表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この会社のハンバーガーは、ヒ・ミ・ツとされて来たとあるものを入れているのでリピーターの絶えないすばらしい商品となっています。

作者: 黒豆100%パン

「では、次のニュースです。とある会社の社員3人が失踪した事件が発生しました..」



いつも緑の服を着ているニュースキャスターは単調な様子で失踪事件について話し始めた。



「失踪か。俺のところも気をつけないとな」



男はそう呟きテレビを消した。男はとある会社に勤めている。それはファストフードで主にハンバーガーを販売している。「秘密がいっぱい!!××のハンバーガー」という売り文句で販売されている。中毒性がすごく一回買うとみんな何度買いたくなるほどの売り上げとなっている。



「さて、早く行かないとな」



支度をしドアをあける。マンションの4階から階段を降り道路を進んでいく。子供が2、3人ランドセルを背負ってこちらに歩いてくる。

最寄りの駅から電車に乗り満員で他の人に押されたりしながらもなんとか駅を降り数分歩いていくと見えて来たのが男の会社だ。


「ふー」



一息つき自分が働いているビルを見上げる。

中にはいると3人ほどが入り口で何かを話している。こちらに気づいたのかその中の一人が、「おっ」という声を出した。



「あれ、今日早いっすね先輩」



「そうか?」



そのうちの話していた一人が話しかけてくる。こいつは俺の後輩だ。

仕事はできるがちょっと抜けているところがある。



「今、『あの部屋』について話してたんですけど先輩も興味ありません?」



「あの部屋?」



その言葉に男は首をかしげる。それを見て後輩は「知らないっすか?」と言う。



「知らんな」



「そうっすか」



「このビル。地下に1つだけ部屋あるだろ?」



別のやつがその『あの部屋について説明を始める。それはこのビルの地下にある1つだけある扉だった。その冷たい銀でできた扉だ。地下には他に部屋もなく、地下に降りるとその扉しかない。いつもそこは閉まっていて不気味な雰囲気が漂っている。




「あそこでやばいことしてるんじゃないかという噂が流れてきたんですよ」



「なんだそりゃ」



そういえばちょっと聞いたことがあるがきっと誰かがイタズで広めたデタラメだろうとあまり気にしていなかった。



「そこでは確かになにかをやっている音が聞こえるんですけど、中にはいつも入れないんですよ。ね?気になるでしょ?その噂聞いたら、もしかしたらと思うでしょ??」



「そんなもの信じるのか?」



「ここのキャッチコピー知ってます?」



「ああ、『秘密がいっぱい!!××のハンバーガー!』とかいうやるだろ?」




「噂だと、その地下で僕ら従業員の知らないことをやっているとか。それこそ『ヒミツがいっぱい』ってやつです。面白そうじゃないっすか」



「そうか?」



興味がないわけではないがそんな誰がながしたのかもわからないため半信半疑といったところだ。



「俺、今日見に行くつもりなんですが、いきません?」



「俺はいいや」



そう断りペッドボトルのお茶を飲み干した。

あそこは気にはなるがさすがにそんな隠すようなことをしているとは思えない。

男はそう思いながら楽しそうに話す後輩を見た。







「はあ?出勤してこない?」



後輩が出勤して来ない話を聞いて、顔をしかめる。考えたくないがまさかとは思う。噂が本当で、何かを知ってしまったから行方不明に....



「いやまさかな...」



そんなわけない。ただ誰かが面白半分で吹聴しただけのイタズラだ。イタズラ?そんなものはただの憶測じゃないか。本当はあそこでとんでもないものを...。

後輩が消えたことで少しでも信憑性が湧いてしまう。いや、だがまさかそんなことは...



「ちょっと、トイレに」




そういい男は走り出す。もちろん行き先はトイレではなく地下の扉。きっとドッキリだろうという事を信じて階段を降りる。目の前には鉄でできた扉。この先だ..



「行くか...」



ドアノブを捻ってみる。空いてないで欲しいと願ったが、空いてしまった。中は真っ暗で何も見えない。懐中電灯を照らすと中の構造が見えて来た。



「あれ?なんもねえじゃん」



やっぱりない事を誰かが吹聴してたのか。安堵をした時ブーっと携帯が鳴った。その声を聞いてさらに安心は増幅する。



「先輩すみません!ちょっと用があって今日行けないんですよ」



後輩だった。なんだ、来てないだけじゃないか杞憂というやつだ。昨日あんな話を聞いたばっかりに変なことを考えてしまった自分がバカらしく思えてくる。



「そうかよかった今日はゆっくり休めよ」



そういい電話を切った。はあ、あんなものを信じてしまう自分が情け無いように思えて来た。まあ何も起こってないし良いか。さて、仕事に戻るとしよう。


























「なんで地下の鍵を開けておくんだ」



「すみません!」



2人の男女が地下の誰もがあの部屋と呼んでいる部屋でそんな話をしていた。一人は男の後輩だ。先程男に電話したのか手には携帯電話が握ってある。



「ですがどうしますか?あの男」



「ちょうどいいじゃん。材料にな」



「ええ」



男は部屋から出て行くと後輩は小さくこうつぶやいた。



先輩が悪いんですよ?僕の話にホイホイついて来ちゃって...まさか、人肉と中毒性のある違法の薬を使っているなんて思わないでしょうし...」




次の日、いつも緑の服を着ているニュースキャスターは相変わらず単調に踪事件の被害者が、3人から4人に増えたというニュースを報じた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ