第47話 今のもスルーで良いんじゃない
「本日の中継は、西日差し込む生徒会執行部室前、中庭側テラスよりお送りしております。司会は私、パル子。解説にはエロエロを愛し、エロエロに愛される女。通称、エロエロ大魔王こと、藤崎紬先生にお越し頂きました。本日はどうぞよろしくお願い致します」
「はい、よろしくお願いします」
「さて、もうひと方お呼びしております。今回の事案に際し、生徒会執行部を代表しまして、文化部委員長である結城千春さんにもコメンテーターとして参加いただきます。千春さん、よろしくお願い致します」
――ガタガタガタ、ブルブルブル。
「千春さん、千春さん? 千春さんの態度が少しおかしい様ですね。どうしましたかねぇ、解説の紬先生」
「あぁ、これは完全にビビってますねぇ。千春ちゃんはエロに関しては極度な耳年増でして、残念ながら全く実戦を経験しておりません。やはり情報をいくら持っていたとしても、イザと言う時には何の役にも立たないと言う事の良い事例と言えるでしょうね」
「はぁ……そうですか、致し方ありませんね。それではコメンテーターの千春さんには、復活し次第、コメントの方を頂いて参りたいと思います。それでは早速、現場の方を見て参りましょう。いやぁ、それにしても解説の紬さん、最初は流石に驚かされましたねぇ」
「そうですね。我々が覗いた時には、両者既にロックオンの状態でしたからねぇ」
「はい、確かにそうでした。男性の方はどうやら現職副会長の東雲先輩と言う事で」
「えぇ、そうですね。あの凛々しい顔立ちに澄んだ瞳。細身でソコソコ高身長な所も好感度アップと言った所でしょうか。それにしても、こんなトコロでコトに及ぶとは……これからを嘱望される青年であったがだけに、少々期待外れの感が否めません」
「なるほどぉ。それではお相手の女性ですが……えぇっと、今年の生徒会改選の際に東雲先輩とともに副会長に選出されました、楢崎麗奈さんとの情報が入っておりますが、解説の紬さん、いかがでしょうか」
「はい、お相手の女性の方ですが、第一印象からして、完全なお嬢様である事が見て取れますねぇ」
「ほほぉ、それは一体どう言う事ですか?」
「まず第一に、ヘアスタイルですね。ミディアムのゆるふわハーフアップ。これは面倒ですよぉ。毎朝のセットだけで一時間は掛かる事請け合いです。登校十分前にようやくベッドから起き出す私には、絶対にマネができない髪型と言えるでしょうね」
「ほほぉ、なるほどぉ。本来ですと紬さんが登校十分前に起きると言う部分に、一言、二言、ツッコみを入れるべきかとは思いますが、今回はあえてスルーとさせていただきます。さて、他にもお嬢様としての特徴が見られますか?」
「そうですね。次はネイル……でしょうか。あのネイルは手が込んでますねぇ。ギャルの様な付け爪と言う訳では無く、よく手入れされたネイルである事がうかがえます。あれだけのネイルを維持するとなると、ほぼ家事手伝いは行っていないものと推測できますねぇ」
「なぁるほどぉ、流石は解説の紬さん、目の付け所が違いますね」
「えぇ、私ぐらいの達人になりますと、SNSでのファッション警察時代の頃より、この手のお嬢様はイヤと言うほど目にして来ましたから。まず間違い無くお嬢様とエセお嬢様は見破る事ができますね」
「流石は紬さん。貫禄が感じられます」
「はっはっは……そうでしょうとも、そうでしょうとも。何しろ先週より既に一キロほど体重が増えましたからなぁ。やっぱり、先週から発売されたコンビニスィーツの『まるごとスモモ』、あれがメチャメチャ美味ぅて、美味ぅて……って、オイ! コラッ! 何で見た目の貫禄やねんっ!」
「「……」」
「さて、続いて現在の状況ですが……」
「え? 今のもスルーですか?」
「はい、面白くないので」
「くっ!」




