第14話 ドイツ式も良いんじゃない
「それよりさぁ、あの従業員さんはナニしに入って来たの?」
「あぁ、あれか? あれはロウリュだな。熱源に水を掛けることで乾式サウナの湿度を一気に上げるサービスだ」
「湿度が上がるとどうなるの?」
「湿度が上がれば体感温度も上がるからな。体感温度が上がれば発汗がうながされて、良く汗が出ると言う仕組みさ」
――シュワァァァ!
「おほっ! おぉぉぉぉ!」
「どうだ、一気に部屋の温度が高くなった様に感じるだろ?」
「ほんとだねぇ、見てみて、もうこんなに汗が出て来たよ!」
「あははは。まぁ、実際のところ発汗が促されるのはもう少し先の話でな。ロウリュの直後は部屋の中に拡散した水蒸気が比較的低温である人間の体に触れて結露しているに過ぎんのだ。だから、これは汗と言うよりは、さっき熱源に掛けた水でしかないな」
「なぁんだぁ、そっかぁ」
「いや、でも熱せられた蒸気が直接体に触れる訳だからな、汗はこれからどんどん出て来るぞ。それにほら、あれを見てみろ」
「え? あの従業員さん今度はナニするの? なんか、デッカイ団扇持って来たけど」
「あぁ、あれはアウフグースと言ってな。ロウリュで立ち上った蒸気を扇いで、風を送ってくれるサービスだ。アウフグースと言うのはドイツ語でな。本来フィンランドのサウナには無いサービスなんだ。フィンランドのサウナをベースにドイツで開発された新しいサービスと言う訳だな。まぁ、日本ではこのロウリュとアウフグースのサービスをセットにして、フィンランド式サウナと呼んでいる所もあるみたいだが、実質これはドイツ式サウナと言った方が良いだろうな」
「へぇぇ。そういう事かぁ。ねぇちーちゃん。あれって、どうやったら扇いでもらえるの?」
「あぁ、普通は特にナニも言わなくても扇いでもらえる事が多いんだが、今日は入っている人数も少ないし、希望者だけと言う事なのかもしれんな」
「なるほど、わかった! さっきのロウリュでかなり暑くなったからね。私たちもちょっと扇いでもらおうよ」
「あっ、あぁ。私は構わんが、お前もしかして、ちょっと勘違い……」
「スミマセーン! アウフグースお願い出来ますかぁ!」
「はいよぉ! そちらさん、お二人でよろしいですか!」
「はいっ! お願いしまぁす!」
「あっ、紬、お前っ、本当に大丈夫か!?」
「あははは、この暑さが大丈夫じゃないから扇いでもらうんでしょ!」
「い、いやっ、だから……」
「はぁぁぁい、それじゃあ十回行くよぉ! お嬢さんたちも一緒に数えてねぇ!」
「え? 十回っ! 十回も扇ぐのっ!」
「なに言ってるのちーちゃん。十回じゃ足りないよぉ。おばさーん! 二十回お願いしまーす!」
「はいよぉ! お嬢さん豪勢だねぇ。それじゃあ、二十回、一気に行くよぉ! そぉぉれ、一回目ぇっ!」
――ブホォ!!
「「うぐっ!」」
「二回っ!」 ――ブホォ!!
「「ぐぉほっ!!」」
「三回っ!」 ――ブホォ!!
「ちちち、ちーちゃん!」
「なっ、なんだ紬っ!」
「ししし、死ぬ、これ、マジで死ぬっ!」
「バカ野郎っ! だから私は止めたんだっ!」
「四回っ!」 ――ブホォ!!
「ちーちゃん、ちーちゃん、息がっ、息が出来ないっ!」
「……」
「はうっ! ちーちゃんが、ちーちゃんが燃え尽きてるっ!」
「「……」」
「「……」」
「「……」」
「はいっ、二十回目ぇ、お疲れ様でしたぁ……! お嬢さん方どうする? おかわりイっとく?」
「むっ……無理っす」
「あっそぉ! またやって欲しくなったら声かけてねぇ!」
「「……」」
「……ちーちゃん」
「……」
「ちーちゃん……生きてる?」
「……んあっ、あぁ……何とか……。スマン、心配させたな。あまりの熱波に、途中から脳の思考回路が熱暴走を起こして緊急停止していた様だ」
「うぅぅん、良いの。って言うかさぁ……」
「あぁ、って言うか?」
「今のでさぁ……」
「今……ので?」
「……ほらっ」
「あっ……あぁぁ……」
乳首がちょっと勃ってた。




