第9話 農家の逆召喚 ~それは言っちゃダメ~
あれからまた1週間経ちました。2回後の逆召喚儀式魔術です。
「カイト。」
相変わらず姫さんも元気に魔法陣班が板を並べる所を見ています。
「今日もせっせと板を置いているわね。最近一人が裏のマークを見て、他の人に渡しているわ。」
「次にどれを置くか裏のマークを見ている人が指示しているのでしょう。」
効率化していますね。
「詠唱班の人達は変わらないわね。」
「変わらず詠唱するのが役目ですから。」
塔の外に出た緊張が和らいでいれば十分でしょう
「あっちの人達は踊っているわ。」
「あちらは大道芸人ですね踊るのが仕事でしょう。」
見事な踊りですね、さすがプロです。
「じゃあこちらも仕事をしますか。今日は誰?」
「今日は農家のファルムさんですね。」
いたって普通の農家の方です。
「また騎士じゃ無いの?」
「1日以内の距離で召喚された方が少なくて。」
次の名簿も来たので、捜索はしているのですが、皆さん少々遠くで召喚されています。
「アンゼローネが討伐を終えて帰って来ないかしら。」
「まだ終わりそうにありませんね。」
奥から延々とアンデッドが出て来ている様です。
「増えていないだけましかしら。」
そうポンポンと魔物の出現ポイントが増えられたら困ります。
「増えては……ああそう言えば、マリアちゃんを覚えていますか。」
「あの女の子ね。」
はい、担当者の彼女と勘違いした女の子です
「彼女のいる村の近くにアンデッドが沸いたのですが、それを退治して、魔物の出現ポイントを封印したそうですよ。」
「まあ、アンゼローネの所も封じてくれないかしら。」
アンネローゼ姫が戻ってくれば、国中どこでも逆召喚ができますからね。でも……
「あの子を戦場に出すのですか?しかも次に王家として隊を率いるのはアンリ様ですよ。」
「アンリって言うと、オーソン兄様の子供よね。」
「ええ、今年10歳です。護衛にエクスさんでも就けば見事な子供部隊です。」
10歳の旗印が5歳の女の子を守って、護衛も10代半ばですよ。
「ちょっと無いかしら。」
「出来れば無しにして欲しいですね。」
大人の1人として遣る瀬無いです。
「じゃあ今日の逆召喚を始めましょうか。」
「そうしましょう。」
皆が所定の位置に着きます。
姫さんが魔法陣に魔力を流すと、魔方陣が淡く光ります。
それを合図に、呪文の詠唱が始まり、詠唱が進むにつれて、光がだんだん強くなります。
詠唱が止むと同時に姫さんが力ある言葉を唱え、唱え終わると、魔方陣の光が目を開けていられないほどになり、眩しい光が皆の視界を奪います。
その光が収まると、20代前半の、特徴の無いほわっとした青年が立っていました。
「私は第2王女エルメラと言います。貴方がファルム様ですか。」
「そうですだ。」
「この国は魔物に攻められています。お力を貸していただけませんか。」
「喜んで力を貸しますだ。」
今回も上手く行きましたね。この村近辺の魔物を倒してもらえれば助かります。
「すべてが終わりましたら、私と結婚していただけませんか。」
姫さんも凝りませんね。
「結婚相手はもうちょっと胸があるほうがいいですだ。」
即答!姫さんの胸を見ながら言っています。
「なんですってぇぇぇぇ」
姫さん姫さん、声が地を這ってますよ。落ち着いてください。
「この姫さん怖いですだぁぁぁ」
あっという間に走って……消えました……賢明ですね……。
「姫様、気にせずに…」
ああ、震えていますよ…これは…怒っている方ですね。
「女の価値は胸じゃなぁぁぁぁい!」
はいはいそうですからね。
はぁぁぁ。どうやってこの姫さん落ち着かせましょうかね。
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