軸職人の道具
軸職人が使用してきた道具の履歴です。
時々、更新します。
制作工程を追記いたしました。
回転がブレてきたら、駆動軸が変形しているので、修理をお勧め致します。
ブレがない状態のほうが速く巻けます。
モーターとの接続部(駆動軸)のリペア方法を追加しました。
軸のリペアをしていて、残念な結果がありました。
古い時期に作製していた軸について、内部をリーマで均一化していなかったため、リペアのために詰め物を外しても、新しい詰め物の再挿入が不可となる事案が発生しております。
この場合は、4㍉のストレートリーマで内部を均してください。
初期の軸は詰め物を一点物で作製していたため、作製者は気にしておりませんでした。
円盤の作製工程を追加しました。
作製遍歴(主に工具と材料)
初期:6ミリSUSパイプ(肉厚1㍉、ガスの配管工事での廃棄品)+金ノコ+ハンドドリル+布ヤスリ#240+スコッチブライト+研磨剤+目立てヤスリ+綿棒+ビニールテープ
第1.5期:金属ゴミ捨て場にあった隔測温度計を加工した物も作りましたが、材料入手が不定期なのと、入手しても変形していたりしていたため、東急ハンズで5㍉のSUSパイプ(肉厚0.5㍉)を買ってきました。(大坂には、江坂、大阪駅大丸、心斎橋の3店舗が有るのですが、心斎橋店が一番安かったです。 最終的には、会社に出入りしている業者を仲介して、1本当たり700円弱で購入していました。電車賃が掛からないので破格になりました。)
第2期:ミニルーター+5㍉SUSパイプ(肉厚0.5㍉)と穴径5㍉×20㍉のスペーサー、5㍉のSUSワッシャー、SUS用ハンダ、SUS用フラックス、セラミックの欠片(ジルコニアセラミックのブレードです。)
使用しなくなった物;6㍉SUSパイプ(肉厚1㍉)+金ノコ
第3期:上記+マカロニホースプラグ+2㍉のアルミ丸リベット、エポキシ接着剤、プラスチック用ノコギリ+シリコンチューブ+6㍉SUSパイプ(肉厚0.5㍉)+NTカッター(刃厚0.25㍉)
使用しなくなった物;スペーサー+ビニールテープ
第4期:上記+ミニカッティングソウ(刃厚0.5㍉、家で正確に切る事が可能になりました。)
第5期:上記+サーキュラソウ(本来は、丸ノコ仕様なのですが、切断砥石に変更しています。縦割りが簡単になりました。)
使用しなくなった物:ミニルーター
第6期:上記+ウレタンチューブ+径2㍉の竹ひご+ボンドウルトラ多用途SUプレミアムソフト+4㍉のストレートリーマ
使用しなくなった物:マカロニホースプラグ+アルミリベット+エポキシ接着剤+プラスチック用ノコ(ウレタンチューブを使用したところ、SUSパイプの内径に差異がある事が判明しました。
第7期:上記+ベルトサンダー
使用しなくなった物:布ヤスリ+目立てヤスリ
第8期:セメダイン3000ゴールド
使用しなくなった物:ボンドウルトラ多用途SUプレミアム
作業時間の短縮のため
細かな道具はほとんど、プロクソンのものです。
セラミックの欠片となっているのは、ジルコニアセラミックブレードです。
円盤の主材料はPETフィルムです。他にはPET/PPの複合材、白PETもあります。
裏打ち材はPPで、両面テープで止めています。(ダイソーの透明が最高!)
切り抜きはオルファのサークルカッターです。
穴開けは、アクリルサンデーの5㍉ビットを使用しています。
ウレタンチューブは千代田通商のTP-4です。(正確にはタッチチューブ)20mで1800円以下だから一つ買えば、500本以上作れます。単価@5円以下!!
作製工程(2023年時点です)
1·.パイプとワッシャーの準備
外径6㍉✕厚み0.5㍉のSUSパイプ
外径5㍉✕厚み0.5㍉のSUSパイプ
内外5㍉用のSUSワッシャー
2.パイプの切断
6㍉のSUSパイプを必要な長さに切断する。
シェーバー用なら、19㍉
ミルクフォーマー用なら、13㍉
5㍉のSUSパイプを切断する。
シェーバー用なら、50㍉
ミルクフォーマー用なら、55㍉
正確には、リボン部分が20㍉+ゴム部分の長さ+ワッシャー2枚分(約2㍉)+刺す部分(ミルクフォーマー20㍉、シェーバー6㍉)の合計になります。
切断後は、切断面をバリが無いようにならしておく。
5㍉のSUSパイプは内部を4㍉のストレートリーマを通して、内径を整えておく。(中に詰めるタッチチューブが4㍉ジャストなので、非常に重要な作業です。)
3.半田による蝋付け
5㍉のSUSパイプの20㍉の位置にシリコンチューブを嵌める。
6㍉のSUSパイプを差し込み、SUS用フラックスをたっぷり塗り、馴染ませる。
半田コテを温めておき、十分に温まったらSUS用半田を溶かして蝋付けする。
シリコンチューブがついていない方から2枚のSUSワッシャーを入れ、十分にSUS用フラックスを付ける。
温まった半田コテでSUS用半田をたっぷりと付けて蝋付けする。
シリコンチューブを外す。(一次整形終了)
4.半田除去&研磨
旋盤にリボンを巻く方を差し込み固定する。
回転させながら、余分な半田をセラミック刃で削り取る。
これを全ての箇所に行い、全体をピカピカにする。ワッシャー部分はヤスリを掛けて、芯振れを無くす。
全体的にスコッチブライトで磨く。(二次整形終了)
5.溝切り
サーキュラソーを用意して、起動させる。
巻き取り部先にして、段が付いた部分まで縦割りをする。
裏返して、同じく段の部分まで縦割りをする。
旋盤に取り付けて、縦割りの際のバリをスコッチブライトで削り磨く。
6.縦割り部分のR付け
縦割り部分をベルトサンダーに差し入れて、リボンが入れ易いようなRをつける。
リボンの入れ口は尖り過ぎない程度にして、滑らかに仕上げる。
ウェスに研磨剤を付けて磨き、ミラーフィニッシュを目指す。
研磨が終われば、脱脂用の溶剤で余分な油分を落としておく。
7.ゴム付け
シリコンチューブを6㍉のSUSパイプの+10㍉程度にカットする。6㍉程度のパイプに差し込み、旋盤で回転させながら少しカットして、断面を平らにする。
パイプから外したシリコンチューブの平らな方をワッシャーに当たるように差し込む。
旋盤に差し込んで回転させながら、段差の部分でカットする。
8.駆動軸の取り付け
15㍉長さにカットした(15~25㍉くらいの長さであればOKです。)外径4㍉✕内径2㍉のウレタン製タッチチューブを用意する。(長いほうが剪断応力が大きくなり、外れ難くなります。)
市販のモーターにタッチチューブを取り付ける。ボンドウルトラ多用途SUプレミアムソフトを塗布した2㍉の竹串を差し込み、硬化するまで放置する。ハミ出た竹串は短めにカットする。(2~3時間で取り外し可能ですが、最終硬化は24時間必要です。)
本当はセメダインのPPXがイイ
のですが、扱いが難しいのです。(瞬間接着剤系は作業時間が短いので、注意が必要です。)
挿入部をエタノール等で脱脂する。
硬化が終了したタッチチューブを組立た物と軸の挿入口に接着剤を塗り、タッチチューブを組立た物を差し込む。
(タッチチューブが入り難い時は、挿し込む方をヤスリ等(紙か布#240推奨)で削り細くしてください。)
ミルクフォーマー用は全部入れ、シェーバー用は3㍉余らせる。(シェーバー用が短いのは、シェーバーのモーター軸の飛び出し長さが6㍉しかないためです。)
セメダイン3000ゴールドを使用したところ、竹串の取付作業時間の短縮が可能でした!(15分程度で取り外し可能)
Seriaやcan·doで110円で購入可能なので、こちらがお勧めです。
これで完成ですが、同じ工程が多いので5㍉のSUSパイプの購入量によって、ロット数は変化します。
SUSパイプは東急ハンズで購入可能ですが、高いのでモノタロウでの購入をお勧めします。(2.5~3倍の価格差があります。)
9.巻き軸のリペア
巻き軸は取り外し回数が多いと狂いが生じます。今回は巻き軸から接続部を取り外す工程の説明です。
必要な工具:電動ドリル,4㍉のキリ
古いタイプはアルミリベットが入れてあるので鉄工用のキリが必要です。
巻き軸の切れ込みのある方から電動ドリルに取り付けたキリを差し込みます。少し回すとエポキシ接着剤が削れて出てきます。もう少し回すと、少しづつアルミの削れ粉が出てきます。
アルミと一緒に黒い粉(POM;ポリオキシメチレン)が出てきて、回転が急に軽くなります。
※1 巻き軸の詰め物が取れたらキリに軸を刺した状態で前後に動かして取り残した接着剤を綺麗にします。
4㍉のストレートリーマを取り付けて、内径を整えます。(入り難いからと、テーパードリーマを使用すると、根元に緩みが生じますので、絶対に使用しないください。)
※2 ポリウレタンの場合は、割りの方から4㍉の丸棒を挿してから(熱伝導防止のためです。)、ウレタン側をターボライターで炙って熔かして取り除きます。この後は、※1に戻ります。
この後は 8の駆動軸の取り付け工程に進みます。
10.円盤の作製
ダイソーのPP板(0.75㍉厚、透明)に40㍉巾の両面テープを貼る。
サークルカッターを30~35㍉くらいの幅にセットする。
両面テープが貼ってない面に中心となる点にアクリルサンデーのビットをかるく当てて中心を作る。
サークルカッターを回して根気よくカットする。(この工程が一番辛い!)
円盤に使用する材料の中心にPPをカットした物の離型紙を剥して貼り付ける。(材料はPETがお勧めです。)
使いやすい大きさにサークルカッターをセットして円盤を切り抜きます。
電動ドリルにアクリルサンデービットを取り付け、捨て材に載せてゆっくりと穴径を拡げてゆきます。(捨て材がないと心がが狂うので、必ず使用してください。)
穴が貫通する前に止め、逆の方向から貫通する前に止めます。(貫通させないのがポイントです。)
穴が開いたら巻き軸に差して回転させながら円盤の端部にサンドペーパーを当てて、細かなバリを取って完成です。
蛍光カラーが必要な方は円盤の材質を硬質塩ビにしても構いませんが割れ易いので、お勧めいたしません。
11.オマケ(推しの写真で円盤)
推しの写真で円盤を作る事も可能です。
円盤に使いたい推しの写真をサークルカッターで切り抜きます。(推しの顔に巻き軸が突き刺さらないレイアウトを考えてください。)
丸くカットした推しの写真をラミネートフィルムに挟んでラミネートします。(失敗してもイイ様に余分に作っておきます。)ラミネートが終わった写真にPPの裏打ちを両面テープで貼り付けます。推しの写真よりも5㍉くらい大きくセットしたサークルカッターでくり抜きます。
後は10の工程と同じ様に穴を開け、周囲のバリを取れば完成です
注意⚠️
駆動軸を取り外そうとして、ライター等で炙らないでください。POMが燃えてロウ付けの半田が溶けて悲惨な事になります。
軸作製をしようと思う方がいらっしゃれば、道具全てお譲りいたします。
(先着1名様ですが、審査はあります。)
円盤作りに使用する道具の大半と材料を譲ってしまったので、今後お渡し可能なのは軸作製の工具のみとなります。
感想かXのDMから連絡ください。