第44話 みっしょんいんぽっしぶるじゃない
「で、パル子ちゃんは股間治ったの?」
「いやいやいや、紬ちゃん。私は股間だなんて、一言も言って無いよ」
「そうだぞ紬。パル子は単にトイレで用を足したら腹痛が治った。ただそれだけだ。パル子だって人間だ。トイレに入れば小便だってするし、大便だってする。だいたい、お前だって便秘系だろ?」
「あーね。便秘は確かに辛いもんねぇ」
「だろう? 小学生じゃあるまいし、学校のトイレで大便をしたからと言って、どうだと言うんだ? なぁ、パル子。大便は決して恥ずかしい事じゃないぞ。大便は人間として生きて行く上で、必要なモノだからな。特に大便はな」
そんなに何度も何度も大便って!
くっ、流石に一本抜いてたとは言えないし。
もう……大便でいいや。
「あぁ、うん……まぁ、ね」
「そんな事より、逆に私から紬に問いたい。これは、いったい何のマネだ?」
「え? 中庭の茂みに隠れてるんだけど」
「それは比較的最初の頃から理解している。私が問うているのは、なぜ中庭の茂みに三人そろって隠れる必要があるのか? と言う点だ。まさか、紬も大便をもようしてきたと言う訳ではあるまい?」
「そんな訳ないでしょ。なんで私がトイレじゃなくって中庭で大便するのよ。しかも、ちーちゃんとパル子ちゃんを連れ立って大便って、いったいどんな羞恥プレイなのよぉ!」
「だよなぁ。いくら紬でも、それは無いと思っていたのだが。まぁ、流石に大便は無いな、大便は」
もぉ、いいっ!
千春ちゃんに紬ちゃんっ!
大便はもうっ、いいっ!
って言うかそれ、単に大便って言いたいだけじゃんっ!
「まっ、まぁ……大便の話はとりあえず置いておきましょうか。で、ここって、生徒会執行部の部屋の前ですよね?」
「おぉ、さすが頭脳明晰なパル子ちゃん。そうだよ。ここは生徒会執行部の部屋の前だよ」
「それは分かったが。で、いったいここで何をしようって言うんだ?」
「そこなんだよ、ちーちゃん。明日執り行われる生徒会執行部会議に備えて、一度敵情視察に赴いたと言う訳なんだよ。なにしろ明日の会議で急遽文化副委員長を襲名する事になる訳だからね」
急遽襲名って……そんな大層なモンじゃなくって、ついさっき土下座までするもんだから、茶道部の副部長を代わってあげただけなんだけどね。
「なんだ、そう言う事か。それなら普通に廊下側から入れば良いだろうに」
「いやいや、敵情視察は隠密裏に……って言うのは鉄則だよ」
「なるほど、それであれば合点が行くな」
千春ちゃん!
合点行っちゃうんだ。
って言うか、それで良いの千春ちゃん!
「さて、生徒会執行部の場所は把握したけど、部屋の中って意外と見えないもんだねぇ」
「まぁな。レースのカーテンとは言え、外光が明るい時間帯では、部屋の中まで見通す事は難しいな。ん? あの窓が開いているな。あそこからであれば、部屋の様子を探る事が出来るやもしれん」
「なるほど。さすがはちーちゃんだね。よし、その作戦で行く事にするよ」
ねぇねぇ。
作戦って何?
それって、本当に必要な事なの?
普通に千春ちゃんが紬ちゃんに部屋の間取りを教えてあげれば済む事なんじゃないの?
「承知した。それでは時間を合わせよう。今からジャスト六十秒後、紬とパル子は右手の藪からあの窓の下へと移動しろ。私は左手の藪の方からポイントへと移動する。もし敵に発見される様な事があれば、私が囮になるから、その時は全力で逃げろ。落ち合う場所はいつも通り、茶道部部室と言う事で」
「わかった。流石はちーちゃん。いつもと変わらぬ綿密な計画だねっ! でも、敵に見つかった時に囮になるなんて……そんな危険な役目はちーちゃんにお願いできないよ!」
「何を言うか紬、これぐらいは部長として当然の責務だ。それに、お前はまだ茶道部副部長になったばかり、しかも今回任務初参加のパル子もいる。お前は先達として、パル子を見守ってやってくれっ!
「……ちーちゃん」
「……紬」
えぇっとぉ……。
なにコレ?




