第8話 不幸中の幸いも良いんじゃない
「なにもあんなに怒らなくたって良いのにねぇ」
「あぁそうだな。ただ、学校の備品を破損したのはまぎれもない事実だし。しかも弁償は不要と言う事になったのだから、不幸中の幸いと考えるべきだろうな」
なんだかちーちゃんが、しょんぼりしてる。
ここはひとつ、私が元気付けないとですね。
「不幸中の幸いねー。それじゃあさ、せっかくだから二人でもっと楽しいコトしに行こっか!」
「え!? たっ、楽しいコト……っていったい?」
「それはねぇ、ふたりで一緒にお風呂に入ってからぁ、イチャイチャするのっ!」
「ふっ、ふたりで一緒にっ!?」
「そっ! うふふっ!」
「ふふふふたりで一緒に、ももももっと楽しいコトってっ! そっ、それは……流石にっ……」
「ダイジョブだよ、平日だし、きっと空いてるよ」
「なんとっ! 平日は空いているのかっ! 流石にそんな情報は持ち合わせてはおらんが……。いやいや、そうではなくて、私はまだソッチ方面で確定している訳では無いと言うか、なんと言うか、そのぉ……って言うか、紬は良くそんな情報を知っているなっ! 誰だっ! いったい誰とそんな所に行ったんだ!?」
「えぇぇっと、お隣のお姉ちゃん……とか?」
「なぜに疑問形? いやいやそんな事より、お隣のお姉さんと言うと、確か美人でかつグラマー、ご近所でも有名な、あのエロエロ大学生お姉さんの事かっ!?」
「あはははは。エロエロ大学生は上手いこと言うねぇ。彼女は琴音ちゃんって言うんだよぉ。みんなからは琴ちゃんてよばれてるんだぁ」
「くっ! 名前なんてどうでも良い!」
「ひどっ!」
「お前があんなエロエロなお姉さんを選ぶなんて……ん!? いっ、いや、待てよ。お前が手を出したと言うよりは、お前の方が彼奴から手を出されたと考えた方が自然だっ! 大の大人が弱冠十七歳の女子高生をそんな淫らな場所に連れ込むだなんて! 完全に淫行条例違反っ! ぐぬぬぬぬっ……と言うことはつまり……ははは犯罪ぃっ! これはまさしく、重大事件勃発と言えるのではなかろうかっ! これは一大事っ! けけけ警察っ! 警察に電話しなければっ! 警察はっ、警察の電話番号は!? 警察って何番だっけっ?!」
あららぁ……。
ちーちゃんったら、手が震えちゃって、震えちゃって。
スマホ持つ手がぷるぷるしてる。
うふふっ、おっかしいのっ!
「えっとぉ、113番だっけ?」
「そうそう! 113、113番……って、それは『電話の故障受付』だっ! それじゃないっ! 違う番号だっ!」
「それじゃあ、114番?」
「何故に疑問形っ? いやいやそんな事より、114番は『お話中調べ』ではないかっ! 相手先の電話がお話し中かどうかをしらべてくれる便利なサービスだぞっ、違うっ! それじゃないっ!」
「だったら171番じゃないかなぁ?」
「そうそうそう! 171番、171番っ! って! 171番は『災害用伝言ダイヤル』じゃないかっ! 災害発生時に伝言が残せる非常に重要な番号だ! 緊急時に重要と言う意味では確かに同じだけれども、だけども今回は違ぁぁうっ! って言うか、いまだにダイヤルって言うのも少々気にはなるな。何しろダイヤルと言うのは円盤状の表示盤や入力装置の事を差す用語だ。今の電話にその様な入力装置が付属して無い事は一目瞭然。かく言う私もダイヤルの付いた電話機なぞは、某電話会社の技術資料館に行った時に初めて目にしたと言うレベルだ。今更ながらにこのネーミングは如何なものか? と思わざるを得ないな……って言うか、何の話だっけ?」
もぉ、ちーちゃんってば、やっぱりポンコツ。ふふっ。




