一人の少女
荒れ果てた土地に空魔が一つ。その空魔の中から一人の少女が落ちてきた。
「ここはどこなの?」
戸惑うことに無理もない。十年の間空魔の中に少女はいたのだ。彼女の名前は森山愛衣。彼女はとある事情で空魔に飲み込まれたのだ。
「お母さん!!!いない………誰かいませんか!!!」
必死で叫ぶメイ。しかし、応答はない。諦めかけたそのときだった。
「お姉ちゃん、私についてきて。」
どこからか小さな女の子の声が聞こえた。そちらを振り返りると自分に似ているが自分より背の低い少女がいた。近づこうとするメイ。
「貴方は誰なの?教えて!この世界はどうなったの!?」
「私は、あなたの心。スピリットよ。この世界は荒れ果てた。私は貴方を守るためにあるわ。」
そう言い残してスピリットは光に包まれながらどこかへ消え去ってしまった。
「え?待ってよ!」
「どういうことなんだろう。」
メイがそうつぶやいた瞬間、何者かの咆哮が辺りに響いた。咆哮の正体は聖獣。光をまといながらメイのほうへ向かってくる。 どうしていいのかわからないメイ。すると、
「こっちよ!早く乗って!
見てみるとひとりの女性がトラックに乗って声をかけている。メイは走ってトラックに飛び乗った。追跡を続けてくる聖獣。その姿は太陽を追い求める北欧神話の狼、スコルのようだった。
「あいつは何者なんですか?」
「スコルよ。聖獣でもあり、私たちの敵よ。」
驚いた表情を浮かべるメイ。そうするといつの間にか聖獣スコルは追跡をやめていた。




