原作で絶対ピチュッたと思った弾幕を難なくクリアした気分だ。
皆さんもなにか出来ないと思ったらいとも簡単に出来たことってありませんか?
ねこさんは「東方桃源宮」の3面のスペカをクリアできたことです。
二次創作? 気にするな!
みんなもPCでやってみてね!
1人を殺してから俺は不気味なくらい何の感慨もなく矢を放って行った。
罪悪感を感じるけどその程度だ。
次々と相手を射る。
弓なんて扱ったことなかったけど思ったより当たるもんだな。
正邪の方は弾幕を撃って兵士たちを処理している。
「《逆符「イビルインザミラー」》!」
兵士といっても「キトラの竜」。
エリート中のエリートで、その実力は1部隊(逆鱗だけど)だけでユイを鎮圧するほど。
でも、多少甘くなって人間も入ってるからもう少し弱体化したのかな?
それでもエリートたちは天邪鬼の逆転に為す術もなく被弾している。
正邪によると「方向感覚を逆にしてやった」らしい。
右に行こうと思ったら左へ、前に行こうと思ったら後ろに、逃げようと思ったら立ち向かう。
某忍者漫画でも似たようなことが出来る奴がいた気がする…
改めて正邪が仲間で良かった。
しかし気になるのは奥に控えている戦車だ。
兵器には疎いが後輩がそういうのが好きで一時期かなり見せられていたから分かるけど、自衛隊が持ってる戦車の1つだと思う。
重戦車、っていう部類に入るのかな?
かなり鈍足なんだと思いたい。
「正邪、そろそろ白兵戦に入る! 罠の準備しとけ!」
「分かった!」
最後の矢を放つと俺は壁に仕掛けた罠の起動装置を構える。
とは言ってもただのロープだけど。
仕掛けは簡単、ロープを斬ったら刃が砦の壁から落ちて兵士を串刺しにする寸法だ。
その後は…戦場に飛び降りて殺すだけ殺す。
正邪には罠を起動して戦車の硬さをひっくり返した時点で撤退してもらう。
ただし正邪に撤退のことは伝えていない。
「猫辰、来たぞ!」
「まだだ! ぎりぎりまで引き付けろ!」
正邪は顔を青くしながら頷く。
いい兵士になりそうだ。
幻想郷に軍隊とか自衛隊とかはないけど。
「今だ!」
俺らは同時に縄を斬る。
砦の下にいた4人が餌食になった。
「正邪! あのでかい奴を任せた!」
「分かってら!」
俺は砦の柵を足掛かりに空に飛び出す。
傍から見たらただの自殺だけど生憎俺は能力持ちだ。
ハヤブサに化けて戦場の空を見下ろした。
正邪も飛んで戦車に向かっていく。
そんな標的を敵が見逃すはずがない。
正邪へ向けて発砲する。
でもそこは天邪鬼。
命中精度をひっくり返して外れる精度がそのまま命中精度に変わった。
元々高性能な銃だ。
その制度は恐ろしく高い。
だからこそ正邪は状況をひっくり返し銃を使い物にならなくした。
とは言え命中精度がガクンと落ちるのは正邪に向けて撃ったときだけらしい。
残念ながら俺に向けて撃たれた銃弾はかなりすれすれをすり抜けていった。
戦車を先に始末しようと思ったが順番が逆になりそうだ。
俺はハヤブサの姿のまま急降下する。
その勢いで兵士の1人の顔を掴む。
足が赤く染まった時点で俺はその兵士から離れる。
所謂ヒット&アウェイ戦法。
正邪のミッション完了を確認するまではまだ死ぬ気はない。
ただ当たり前だけどハヤブサっていうのは狩りをする鳥だから降下は得意でも上昇は苦手だ。
穴だらけじゃねえか。
この作戦は1回だけのインスタント作戦でした。
しょうがない、地上で戦うか。
俺はなんとか上昇すると空中で竜人に化けた。
人型の中で1番硬い体。
手は竜の手だ。
自分すらも簡単に切れそうな鋭い爪も生えている。
我ながらえげつない生き物を幻想入りさせたと思う。
肉弾戦では恐らくこの種族は最強。
チルノみたいな「あたいってばさいきょーね!」なんて物じゃなく本物の最強だ。
弾幕戦でも距離を詰めれば竜人の無双時間。
という訳でそんな体で地上へ真っ逆さまに。
竜の手で近くにいた兵士を抉る。
いや斬れないんかいっ!
なるほど、こりゃ力を入れないと抉れないのか…
道理で竜人は自分を傷つけない訳だ。
そんなことを考えていると他の兵士たちがこちらに近づいてきた。
マズい。
銃剣が火を噴く。
俺は咄嗟に鱗を出現させて防いだ。
でも何発かは鱗を貫通してきた。
「ガァァァァ!」
痛い痛い痛い痛い痛い痛い!
痛覚が脳に直接危険を訴えてくる。
俺は何とか体を動かして次の発砲を凌ぐ。
まだ体が動かせるなら大丈夫。
任務続行だ。
近くにいた兵士の足を抉り取ると吸血鬼に化ける。
太陽の真下だが倒した兵士を盾に血を吸う。
撃たれた傷はあっという間に回復した。
よし。
俺は竜人に戻ると正邪の向かった戦車の方に走り出した。
銃を撃ってくるがなんとなく空気の流れで避ける。
なんで避けられるんだよ!?
原作で絶対ピチュッたと思った弾幕を難なくクリアした気分だ。
とりあえずはこの奇跡が効いているうちに戦車の下まで行かないと。
行く手を阻む兵士どもをばっさばっさと抉る。
銃弾は鱗で、時折俺を貫いてくる奴は吸血鬼になって回復する。
まさかこんな感じで吸血鬼を使うとは思わなかった。
吸血鬼で無双したい気分だがそれは戦闘が夜まで続いたらにしよう。
猪突猛進ならぬ竜突猛進していたら戦車の姿が見えた。
アイツを無力化すれば進軍スピードは確実に落ちる。
「正邪ァ!」
思いっきり叫んで能力の発動を指示する。
「猫辰! この戦車は結界を張ってる! 能力が通用しない!」
「能力が…通用しない?」
計算外だった。
いや、計算していなかったって言った方が正しいかな?
逆に今まで俺はキトラの竜たちをただの雑魚とでも思っていたのか?
これでもエリートだ。
今生きているだけでも奇跡といえるだろう。
戦車は止まらない。
ゆっくりと、しかし刻々と近づいてくる。
「くそったれが!」
俺は力任せに戦車の履帯を抉る。
それでも傷1つ付かなかった。
正邪も上空で弾幕を放っているが破壊には至っていない様だ。
八つ当たりで銃を撃ってきたキトラの竜たちを血祭りにあげる。
そのとき、戦車の砲塔が動いた。
いよいよ俺らのことが目障りになってきたらしい。
照準が正邪に合わせられる。
「正邪! 逃げろ!」
「は?」
次の瞬間、三半規管がおかしくなるような轟音と共に砲弾が撃ち出された。
それが10mしか離れていない正邪に当たらない筈がない。
その場には焼け焦げた人型の何かが落ちてきた。
逆によく原型を留めていたと思う。
「あぁ…ははは…」
俺は壊れたかのように小さく笑う。
戦友が、正邪が死んだ。




