているわね。」
「子供と言えば、姫様、以前子供部隊になると言った話を覚えていますか。」
「10歳のアンリに5歳のマリアちゃんに10代半ばの見習い騎士のエクスさんでしたかしら。」
皆未成年です。
「実現しました。」
「アンゼローネの所に?」
「いえ、オーソン王太子殿下の所です。」
場所は姫さんの希望と違いましたね。アンリ殿下とマリアちゃんは、エクスさんの護衛している輜重隊と一緒に行くそうです。
「あちらは押しているんじゃなかったかしら。」
「そのまま押し切って、魔物の出現ポイントを封印してしまう予定らしいです。」
封印してしまえば、兵を引けますから。
「戦いを終わらせる気なのね。」
「今までは魔物の出現を封じられなくて延々戦い続けるしかなかったので、彼女が居れば終わらせられると。」
上の人々の都合の良い考えですが。
「それは、仕方ないのかしら。」
「仕方ないとなって、派遣が決まりました。」
「代わりの人はいないものね。」
「逆召喚されない限り無理ですね。」
この国で、一人だけに確認されている能力ですからね。
「じゃあ今日の逆召喚を始めましょうか。」
「今日は重装歩兵のフラーマさんです。」
「騎士じゃ無くて軍の人?」
「最初の一人があれでしたから。除隊してしまいましたし。」
騎士はエクスさんが活躍しているのに…と軍は思っているようですね。
「今日の人は除隊しないと良いわね。」
「一応期待して召喚してみましょうか。」
皆が所定の位置に着きます。
姫さんが魔法陣に魔力を流すと、魔方陣が淡く光ります。
それを合図に、呪文の詠唱が始まり、詠唱が進むにつれて、光がだんだん強くなります。
詠唱が止むと同時に姫さんが力ある言葉を唱え、唱え終わると、魔方陣の光が目を開けていられないほどになり、眩しい光が皆の視界を奪います。
その光が収まると、全身金属鎧で覆われて、顔もフルヘルムで分からない人が立っていました。
「私は第2王女エルメラと言います。貴方がフラーマ様ですか。」
(こくんと首を縦に振っている)
「この国は魔物に攻められています。フラーマ様、お力を貸していただけませんか。」
(またこくんと首を縦に振って腕でガッツポーズを作っている)
「ではよろしく、これにて失礼させていただきます。」
(こちらに一礼している)
フラーマさんに背を向けて馬車に戻る姫さんに、追いつき小声で聞いてみました。
「姫様、結婚はプロポーズはしなかったのですか?」
「話ができない人はちょっと。」
「えり好みしていると、相手が居なくなりますよ。」
「ううぅぅぅ」
唸っていても、居なくなる時には居なくなりますからね。
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