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「ハンス様を雇われるなら、私も雇ってください!洗濯でも掃除でもなんでもしますので!」
急にメイドさんが大声で詰め寄ってきて驚いた!えっと……彼女は誰ですか?お城のメイドさんと思ったけど、違うのかな?
「奥方様、我が家のメイドがすみません!ダリア、奥方様に失礼だろう!」
慌てた様子でゼニー子爵が間に入った。どうやら子爵家のメイドさんだったようだ。
「申し訳ありません。ハンス様が心配で心配で……お側にいたいのです……どうか、どうかお願いします」
「ダリア、もう心配しなくて大丈夫だって言っただろう?1人で生活出来るから……心配ならたまに様子を見に来ていいからさ」
これはあれだね……ラブなんだねきっと。くふふふふ
若い子の恋愛はいいね~、青春だね~。メイドとお屋敷のお坊っちゃまですか。それって許される恋?きゃ~
「えっと、こちらとしては仕事は色々ありますけど、子爵家側はどうなんでしょうか?急に辞められても困るのではありませんか?」
「うちは大丈夫です。他にもメイドはいますし、弟が怪我をしてからダリアは弟の世話をメインでして貰っていました。
弟が家を出ると言うことですので、ダリアも一緒に出ても問題は無いかと……」
「なるほど……ところでハンスさんは何処に住む予定ですか?」
「王都に借りる予定です。保護施設にと思っていましたが、就職先が決まれば保護施設は入れないんですよ。なので、適当に王都で探してみます」
そうなんだ……ふむ、この先に社宅でも建てようかな……アパートみたいな感じで。今後も必要になりそうだしね。家族用も1個作ってみようかな。
「アンドレ様、この先に社員用のアパートを建てたいんですけど、土地って国の管轄ですか?売って欲しいです。
あと、ダリアさんはメイドさんと言うことは、髪を結ったりお化粧したりは得意ですか?
ハンスさんは要望のあった貴族の屋敷に行って貰う感じになりますが、それとは別にお店に来た人の写真を撮る商売もしようと思ってるんです。
その時、色々な衣装を用意して……例えばドレスとかですね、それで写真を撮れるようにしたいんです。
その時にヘアメイクが出来る人がいたらなと思ってたんですけど、出来そうですか?」
「任せてください!ヘアアレンジは得意です!」
「髪も切れたりします?」
「え?大丈夫ですけど……」
「ちょうどよかった!私の髪切って貰えませんか?肩くらいでお願いします。切り終わったらセットして貰えると実力も分かっていいかな~なんて……」
ふっふっふ、テストと見せかけてタダで髪を……げふんげふん。あれ?ハサミも用意して美容室のポンチョも用意したんだけど……なんか固まってる?
「こ、こんなきれいな髪を切るなんて、勿体無いです!それに肩では短すぎではありませんか?」
「え?肩って短いんですか?邪魔なんですよね……普通の平民はどのくらいですか?」
「え?平民って……奥方様は貴族ですよね?」
「え?ライアン違うよね?」
「いや、一応勇者伯は貴族になるが……まぁ社交はしないから関係無い。けど勿体無い……せめてこのくらいで……」
そう言ってライアンは肩甲骨の真ん中らへんで髪を指ではさんだ。まぁこのくらいならいいか……
てか貴族だったんだ!そっか、貴族年金だったね!魔王討伐に対する年金だと思ってた……ん?社交をしないなら同じようなものかな?
「じゃぁそのくらいでお願いします」
ダリアは本当にいいんですか?と何度も確認しながら、恐る恐る髪にハサミを入れた。
せめて売りませんか?と言って真ん中で束ねた状態でじょきじょき切っていく。切り取られた束は、40cm位有りそうだった。てか髪って売れるの?
その後は綺麗に切り揃えて、丁寧に櫛でとかして編み込みにして結い上げて、仕上げにリボンをつけた。
おお、頭が軽い!そして可愛い!自分じゃ絶対出来ない髪型だ!本物のメイドさんってすごいすごい!
「採用!」
「ありがとうございます!」
とりあえずダリアさんは社宅が出来たら来て貰うことにした。ハンスはすでに待っている貴族のお客さんがたくさんいるので、荷物を持ったら離れに来て貰い、しばらくはそちらで生活しながら仕事をして貰うことになった。
まぁ、数日はとにかく練習をして貰わなくてはいけないけどね。イケメンだし、仕事もデスクワークなら行けそうなのに結婚ってダメになるんだ?酷い婚約者だ……
「あ~、あの男爵領はちょっと場所が悪くてな……魔物が出た時、王都からも辺境からも騎士団が来るのに時間がかかるんだ。
だから男爵領の人間でどうにかするしか無いんだが、そう回数が多いわけでもないから専属の騎士団を作るほどでもないんだよな。しかも、特産品があるわけでも無いし運ぶのも命がけなもんで、そちらに回すくらいなら他に予算を使いたい。
だから魔物が出たら領主が先頭に立って領民達と共に戦うんだけど……ハンスの足ではもう戦えないからな~……男爵令嬢はハンスに惚れてたようだったけど、領民の事を思うと苦渋の決断だったんだろう」
そうなんだ……貴族の結婚って大変なんだな~……でもあの顔であの性格なら片足無いくらい問題無さそうな気がする。
それに左手は不自由って言っても、全然気にならなかったんだよね~……まぁ、三脚使えばカメラも右だけで大丈夫だし、パソコンも片手で問題無いから気付かなかっただけかも。
何はともあれ、2人も優秀な人材ゲットですよ!にひひひひ
午後はカレンちゃんがオッケーだったから会いに行く。試しにどのくらいかかるのか歩いてみたかったので、アイテムボックスにトライクを入れて王都まで歩く。
なんと昨日の今日で道路工事をしている人たちがいた!たぶんこれも魔法を使ってるから早いみたいで、1/4が完成していた!
暑いのにお疲れ様です!気付かなくてごめんね!冷たいものでも飲んでください!とドリンクを渡した。道路工事頑張ってください!




