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原罪

 俺は悪事を働いてきた。それは物を盗む事から始まった。泥棒が始まったのだ。小学六年の頃、クソガキのグループで駄菓子を盗みまくり、公園でパーティーをするのが楽し過ぎてしょうがなかった。次第に盗みはエスカレートしていき、ラジオや掃除機や観葉植物まで盗み出す猛者が現れた。その手口も段々と雑になっていき、最終的には花火のセットを持ってエスカレーターに乗ってそのまま外に出ると言う簡単なムーヴに落ち着いた。店を出たらバレてもいないのにわざわざ「逃げろォォ!!」と叫んで走り出した。将来労働する気など毛頭に無く、いざとなれば全て盗んで暮らせると考えていた。本を盗んで売れば金になる。トーキョートライブが一冊450円で売れて、十冊盗めば4500円になった。俺達が盗み過ぎたせいで店のカードコーナーが消滅した事もあった。更に数年が経つと、その店は潰れてしまった。ただ楽しいと言う理由で人家や個人商店のガラスを割って遊んでいたし、友人と毎日交互に自転車を盗んでニケツして帰った。ヒドい時には三ケツをしたが、すぐにパンクして廃車になった。ある日クソガキのグループに裏切り者が現れ、親に問い詰められて俺らの事まで全てゲロってしまった。俺らは全員個別に小学校で聴取をされ、夜になってもまだ学校に居た。俺がもし教師だったなら、正義の名の下にクソガキを問い詰めるのは楽し過ぎてしょうがなかっただろう。家に帰ると母親は泣いていた。後日盗みをした全ての店に謝りに行き、盗んだ分の金を払った。俺は何を盗んだかを店員に聞かれ、ハイチュウキッズと答えたのだが、店員は「ハイチュウね」と言ってレジを打ち、60円くらいの筈が85円くらい払わされた。こんな事が許されていいんですかァ!?悪事を成す事のデメリットとしては、自分の世界が狭くなるという事だった。実際悪の限りを尽くしていた俺は、最終的に地元には居れないくらい敵を作ってしまった。悪を成す事の利点は、好き放題やって悔いが無い事と(厳密には無いとは言い切れないが、過去になってしまえばもう取り返しがつかない)、いつ殺されてもしょうがないと思える事だった。結局俺は遅ればせながら社会に出て、働く事になった。これは不可避の現実で、そこと折り合いをつけるのが人間の知恵だ。職を転々としながら生きていると、辛く苦しい事もある。そんな時に俺は思うのだ。昔俺は殺されてもしょうがないくらいに罪を重ねたから、今生かされているだけでも感謝だと。楽し過ぎた子供時代は終わり、大人になってその頃の罪を償い続けているが、誰の気が済む訳でも無く、返しきれない罪だけが残されているのだった。

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