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まず目についたのは3人の少女だった。あれ?どなた?聞けば孤児院出身の保護施設組だった。
別々の孤児院出身らしいが、保護施設で仲良くなったのだとか。てか3人は呼んでないよね?昨日の会話で採用したと思ってたけど……
「はい、3人一緒に採用と聞いて驚きました!お礼が言いたくて来たら面接受ける人たちがいて、もしかして私達も面接って話だったのかなと不安になって……」
「ああ、そうだったのね。いや、子供のお世話をする施設に採用したんだけど、大丈夫かな?住むところも今から作るからちょっと待っててね。
って言っても、この様子じゃ思ったより早く出来そうでよかった~。すぐ働ける感じ?
一応お店を週2日休みにするから、託児所も週2日の休みになるけど大丈夫?お給料はギルドで聞いて平均的な金額を設定するから、ちょっと待っててね」
ありがたいですだの何だの言いながら、嬉しそうに帰っていった。うん、元気でよろしい!
さて、次は子持ちの方を先にしようかな。2人仲良さそうだったから話を聞くと、カレンちゃんの言ってた元メイドさん達だった。
聞くとやはりヘアメイク等は専門ではなかったらしく、あまり自信がないとのこと。掃除でもなんでもいいと言うので、とりあえずどこに配属するかは後で考えるけど、美人で雰囲気も明るくいい人達だったから採用した。
次はえっと~……
「ちょっと、いつまで待たせる気よ!」
この場には似つかわしくない、赤いドレスワンピースを着た女性が見るからにイライラマックスで怒鳴ってきた。
え、やだ怖い……美人なだけにめっちゃ怖いんですけど……何も言ってないのに勝手に面接席に座ったし……
「私は男爵令嬢よ!ここにいる平民達と違って貴族学院を出てるの。レジ係を募集してると聞いたわ!さっきの人に言ってたようにどの仕事でもいい訳じゃないのよ!
お金を扱うんだから、給料ももちろん高くして貰うわ!もちろん貴族なんだからその分高くしなさいよ!」
「そうですか……残念ながら見ての通り店を1から建てているので建設費がバカにならなくて……お給料も平均的な金額が限界なんです。
お嬢様は美人ですし、こんなところで安月給で働くような方では無いように見えます。
平民の方と同じお給料の労働条件でよければお雇い出来るのですが……」
「ふんっ!無理に決まってるでしょう?来て損したわ!」
ぷりぷりしながら帰ってくれた。ああ怖かった。あんな人と一緒に働くのやだよ……向こうから断ってくれてよかった~。
「麻衣、大丈夫か!?」
誰かが呼んでくれたようで、ライアンが駆けつけてきた。いい男だわ……癒される~。
「うん、ちょっとビックリしたけど条件を言ったら帰ってったから大丈夫じゃない?」
その後、心配だから一緒にいると言うライアンを建設現場へ追い返して、面接を再開した。
だってライアンいい男だけど、ゴツいからいるだけで威圧感半端無いんだよね~……みんな怖がって面接にならないし……
さあ気を取り直して、レディーファーストで行こうかな?おばあちゃん4人はガッツリじゃなくてパートタイムくらいの応募だった。業種も表より裏方がいいと言うので、お掃除とか賄いをお願いしようかな。
若い女の子4人は義務教育の2年しか受けていないから計算は自信がないとの事だった。写真屋さんとホールスタッフにしようかな~。
別の若い2人の女の子は上の学校に行ったので、レジ係が出来るそうだ。パン屋さんとカフェかな~……
少年はギルドのおじさんが言ってた孤児院出身の子らしい。
「自分は上の学校に行ってないんで計算も苦手ですし、魔力がほとんど無いんですよ……だから1人だけ就職先が決まらなくて日雇いで色々してます。
手先は器用な方だと思います!掃除でも何でもしますので、よろしくお願いします!」
うん、元気でいいね。図書館もいいけど、元気だからパン屋さんに向いてそうだな~……計算って別に電卓があれば出来るし、ちょっと教えれば大丈夫じゃない?
とりあえず電卓とドリルでも与えてみようかな……ちょっとそっちでやってみててよ。え?4人の女の子達もやってみたいの?いいよ~
最後におじちゃん?……寝てる?あ、少年が起こしてくれた。どうやらギルドのおじさんが言ってた元雑貨屋さんのようだ。
ニコニコしてるわけではないが、いい仕事してくれそうな感じのおじちゃんだった。
失敗しない外科医に顔怖いよっていつも言われてるようなおじちゃんが、微笑ましくドリルをする若者達を見ていた。
話を聞くと、木の細工を色々していたようだ。それだけじゃなくて他所からも色々仕入れて商売をしていたらしい。
「若者が頑張る姿はいいですね……私はご覧の通りもういい年ですからね……今から新しいことをするのもどうかと思っているんですよ……
恥ずかしながら5年前に女性に騙されましてね……恋だの愛だの遠い世界で生きてきたもんで、コロッとね……
実家が借金で大変だって聞いたからつい老後資金にと貯めていた分を渡してしまったんですよ……でもね、3年待っても手紙の1つも来ませんでした。
それでも信じて聞いていた実家に会いに行ったんですよ……全然別人が住んでました。
近所の人に聞いてもそんな人知らないって言われてね……ふふ、そこで始めて騙されたんだと気付きました。
それからはね、もう全てがどうでもよくなって店も騙されるように取られて、今日に至りますわ……」
「そうなんですね……まぁ、長く生きれば色々ありますよね。私もある日突然全然違う世界に飛ばされてビックリですよ。
しかも元の世界には私の本体がいるから子供のことは心配ないとか言われて……なんか本物のコピーらしいですよ私。
正直自分が何なのかよく分かりませんけど、まぁ毎日やりたいことやって楽しく生きてますわ~。
ハンス~、ちょっとこっちに来てカメラとか出して」
お嬢さんも大変だったんだね~何て言われながら、ハンスに出して貰ったカメラを三脚から外す。レンズカバーも外して電源を入れ、おじちゃんに渡してみた。




