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「え?大丈夫ですよ?確かにちょっと腰が痛いので立つのは辛いですけど、うら若き乙女でもありませんので……無理矢理どうこうされるほど世間知らずなお嬢さんではありませんよ?ふふふ」


「ま、まぁそうですが……いや、そうですな。成人した立派な大人でしたな。我々の心配する所ではありませんでした、お騒がせして申し訳無い。

 それで、半日ほど過ごされてみてどうでしたか?出来る限り不自由はお掛けしたくないのですが、何か気になることはありましたか?」


「とりあえずトイレとお風呂だけでも魔力がなくても使えるようにしたいですね……通販でトイレや配管などは買えるようですが、ライアンの家のリフォームは可能でしょうか?

 と言うか……物があっても設置方法などが分からないかな?」


 そう、トイレだけでも本当にどうにかしたいと通販サイトを見てみたら、住宅設備等各種揃っていたのだ。


「ふむ……設置方法の詳しい説明が書いてあるものなどはありませんか?ちょっと変わり者ですがうちの息子が魔道具研究者でして、古い魔道具や他国の珍しい魔道具なんかも詳しい文献があれば何でも再現できるのです」


「ええ、確かにあの子なら出来ると思うわ。後で呼んでみましょう。

 それはそうと、あの家に住むのは……無理なんじゃないかしら?最後に見たのは2年前でしたが、朽ち果てていたわよ?」


「あ、あの、昨日ライアン様をお連れするのにご自宅へ行ったのですが……壁が崩れている箇所もございました。

 ライアン様が使われている部屋は何とか保っておりましたが、屋根が崩れ2階は雨水にさらされて悲惨な状況であると思われます」


 アリアさんの言葉を肯定するように、後ろに控えていた騎士がライアンの家の惨状を教えてくれた。

 

「それは……ちょっと……見てみたいのですが、今日行けますか?ここからどのくらいの距離ですか?」


 大々的なリフォームが必要そうだから、設置出来る人がいるならお風呂とトイレ、蛇口は全部通販で買ったものを使いたいな。

 そうすればいちいちライアンに頼まなくても自分で何でも出来るしね!そこが一番大事!


「王都から馬車で40分位の距離です。人里から離れたいと言いましてな……まわりは草原と森しかありません。

 王都まで出ないと人と交流が無いような土地だし、麻衣殿が一緒に住むなら王都に出てきた方がいいんじゃないか?」


「麻衣はどうしたい?」


 え?う~ん、どうしたいかな?そもそも王都がどんな所かよく分からないし、田舎でのんびりスローライフも悪くないよね?

 

「とりあえず王都がどんな所かよく分からないですし、馬車で40分くらいならそう遠くもないので今の場所でいいと思います」


「そうですかそうですか、では午後から息子も連れて行くとしましょう。それまでにトイレの設置資料を用意して貰えるとありがたいのですが……」


「分かりました。色々用意してみますね」


 準備があるとかでメイドさんを残してみんな退出した。

 さっそくトイレの設置方法やら水道管の仕組みやらの資料を探そうかな?


「ライアン様、麻衣様朝食はどうされますか?」


 部屋に残っていたメイドさんに声をかけられた。


「う~ん……すみません、私は二日酔いであまり食欲が……ライアンは?遠慮せずに食べていいよ~」


「食べる」


「では、ライアン様の分だけご用意いたしますね。麻衣様レモン水などお持ちしましょうか?」


「ありがとうございます」


 準備のためにメイドさんが退出すると、やっと気を抜いてぐったり出来た。

 他人がいると落ち着かないよね……早いとこ城を出たいな。リフォームってどのくらいの日数かかるんだろう?堪えられるかな?

 うーん、この辺の本はどうかな?それとも建築全般のやつがいいかな?専門的なものは読んでもよく分かんないし、とりあえずいくつか買ってみようかな。


「あっ……ライアン、これって読める?」


 そう、普通に日本語で書いてあったのだ。


「ん?普通に読めるぞ?」


「あれ~?この国の文字?」


「ああ、麻衣には違って見えるのか?」


 おうふ、なんと普通に書き換えられているらしい!ん?通販の画面をよくよく見ると、翻訳機能付きってめっちゃ小さく書いてあった!なんて優秀なんだ!

 とりあえず建築系の本を10冊ほど買ってみた。これだけあれば大丈夫だろう。トイレやお風呂の一般的な設置方法も載っている。

 朝食を持ってきてくれたメイドさんに渡して、魔道具研究家さんのところに届けて貰った。

 電気も使えるようにならないかな?ソーラーパネルを屋根に設置すればいいのかな?その辺の資料も載ってたみたいだし、あとで相談してみよう。


「そう言えばこっちの気候はどんな感じなの?昨日も今日も穏やかな晴れみたいだけど……気温もちょうどいいよね」


「今は夏で外は暑いんだが、室内は空調魔石で常に適温に保たれているんだ。

 夏の次は秋になり、短い冬のあと長い春になる。

 この国は花の国と呼ばれる位春と秋の時期が長く比較的晴れの日も多い、過ごしやすい国だ。だからか花の栽培も盛んで、そこらじゅう花で溢れているぞ。

 麻衣はどんな花が好きなんだ?」


 へ~、過ごしやすそうな国でよかった。晴れの日が多いなら太陽光発電でなんとか行けそうでよかった。

 空調魔石があるならエアコンも要らなそう……くふふ


「花か~……う~ん……あまり香りの強いものは苦手かな。そんなに花に興味があるわけでもないからな~……桜とか?」


 それはどんな花だ?だの、好きな食べ物は何だ?だの何だかんだと話して、早めのランチを食べたらあっという間に出発の時間になった。

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