元クズ父親の一生の思い
この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
俺はぁ、クズだ。
どこかクズだって?
俺は前科持ちだ。
なに、重犯罪を犯したわけじゃねぇ
なに、ただの強盗のようなもんさ。
まぁ、ただの強盗なんて言ったら聞こえは悪いかもしれねぇ
ああ、ちゃんと反省しているさ。
何をしでかしたかって?
なに、ただのファスト映画の動画配信だ。
知りてぇ奴がいるから教えた。
それで金になったら楽でいいやって思ってた。
だがそれが世間にバレて、あっけなく捕まっちまった。
刑期は執行猶予付きの2年だ。
でもこう思ってる事もある。
こんな事、本来は考えちゃいけねぇが
もっと悪い奴がいるって。
例えばパ〇活だ。
あいつらのやってる事だって俺と同じだろ?楽に金を稼ぎたい、共通点は同じだ。
ただ、取り締まりがしにくいだけでそれを良しとして、性病をまき散らす。
ただの犯罪者だ。
お次にO〇薬の売人だ。薬局の薬にある麻薬の成分だけを取り出して、売買してる。あいつらも同じ、楽して金稼ぎがしたいだ。
他人の迷惑や他人の人生なんて考えちゃいねぇ
世の中なんてそういう奴ばっかりだ。
───そう思っていた。彼女と出会う前は。
彼女ははっきり言って顔は良くない。
だが考え方が俺と丸っきり違う。
他人の為に一生懸命になれる奴だ。
そして、彼女と知り合って間もなく付き合い初めた。
正直言って、俺に対して惚れる理由なんて自分自身理解ができないが
彼女は「根の所は誰よりも優しくて、ただその根が不運にも絡みあってしまっただけ。誰よりも優しい男よ」っという。
分からない。
俺に対してそう結論に至れる理由が分からない。
でも彼女をそう言い続ける。
自分自身、当時は困惑してたと思う。
そして、彼女と俺の間に子供が授かった。
俺は子供を作る前に、育てる自信がないと言った。
当然だ。親が元犯罪者なんて、俺が子供だったら絶対コンプレックスに感じるだろう。
生きるのが嫌になるかもしれない。
そんな風に思われたら、俺自身、生きていく自信がない。
でも彼女はこういった。
「大丈夫よ。大抵の親なんて、皆そんな風に怯えながらも生きてるわ。
そして、子供というのは私達のエゴで生まれるようなもの、あなただけのエゴではないわ。私達だけのエゴよ。
もし、責められるなら、あなたと私で一生償っていきましょう?」
そういい、彼女は子供を出産した。
だが、その3年後、彼女にガンが発覚した。
そして、彼女は───
なくなった。
「・・・」
「おかしいだろ。」
「なんで、俺みたいなクズじゃなくてあいつが死ぬんだ?」
「あいつは誰よりも他人を思いやって、誰よりも立派だった」
「なんで、そんな奴が俺より先に死ぬんだ!」
「こんなの・・・おかしいだろ・・・」
そう嘆き、家に戻ると白い封筒が置いてあった。
その封筒には彼女の字で執筆されていた。
あなたへ、これを見ているという事は
私はこの世から去っているでしょう。
こんな風にお別れになってしまい、ごめんなさい。
私がこんな事をいうとあなたは余計重荷に感じるでしょうね。
でも、これだけは伝えたい。
「諦めないで」
きっとこの先、苦しい事があるでしょ、娘との喧嘩をしてしまって
過去のあなたみたいに自暴自棄になってしまうかもしれない。
そうなった時、この言葉を思い出して
「諦めないで」
呪いのような言葉に近いかもしれないけど
きっとあなたなら、この言葉に対して貫き通せるわ。
私はそう信じてる。
俺は絶句した。
だが同時に決意する。
絶対に諦めないと
ども、空ノ助勘太郎です。貴重な時間を割いて頂いた上でご愛読して頂きまして、誠にありがとうございます。完結まで面白いお話の作成に努めていきたいと考えております。何卒応援の程よろしくお願い致します。