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お腹も満たされたし、準備でも……てかダイニングテーブルは4人掛けで、カウンターに2人……全部で7人だから席が足りないね~。
これからもこのメンバーで集まりそうだし、和室にテーブルを置こうかな。
木目でダイニングテーブルと雰囲気が似てるものを選んだ。おしゃれで口コミがいい座椅子を2個買って、私とライアンはこっちに座ろうかな。
「こんばんわ~っす……」
門を開けていたので玄関からサミーの声が聞こえた。
「は~い、遅かった……ね……ってどうしたの!?」
そこには、疲れた表情のサミーとミーナさんと、泣きながらサミーに支えられてかろうじて立っている状態のサマンサんがいた。
「っちょ、とりあえず靴を脱がせて上がって。ソファーに運んであげて」
サマンサさんはソファーでミーナさんに抱き締められて泣いていた。とりあえず温かい飲み物がいいかなと聞いてみると、お酒が飲みたと言うことだったので、生ビールを注文した。
ぐびぐびぐびぐび
「ぷは~っ!何このお酒!しゅわしゅわしてて後味苦くて……うう、美味しいわ」
「えっと……それで何があったんですか?」
聞くべきかそっとしておくべきか悩んだけど、思いきって聞いてみた。
「サマンサさんが引っ越す前に元使用人さんに会いたいと言うから会いに行ったっす。
その時は元使用人さんと一緒にうるうるしたりしてたけど、楽しそうに過ごしてたっす。
ただ、家が見えなくなると急にこの状態で……私のせいでってずっと言ってたっす……」
あ~なるほど。元使用人さんに会うと半狂乱になるって聞いてたけど……でも、会ってる間は大丈夫だったってことは、少しは落ち着いたのかな?
「よし、今日はとことん飲みましょう!サマンサさんは運が悪かっただけです!元使用人さんだって、サマンサさんのせいだとは思ってないですよ!
こんなんじゃ、いつまでたっても安心して天国に行くことが出来ませんよ!今日は故人を偲んで思いっきり飲みましょう!」
「そうね……ビルのためにも、笑って飲みましょう!」
サマンサさんの笑顔は、痛々しかったがとても美しかった。私もこんな風に年を重ねたいものだ……
いつものように色々食事を出し、美味しいお酒を飲んで楽しんでいたら、ようやくアンドレ達が帰ってきた。
「おかえり~……は、ハンス!足が!」
「凄いだろう?医師と技術士達が頑張ったんだ!まあ、俺のアイデアとデザインあってこそだがな!ふははははははは」
なんとハンスが自分の足で歩いていた!靴下を履いていると、義足だと全く分からない。
てか、こんなにすぐ歩けるものなんだろうか?
「義足自体は少し前には出来ていたんです。この国最高峰の医師の方達が萎えた筋力を強化してくださったり、歪みかけていた骨を正しい位置に戻してくださったりと、色々な魔法を駆使してくれたお陰で、義足でも違和感無く歩くことが出来るようになりました。
う、うう……杖を手放せる日が来るなんて……夢のようです……
結合部分も技術士の方達が色々研究してくださり、痛くないし魔石のおかげで緩まないんです。凄い技術ですよ!
左手の握力も少し戻ったんですよ!と言っても、まだ女性の半分あるかどうかですが……
オーナーが義足の存在を教えてくださったおかげです……本当に、ありがとうございました!」
「お~!魔法凄いね!普通だったら慣れるのにも凄く時間がかかるのに!結合部分も痛かったり大変って聞いたことあるけど、全然なの?」
「はい、魔獣の「おい、それ以上は企業秘密だ!」」
「あ、すみません……えっと、痛くないです。足って言うより何かに乗ってる感じかな?杖に乗ってるような……何と言うか……付け心地は靴と変わらない感じです」
へ~、どんな技術かどうせ聞いても分からないけど、まあ秘密と言うなら深く追求はしないでおこう。ここにはミーナさんやサマンサさんもいるしね。
新技術の開発の実験台として、費用は取られなかったそうだ。よかったね~。この後、魔獣退治で負傷した騎士等数人もさらなる技術向上のために協力するらしい。
握力の方も、最高峰の医師達が日本の本を読んで色々してくれたらしい。神経とかそこら辺なのかな?全く分からないけど……
とりあえず義足も落ち着いたから、治療は終了らしい。しばらくの間は月に1度義足の具合を見せに通うが、手の治療は義足のついでだっただけなので、今後はリハビリあるのみだそうだ。
まあね、最高峰の医師って言うくらいだから忙しいだろうしね。ほいほい魔法を使って治せるものでも無いよねきっと。魔力もそうとう使いそうだもんね~。
足はラッキーだっただけだと心して、左手はちゃんとリハビリ頑張ってね!
「いや~めでたいね!飲もう飲もう!改めまして、サマンサさん、ミーナさん、これからよろしく~!かんぱ~い!」
サミーはちゃっかりミーナさんの横をキープしている。サマンサさんの隣には、何故かアンドレがいて慰めている。まあね、ソファーはあんたの定位置だもんね。
ハンスは無駄に歩き回っている。座る気は無いようだ。杖無しで自由に歩き回れて嬉しいんだろうね。ふふふ
「オーナー、俺にも自転車をくれませんか?乗ってみたいです!」
「あ~……握力無いとブレーキがかけれなくて危ないんだよね。ちょっと待ってね……あ、片手で2本引きブレーキってのがあった!
これだったら右だけで前輪後輪どっちもブレーキかかるみたい。ただ、部品を付け替えなきゃみたいなんだよね~。しかも、片手だとバランス取るの大変だと思うけど大丈夫?
とりあえず、今日は酔ってるし明日だね。アンドレ様か誰かがつけかえれるといいけどね~」
「アンドレ様ならきっと大丈夫です!ありがとうございます!」




