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東方夢創伝  作者: 寝起きのねこ
やっぱり騒がしい平和な地底
39/56

まあぶっちゃけた話をすれば俺は無宗教だ。

リハビリを兼ねた一話。

というかリハビリ100%です。

動画制作は死ぬほどしんどい…

I was be come back!

俺は包丁を片手で持っていた。

クルクルと回しては柄に手を戻す。

「うん、この状態も悪くないな。」

「悪くはないが早く飯を作ってくれよ。」

朝ごはんを作りながら正邪はそう言った。

「はい、すぐに取りかからせていただきます。」

「うん、素直でよろしい。」

そういうと正邪はニコッと笑った。

「うーむ、最近正邪のその笑顔がすごいズルいように感じる…」

「何言ってんだ。お前の曖昧にしようとする会話の方がずっとズルいぞ?」

「そうなのか?」

「そう言うところだって。」

正邪はため息を吐いて竈に集中し始めた。

これ以上話しててもキリがないか。

俺もそう判断して目の前のフライパンに集中する。

「やべ、ちょっと焦げたかも。」

そんな声は小さく反響して居間に消えた。

盛り付ける段階になると正邪は小鈴を起こすために寝室に向かった。

毎朝元気だなぁと思うが、小鈴はちゃんと起こしてやらないとそれこそ10時くらいに起きてくることがある。

正邪のその姿勢はあながち間違いでもない。

その合間に正邪の作ったご飯と味噌汁、俺の作ったスクランブルエッグをそれぞれ食卓に並べる。

箸を洗っていると眠そうな表情をした小鈴が正邪に連れられてパジャマ姿で現れた。

「…おはようございま~す。」

あくび交じりの挨拶までがいつもの流れだ。

「おう、おはようさん。」

我ながら慣れてきた気がする。

その後顔を洗った小鈴に緑茶を用意して強制的に目を覚まさせると3人で食卓を囲む。

『頂きます。』

手を合わせて挨拶をするとそれぞれ飯に取り掛かる。

「そういえば猫辰さんは仏教なんですか?」

ご飯を頬張りながら小鈴が尋ねる。

「うーん、仏教というかなんというか。それが当たり前な気がしてね。」

我ながら微妙な言い訳をする。

まあぶっちゃけた話をすれば俺は無宗教だ。

あくまで信仰心は、という話になるが。

生活様式はそう簡単に変えられるものでもない。

まあ、俺の家がクリスチャンなら少しは変わってくるのかもしれないが。

仏教は思った以上に日本に浸透してるんだなぁと実感しながらスクランブルエッグを切り分けて頬張る。

「うーん、やっぱり香辛料が欲しいなぁ…」

スクランブルエッグは美味しいには美味しいがどうにも香辛料のあのパンチが物足りない。

ふと視線を感じて顔をあげると正邪と小鈴がそろってドン引きしていた。

「香辛料なんてなんて贅沢な…」

「あー、うん。そうだよな。食べたことあるんだけど中々絶品でさ。忘れられないんだ。」

やっぱり贅沢品なんだなぁ、香辛料。

外の世界から香辛料もちこんで売ったらもしかして割とトンデモナイお金になるのでは…?

まあ気にしてもしょうがない話か。

俺はスクランブルエッグをご飯に乗せると親子丼よろしく一気に頂いた。

「ご馳走様。」

「食べるの早いっての…ちゃんと噛んでるか?」

「一応噛んではいるよ。」

俺は立ち上がると右腕だけで何とか座布団を整えなおした。

さてさてどうするかねぇ…

生憎と片手がないもんだから執筆スピードは随分と落ち込んでる。

それでも執筆を辞めてない時点であれだけどね。

娯楽の少ない幻想郷で俺は完全な活字中毒だ。

それも自分で書いてるんだから余計質が悪いよねぇ…

改めるつもりは毛頭ないけども。

腕の話に戻るけど現在は二の腕くらいまで生えてきました。

腕を切断した日から3日。

そんな中小鈴は妙に俺に構ってきた。

気が付けば何か手伝えないかとかまあいろいろ…

正直言ってそこまで腕の事気にしてたのかぁと。

いやでも物的証拠が目の前にある以上罪悪感ってのは少なからず感じちゃうものか。

お言葉に甘えちゃってなんやかんやでお茶を淹れてもらったりとかしてるけど正邪の視線がすごく痛い。

どうしたものかと考えた結果、小鈴がいろいろ俺の介護をしようとしてくるときは正邪も交えたお茶会を開くのが定番になってる。

お茶会にすれば多少正邪の目も和らいでくれるからね。

実際にそれ以降は小鈴もなんとなく察してくれたのか正邪にお茶会の事を告げてから俺の世話を焼き始めていた。

でも今は丁度朝ごはんを食べ終わった後だしなぁ…

「今日はみんなで温泉にでも行かないか?」

俺はそう提案してみた。

「あ~、私はいいや。小鈴ちゃんと二人で行ってきなよ。」

正邪が少し気まずそうに目を逸らしながら言う。

珍しいな、正邪の歯切れが悪いなんて。

「良いのか?」

「まあ、私は行くところがあるからな。」

「何処に行くんだ?」

「それは秘密だ。」

「うーん、まあ気を付けろよ。」

「あぁ、悪いな。」

正邪は何処かよそよそしい雰囲気で飯を食べ尽くした。

「ごちそうさまでした。」

同じタイミングで小鈴も食べ終わったのでそこで朝食は終わった。

みんなで食器を流しに入れると皿を洗い始める。

3人でやると効率が良い物で、10分程度で食器は水切り棚の上に乗せられていた。

正邪は歯を磨き終えるとさっさと支度し始めた。

「随分忙しそうだな?」

「えっ? あぁ、まあちょっと急用でな。急がないといけないんだ。」

「そっか。無理するなよ?」

「あぁ、いってきます。」

「うん、いってらっしゃい。」

あたあたと正邪は出て行ってしまった。

「随分と焦って出て行ったなぁ…」

閉じられた扉を見て俺はポツリと零した。

「もしかして浮気してるんじゃないですか?」

ひょっこりと顔を覗かせた小鈴が言う。

「縁起でもない事言わないの。それにもし浮気に行くんだったら化粧してから行くでしょ? 正邪が化粧品をバッグに詰めている様子もなかったし大丈夫だよ。」

「ほえー、ボケっとしてそうなのに随分と見てますね。」

「そのくらいはまあね…初めて家に来た時はそれこそ着の身着のままだったからそこから何が増えていったかは大体把握してるってのもある。」

「女性の私的時間(プライベート)を覗くのは感心しませんよ?」

「んな訳あるかい。」

俺は振り返ると小鈴の頭に手を乗せた。

「勇儀さんがため込んでいた仕事もやっと片付いたから久しぶりに正邪とのんびり一日を過ごしたかったんだがなぁ…」

「そう言えば良かったじゃないですか。」

「ごもっとも。でも正邪にも使いたい時間はあるだろうし。今日はしょうがないから2人で温泉行くか。」

「はい! 妖怪の入る温泉なんてワクワクしますね!」

「別に普通の温泉だっての。」

どうにも小鈴は妖怪と人間の生活様式が何もかも違うって思ってるところがありそうだなぁ…

ぶっちゃけた話人間を襲う事と群れない事、それから定住する場所をあまり定めないっていう点を除けば妖怪と人間の違いなんてないに等しい気もする。

そんなどうでもいいことを訥々と考えながら俺は温泉に行く準備を始めた…

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― 新着の感想 ―
[一言] 正邪は何しに行ったのやら? 小鈴ちゃんと温泉……大丈夫なのかな? なんか、一波乱ありそうな?
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