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バッドトリップ

 小平次さんは石の様に固まったまま虚空のある一点をじっと凝視して何か深く考え込んでいる。次三郎さんは突然何か重大な事に気づいたかの様に目を見開いてハッとしている。与左衛門さんはポテトチップスとチョコレートを交互に食べている。噛み砕かれた粒子の一つ一つを知覚している。俺は自転車を漕いでいる。自転車を漕ぐのってこんなに楽しかったっけ?街路樹の葉の一枚一枚のその隙間を見る。世界の完璧なアライメントに見惚れている。生まれてきてよかったと生まれて初めて思った。毎日死にたいと思ってた日々は何だったのか。全ては脳みそが見せる幻想に過ぎない。俺の性格さえ、ドラッグでコントロールできる。自分なんてものは無い。ただみんなが俺を見ていただけだった。気がつくと俺はぶっ倒れていた。目を閉じた暗闇の中を凝視すると、儀式をする三人の黒装束が浮かび上がる。その瞬間鳥肌が止まらなくなりただ怖くて仕方がなかった。

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