未成年にそんな知識があってたまるか。
北海道からやっほー!
「猫辰~今日の授業上手かったじゃないか~」
その晩俺は酒の入った慧音さんに絡まれることとなった。
あれ~?
授業終わったらいろいろやる予定だったんだけど…
これは作者だからこそ気づいたことだがこの人里の近くには別の人里があり、そこにはある喫茶店がある。
「鳳凰の巣」。
何を隠そう天下のハル姐が作った喫茶店だ。
そこまで離れてはいないので、歩いていきバイトでもしようかと考えていたら慧音さんが立ちはだかった。
「猫辰、今日の夕餉を手伝ってくれないか?」
疑問形だけど言ってることは完全に命令形ですよね?
そんな俺に拒否権などあるはずもなく。
夕食がなんか豪華だな~なんて思っていたら慧音さんが酒を持ち出して現在に至る。
酔っ払いってめんどくさいよね。
分かる~。
という訳で慧音さんの言葉を右から左へ聞き流すことにした。
「ひょっとしたら私よりも上手いんじゃないか~。え?」
そんなことを言いながら俺の後ろに回り指で頬をつんつんと突く。
慧音さん、もしかして酒弱いのか。
こういう時酒を飲める奴は得だ。
自分も飲んでしまえばまともに酔っ払いの相手をしなくて済むんだから。
「そんなことはありませんよ。慧音さんの方が上手ですよ。年季は違うんですから。」
「ははは、そうかそうか。それ、喧嘩売ってるのか?」
やっべ。
歳か?
歳なのか!?
「いやいや、慧音さんは見た目はもう若々しいですよ。そんな若く見えるのに溢れる母性はそれはもう。」
「ははは! 若いのか! 良かった良かった!」
酔っ払いのご機嫌取りってこんなに大変だったっけ?
いや違う。
うちの家族が呑んべえなだけだ。
うちの大人は大体が大酒のみだから子供の俺が絡まれることがあまりなかっただけだ。
それにしても慧音さんの酒の弱さに俺は少なからず驚かされた。
コップ5杯でベロベロだ。
酒の強さにもよるのかもしれないが俺にそんな知識はない。
未成年にそんな知識があってたまるか。
「少し自信を失ったぞ…」
慧音さんがポツリとつぶやく。
その言葉で俺は慧音さんを見た。
どことなく悲しげに俯いている慧音さんの姿が目に映った。
「大丈夫ですよ。こっちから何言っても意味はないかもしれませんけど、みんなの信用は慧音先生の方が上ですから。」
慧音さんはしばらく考え込んでいたが、何を思ったのか突然俺の背中に抱き着いてきた。
「そうだな! 私の方が信用は上だ! まだまだお前には負けないぞ! ははは!」
どことなく空元気な様子だが、無事なようで何よりだ。
俺としても慧音さんには元気でいてもらった方がうれしいからな。
そんなこんなで、慧音さんの酒に付き合ってやることにした。
すでにベロベロだがまだ飲むようだ。
酔っても飲める人か…
ワーハクタクだがそこは気にしない。
「猫辰、お前は呑まないのか?」
教師ともあろう者が未成年に酒を勧めるんじゃねえよ…
次の日の朝、慧音さんが顔を真っ赤にして俺に誤ってきたのは言うまでもないのかな(?)。
ホテルにつくまでのバスの中で書きました。