なんか勝手に心読まれた。
待たせたなぁ
どうやら悪目立ちをし過ぎたっぽい。
なんでそう思ったかって?
一言で言おう。
もこたんが来た。
そしていきなりだが前回のあらすじ!
勇儀さんを倒したことで不本意ながらも旧地獄の勇儀さんの管轄がすべて俺に回ることになった。
そして勇儀さんは仕事をしていない。
それをこなしていたら勇儀さんが支配していた妖怪たちが反乱、というか抵抗してきたのでそれを倒していたらほとんど全ての妖怪を撃破してしまったらしく。
それが目立って妹紅さんが殴り込みに来たってわけだ。
おのれ妖怪どもめ…恨むぞ。
そんなわけで、俺は今妹紅さんと対峙している。
「…猫辰、帰らないか? 慧音も、あの里長の娘も、正邪すらも素直に心配している。」
妹紅さんは手を差し伸べる。
「…それは出来ません。里の連中は俺の事を既に化け物としてみているのは必然です。中には神と勘違いする連中もいるでしょう。そんな居心地の悪いところに帰ることは出来ません。」
「どうしてもか?」
「えぇ。」
「なら…お前が帰りたいと泣きじゃくるまで交渉するだけだ!」
そういうと妹紅さんはお札を飛ばしてきた。
高密度、そして高速で飛んで来た弾幕を俺は何とか避ける。
「チッ!」
俺は舌打ちすると猫辰に戻って弾幕を避け始める。
宙に舞い上がると妹紅さんもそれを追って昇ってきた。
なんちゅー粘着質。
しつこい奴は嫌われるよ?
こうなった以上俺は逃げに徹するしかない。
弾幕を撃てず、更には永夜抄EXボスだ。
相手が悪すぎだっつーの!
それに慧音さんの友達を攻撃するのも気が引けるし。
旧地獄街道を俺たちは高速で飛行する。
道を歩いていた妖怪どもは何事かとこちらに顔を向けてくるがそれもこの際は無視して突っ走る!
いや、飛んでるんだけどね。
そんなこんなで俺はかなりの間逃げることになった。
その結果地霊殿にお邪魔することになるとは思わなかったけど。
ちょっと後ろを向いて妹紅さんの位置を確認している間に地霊殿の扉をぶち破ってダイナミックに入場していた。
「何事ですか?」
煙を巻き上げながら立ち上がるとそこには地底の最上下級、古明地 さとりが俺を見下ろしていた。
「あっと…んっと…状況は心を読めば…」
「なるほど、この地霊殿の玄関を破壊しただけでなく更に助けてほしいと。」
さとりは俺が全部言い終える前に遮って話し始めた。
もはやしゃべるのも面倒なので俺は黙ってうなずく。
「旧地獄の酒呑童子を倒してしまうとは…」
なんか勝手に心読まれた。
でも大きな実績にはなるだろう。
「そうですね…分かりました。ほんの少しですが力をお貸ししましょう。お燐!」
さとりが呼びかけると足元にお燐が現れた。
「何でしょうか?」
「どうやら厄介な方に追われている様なのでこの方を守ってあげてください。しばらくは私が足止めします。」
その時、更に大きな音を立てて炎が地霊殿の中に入ってきた。
「…猫辰、どうしても帰る気はないのか?」
「心を読んだところ帰る気はあまりないようですよ。」
俺の代わりにさとりは妹紅さんに言い放つ。
「さとりさん、難易度は高いですが無茶はせず手加減して戦ってください。」
少し心配になった俺は一応さとりにお願いしておいた。
「善処しましょう。…もっとも、彼女が不死身である以上うっかり殺してしまっても文句は言わないでくださいね?」
妹紅さんが不死身であることも見抜いてる。
「ほら行くよ!」
お燐が俺の手を掴んで引っ張り始めた。
「《想起「テリブルスーヴニール」》。」
「《時効「月のいはかさの呪い」》!」
俺の後ろでスペルを唱える声と共に弾幕が展開されたのが分かる。
頼むからあまり、無茶はしないでくれよ。
「これからあんたを地底の最深部に避難させる! くれぐれも溶けないでくれよ!」
そういうとお燐は巨大な猫になって走り出す。
俺はそのあとを猫辰の姿で追いかけた。
しばらく走ったところでお燐がばてたのか足を止める。
「はぁ…はぁ…」
お燐の姿は小さな猫となりその場に倒れこんだ。
「大丈夫か?」
「あたいは置いて行ってくれ…いいかい? この先にはお空っていうあたいとの古い仲がいるんだ…その子にこれを見せればきっと助けてくれる。」
そういってお燐は俺にリボンを差し出した。
「分かった。」
「《リザレクション》!」
俺の真後ろに高速でお札が飛んで来た。
「おぉ!?」
慌てて避けて臨戦態勢をとるとそこには不死鳥を背負った妹紅さんが。
「まったく…あのさとり妖怪は大した奴だ。猫辰、これ以上逃げてもお前は迷惑をかけるだけだ。だから…お願いだ。大人しく帰ってきてほしい。」
「しつこい女は嫌われるよ?」
「お前に訊いてるんじゃない!」
そういうと妹紅さんはお燐に向けて弾幕を撃ち始めた。
「ここはあたいが引き受けた! 早く逃げるんだ!」
「すまん!」
こうして俺はひたすらに走り続けた。




