完全に嫉妬姫ですねありがとうございます。
地底に入り込むとある少女が立っていた。
金髪に緑眼…
えっと、水橋 パルスィだったかな?
手には釘と金槌を持っている。
あ~、うん。
完全に嫉妬姫ですねありがとうございます。
「あなた…地上から来たの?」
「まぁそうだね。君は地上以外から地底に来た人を見たことがあるのかい?」
「そんな上手い切り替えしされると妬ましいわね。」
…うちの嫉妬姫はどうやら理不尽らしい。
ならこっちも理不尽でいいよね?
という訳で理不尽に距離を詰めて拳をパルスィにぶつける。
「なっ!?」
驚いたパルスィは両腕を交差して攻撃を防ぐ。
「…くっ! 妬ましい!」
…何が妬ましいんだ?
思わず苦笑しそうになりながら容赦なく攻撃を打ち込んでいく。
残念ながら俺の専門分野は弾幕戦ではなく肉弾戦だ。
そもそも弾幕を撃てないのでこういった感じになっちゃうんだけどね。
「そのキレのある動き、本当に妬ましいわ。」
「対応しづらいの間違いじゃねえの?」
その時パルスィが反撃をしてきた。
金槌を俺の胴体めがけて打ち込む。
ガアァン!!
そんな派手な音を立てて金槌は俺の胴体に当たる。
音からした通り俺はいたくない。
竜人の体で防御しているから。
そして中学校で習う意味があるのかよく分からない「作用・反作用の効果」でその衝撃はパルスィに跳ね返る。
「ッ!?」
そのまま返ってきた衝撃にパルスィは驚いて金槌を取り落とす。
悪く思わないでくれよ。
意味のないことを心の中で祈りながら俺はパルスィの足を払って転ばせると首に手刀を落として意識を落とす。
「んぎゅッ!」
…何そのかわいい声。
思わず苦笑しながら俺はさらに地底へと潜っていくのだった。
いや、文字量的にこれまだ書かないといけない奴だな。
OK、次にであったのは黒谷 ヤマメ。
知っての通り、メディスンとよく似た能力持ち。
「そこの奴、止まりなさい!」
「ん?」
「貴方、地上人?」
「いや、『元』地上妖怪。」
「はぁ?」
うん、普通はそういう反応をするよな。
誰だってそうする、俺もそうする。
「で、『元』地上妖怪に何か用?」
「地底は地上との干渉を禁止されているのよ。さっさと戻りなさい。」
「だが断る。」
即答した。
うん、だって地上に行ってもロクな目に合わないんだもん。
「はぁ、地上で監視している妖怪の山の天狗は何をしてるのよ?」
「あぁ、ひとまとめにしておいた。」
「いや、本当に何してるの?」
ヤマメは困ったような表情で首を傾げる。
「まぁ、いいわ。ここに来た以上死ぬ覚悟は出来てるわよね?」
「いや、勝つ確信ならあるぞ。」
ヤマメ戦、スタート。
「《罠符「キャプチャーウェブ」》!」
「うおう!」
いきなり蜘蛛の糸が飛んできた。
そっか、ヤマメって蜘蛛の妖怪だっけ。
別に困らないけど。
俺は人間の姿から本来の猫辰に化ける。
「それがあんたの本体ね! 道理で妖気を放ってると思ったわ!」
気づいてるならなんで地上人呼ばわりしたんだよ。
そんなことを心の中で突っ込みながら弾幕と蜘蛛の糸を避ける。
猫辰に化けた分、その身体能力は通常よりも上がる。
身体能力、視力、その他諸々…
自分の感じた限りだと大体1.5~2倍ほど上がっている。
人間の体だった時と同じように攻撃をされてもそれはいとも簡単によけられる。
「遅い遅い!」
少し煽りながら俺はあえて避けに徹する。
ヤマメの方もそれに気づいているのか額に汗を浮かべながら弾幕を俺に撃ち続ける。
「くっ! 遊ぶ暇があるなら捕まりなさいよ!」
そんな理不尽なことを言われましても…
結局10分ほどヤマメの周りをぐるぐるして遊んでいたらヤマメの方が体力切れでバテた。
ぐったりとしたところに俺は蜘蛛に化ける。
とはいっても日本にいる様なサイズじゃない。
化け物蜘蛛レベル。
直径1m程の蜘蛛に化けるとゆっくりとヤマメに近づく。
1m程のところまで近づくと一気に飛びかかってヤマメの体を縛り上げて天井に吊るす。
「『吊られた男』ならぬ『吊られた少女』ってところかな?」
「ちょっと助けなさいよ! なんであんたの糸はこんなに硬いのよ!?」
ヤマメは天井から涙声で解放を訴えている。
ごめんよ、俺は殺しに来た奴を解放してやるほど心は広くないんだ。
てな訳で放置してさよなら。
地底の奥を目指す。
目指すは温泉郷、地霊温泉旅館だ。




