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私が貰った職業は最低ランクらしいのですが、スキル特攻でゴブリンを皆殺しにします  作者: 海の紅月 くらげさん


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2/7

選択



 部屋を出て、扉を閉めた。


 廊下に出ると、廊下は左右に分かれていて、どちらへ進めば外に出られるのか見当もつかない。


「戻って聞こうか……」


 そう呟いてから、ぶんぶんと首を振る。


「いやいや、あの聖女さん……」


 部屋を出る前の聖女さんの姿を思い出す。


「みんなに頭を下げてまでお願いしてたし。私が戻ってシリアスな空間に水を差すのはさすがに気まずい」


 うん。と、首を縦に振る。


「……まぁ、適当に歩けば出られるでしょ」


 右か左か。


 まるでRPGの選択肢みたいで、ちょっとワクワクしている自分もいる。

 楽観的かな? でもこの感覚はきっと【遊び人】という職業のせいだ。

 前の世界の私よりも、今の私の方が楽観的な思考になっている気がした。


「よし、左!」


 心の中でカーソルを【左】に合わせて進む。


 歩きながら、ふと手元の巾着袋に目をやる。

 この巾着袋は金貨が入っているらしい。よく見ると、袋の口の刺繍がやけに精巧で、糸が淡く光って見える。


 ここは異世界だ。この巾着袋が魔法の袋と言われれば信じる自信はある。表面は布製で柔らかく、揉むとゴツゴツしていて堅い物が沢山入っていると分かる。これが金貨だろう。


「裕福な生活が五年もできるって言ってたよね。家に帰れないのは残念だけど、安い家を買って、のんびり野菜なんかを育てて、スローライフでも満喫しちゃおっかな」


 歩くのをやめて、目をつぶる。


「暖かな家、新鮮な野菜、そして私の笑顔」


 うん。


「なんか楽しみになってきた!」


 少しの不安は、一瞬で過去になる。



「聖女さんには感謝だね。あっそうだ。金貨が何枚あるのかは確認しておかないと」


 巾着袋を開けた瞬間、床が消えた。


「えっ!?」


 足の裏から支えがなくなり、全身を浮遊感が包む。

 視界がぐにゃりと歪み、耳の奥でピュンッ! という軽い音が弾けた。


 周りの景色が黒く染まり、巾着袋からシュンっ! と何かが飛び出す。


「はッ!」


 その何かを目で追うと、その何かは白く光る小さな玉みたいだった。玉は空中で止まり、空中にふわりと浮かんでいる。


【設定されたモンスター:ゴブリン】

【検索中……】


 小さな玉の上に、水晶玉の上で見たようなシステムウィンドウが現れる。


 ピッ、ピッ、ピッ、と、異世界らしからぬ電子音が鳴り響き……。


【特定しました。転移を開始します】


「どこに!」


 私の問いに答えは無く、視界が再び歪む。


 ピュンッ! ピュンッ! と連続で音が鳴り、次の瞬間には足の裏に硬い地面の感触があった。


「うわっ!」


 急なことに足踏みをして、尻もちをついた。鈍い衝撃が腰を直撃する。


「いっ……た〜!」


 涙目になりながら、辺りを見渡す。


「……どこ、ここ?」


 まだ小さな玉は空中に居座っている。


【転移中にエラーが挿入されました】

【検索中……】


 そしてシステムウィンドウのメッセージが変わっていた。


「え、エラー? なにそれ?」


 ここは、さっきまでいた廊下ではなかった。


 岩肌が湿り気を帯びた洞窟。


 ひんやりとした空気が肌を刺し、一つしかない出入り口からは、かすかに血と獣の臭いが漂ってくる。


「何この匂い」


「「「ギャッ、ガリュガッ!!!」」」


「うるさ」


 耳をつんざく掠れた甲高い声。

 洞窟の出入り口の方から聞こえてくる。私は尻もちから立ち上がって、おそるおそる出入り口の外を覗いてみた。


「すご」


 そこには大きな空間があり、四方の壁は高層マンションのように見上げるほど高い。そして壁には規則正しくはないが、アリの巣状に沢山の穴が空いていた。


「「「ガリュガッダ!!!」」」


 大きな声につられて、下を見てみてば、わらわらと沢山の小さな影が動いている。


 目を凝らすと、段々とハッキリと見えてくるのは、緑色の肌に子供のような小さな体躯。


【レアランク:C】

【モンスター:ゴブリン】

【レベル:12】


 ピンッ! と、音がなり、モンスターの上にシステムウィンドウが現れた。


「……モンスター? ゴブリン? レベル? もうほぼゲームじゃん。しかもランクC、職業ランクFの私よりも高い」


 ピン、ピピピピピン! と、大量のゴブリンの上にシステムウィンドウが表示された。


「おっ!」


 見渡してみても、ゴブリンの違いは分からない。でも一体一体のレベルは違っていた。


「レベル10から15が平均して多いのかな。最高でも15だね」


 このレベルが何を指してるのか分からない。分からないことばっかりだ。


「こんなに集まって何してるんだろう」



 暗い洞窟にパッ、パッ、パッと松明の炎が照らされる。


 洞窟中が照らされると、一気にゴブリンたちは静かになった。ゴブリンたちは一点を見つめているようで、私もゴブリンたちの視線の先に視線を持っていく。


 さっきまで大きな岩だと思っていたところに大きな玉座があり、そこには王冠を被っている筋肉隆々の大きなゴブリンがいた。大人の象よりもデカイ。


【レアランク:???】

【モンスター:ゴブリンエンペラー】

【レベル:???】


 ゴクリと唾を飲み込む。


「名前以外何も分からない」


 肘置きに寄りかかっていたゴブリンエンペラーの視線が急に私に向いた。


 蛇に睨まれた蛙のように身動きが取れない。


 ゴブリンエンペラーの名前欄にノイズが走ると、


【レアランク:???】

【モンスター:???】

【レベル:???】


 名前すら分からなくなった。







 


 


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