覚悟
かくして王都への旅が始まった。パーティを組みなさいって四人ぐらいかと思ったが十二人も居た。ウチダヤに言わせると当たり前らしい。兎に角、多勢に無勢でモンスターを集団リンチする。と言うのがこの世界でのドクトリンらしい。もしドラゴンなどの最強クラスに出くわした際は、六人が生け贄になって六人が全力で逃げる人選も決まっていた。俺は仲間を置いて逃げるなんて絶対にできないし、もしもの時は俺が生け贄になると名乗り出たがウチダヤに
「良いんだよアイツらどーせモブだから」
と意味不明な言論で却下されてしまった。結論を言うと王都に着くまでに十二人中十人が死んだ。仲間を置いて逃げるなんて絶対にできないとはなんだったのか?覚悟していたつもりだったが全然足りなかった。俺とウチダヤは仲間がメチャクチャに引き裂かれているのには目もくれず、ただ全力で走って逃げた。自分がこんなに早く走れる事にビビる。二時間くらい走ったつもりでも、五分しか経っていなくてビビる。見捨てないと固く誓った仲間でも、見殺しにできてしまう自分にビビる。
「モンスターだらけの過酷な世界に……」
「アぁッ!イヤぁ!イクぅ!イッちゃう!イグイグゥ!死んじゃう!死んじゃ……」
俺の頭の中で女神クシナダの声が反復していた。