ペンギン三兄弟 〜 13話 あんこ戦争 の巻
ペンギン三兄弟、チャン、ドン、ゴン。
今日も仲良く暮らしています。
「うーん」
ゴンは、なんだか寝苦しさを感じて目を覚ましました。
すると目の前に、大きなチャンの顔が迫っていました。
ゴン「うわあ、なんだよ、ビックリしたあ」
チャンは黒いサングラスをしていて、
表情は見えないのですが、
どうやら怒っているようです。
チャン「おまえ、これ食ったろ」
チャンの手には、缶切りでギザギザに蓋の開いた缶が握られていました。
缶には、「ゆであずき」という文字が逆さに書かれています。
ゴン「あー、うん食ったよ。夜腹減っちゃって」
チャン「おれが大事に取ってたやつだぞ。ちゃんと名前も書いてたんだぞ」
ゴン「え、名前?気づかなかったなあ」
チャン「そうだろうなあ、おれは上蓋に名前を書いといたんだけど、おまえ裏蓋を缶切りで開けてるからなあ」
ゴン「それじゃ気づかないよ」
チャン「普通気付くだろ!缶を逆さに開けるやつなんておまえぐらいだ」
ゴン「暗かったからさあ」
チャン「おまえ中身が何かわかってて食ったのか?」
ゴン「食べたら、あんこだったよ」
チャンのなで肩は、怒りに震えていました。
ゴン「まあまあ、落ち着いて。あとで買ってくるからさ」
チャン「おれは、今!食べたかったんだ!トーストにつけて食べるとめっちゃうまいんだぞ」
ゴン「ごめん、ごめん。もう食べちゃったしさあ、そんなに怒ると血圧が上がるよ」
ゴンは、チャンの肩をぽんぽん、となだめるようにたたきました。
チャン「やめろー、おまえのせいだろーが!」
そこへ、ドンが起きてきました。
ドン「朝から騒がしいなあ、目が覚めちゃったじゃん」
それからドンは、フンフン、と鼻歌まじりに
朝食を作り始めました。
野菜サラダ、目玉焼き、焼きウィンナーにバタートーストが、
テーブルに並びました。
ドン「いっただっきまーす」
チャン「ちょっと待ったあ!」
ドン「え、なに?」
チャン「なんで自分だけ?」
ゴン「おれたちのないの?」
ドン「だって、ケンカの真っ最中でしょ」
チャン「いや、そこは止めてくれよ」
ゴン「みんなで食べた方がおいしいし」
ドン「ぼくは別にいいよ、ケンカ続けててくれて」
ドンは、パクパクとおいしそうに朝食を食べ始めました。
チャンとゴンのおなかが、同時にぐう〜っと鳴りました。
ゴン「おれ、あんこ買ってくる。あんこトースト食べようぜ」
チャン「おれも行く。ゴンはぜったい変なの買ってくるから、任せてられないよ」
チャンとゴンは、2羽で買い物へ出かけました。
いつの間にか、ケンカしてたことも忘れてしまったようでした。
ドン「バターもおいしいのに」
ドンは、ニコニコして食べ続けていました。
おわり