第4話 お受験戦争です!
お受験です。
教室に入ると、ものすごい数の魔族が座っていた。貴族っぽいやつも、平民の人も様々だ。
「私は…この席か。」
中央列の前から2番目の席だった。大学のような横長の机に6人ずつ座れるようになっている。
しばらくすると試験管が入ってくる。大学受験を思い出すなぁ…
試験管がプリントを配っていく。六枚まとめて机に置くと、なにかの魔法が発動し、自動的に自分の前にプリントが回ってきた。すげぇ…画期的だな。
「試験時間は90分、プリントの落丁などがあれば静かに手を挙げて申し上げてください。では…試験開始です。」
さて、一問目は…数学か。この世界では算術と呼ばれている。これが得意なものは魔法薬学など様々な魔法に関する職に就くことが出来る。日本でいう理系だ。だが。この世界には 国語、と言った文系科目はない。あるとしても、魔法陣の読解などだ。文字を使ったものは正しい詠唱の言葉を書けるかどうか…くらいだろう。
この算術のテストは…結構簡単だな。6歳の頃の俺でも解けるだろう。この試験見直した方がいいんじゃないか?
まだ30分くらいしかたってないが終わってしまった…。ヤベぇ…どうしよう。見直しももう10週したし…まぁ最後の10分でまた見直すんだけど、それでも50分…高校の授業1回分か…なげぇ。
これは…寝るか。いや、魔王の娘が寝てるのはやばいよな流石に。
日本にいた頃の曲脳内再生するか…
俺って歌下手だからなぁ…カラオケいっても馬鹿にされてたから一人でよく行ったなぁ…。この世界にカラオケとかあればいいのになぁ…そもそも魔界に歌があるのか?あっても地獄に連れていかれそうな歌とかだろうな。
そうこうしてる内に時間となった。
「そこまでです。ペンを置いてください。」
すると試験管がある魔法を唱える。
「リターン」だ。指定したものを自分のところに持ってくることが出来る。
すると試験管の前に答案の山が出来上がった。
それと同時に先ほどと同じように問題と答案用紙が配られる。
「続きまして、魔方陣読解のテストです。試験時間は60分となります。では、試験開始です。」
魔方陣理解は俺の一番得意な分野だ。そのせいで15分で終わってしまった。
そう言えば、最後の問題に、
好きに魔方陣をかけ。ただし、理論上成立するものしか認めない。
(ってあったけど…よし、残り時間全部使ってマジで書いてみよう。 召喚陣…もいいけど…そうだ!なんかこの前に載ってた魔法陣書くか!)
そう言って5分ほどで魔方陣を書き上げる。
(あとは…まだ結構時間あるなぁ…アレンジすっか!)
このとき、ハルが書いた魔法陣は超上魔法「スクリーム」
それをアレンジし、オリジナル魔法「天変地異」を作った。本来ならばものすごい大きさの魔方陣になるのだが、残り時間をフルに使って改良に改良を重ね、半径5cmで収めることが出来た。
(よし、出来た!我ながらいい出来だ。)
「試験終了です。ペンを置いてください。これから、お昼休憩50分挟んでから、実技試験となります。」
そう言って試験管は出ていった。
さて、今日は母さんがお弁当を作ってくれた。
前の世界でも母さんの飯はうまかったが、やはり母の手料理は異世界でも同じだな。ほんとに美味い。
昔から一人で食べるのが好きだった。何も友達がいなかった訳じゃない。ただ、一人の空間が好きだった。それだけだ。
「ご馳走様でした。」
そう言って弁当を片付ける。すると後ろから先程の二人が話しかけてきた。
「あの!さっきは本当にありがとう!」
「ありがとう…ございます…!」
二人は同時に頭を下げた。律儀だなぁ…
「いいっていいって!あ、試験どうだった?」
「今年はいつにも増して難しいってみんな言ってたし、私も難しかったから…自信ないなぁ…」
「私は…算術は何とか…でも、魔方陣読解はすごく難しかった。それに、最後の問題」
「あーあれ!自分で魔方陣かけとか無茶いうよね!出来るわけないのに!あれ出来た人っているのかなぁ…」
「う、うーん…どうだろうね。私も〜難しかったかな?」
なんか…ごめんね。簡単に解いちゃってごめんね?
簡単だったね!って言ったら恐らくこの部屋の全員の視線を集めることになっただろう。危なかった。
「あ!でも実技は自信あるよ!」
「私は…苦手…でも魔法だけなら。」
「流石に格闘とかはしないと思うけどね(笑)」
姉ちゃんと毎日話しているから女の子と話すのは慣れている。
すると、先程の試験管が入ってきた。
「時間になりました皆さん、第1闘技場に集合してください。」
みんなゾロゾロと移動していく。その時にルシルと合流した。
「ルシル〜!こっちこっち!」
「はぁ…元気ねぇあなた。試験はどうだったの?」
「ん?普通かなぁ?ちょっと難しかった!」
「そう、確かに今回の試験は難しかったわ。今年は受験者も多いから少し難易度を上げたようね。」
例年、1万人以上が受ける試験。その中から500人のみが選ばれる。狭き門だ。今年はその倍の人数が受けたそうだ。そりゃ難しくもなるよね。
そして俺たちは試験会場に到着した。
「ここが第1闘技場です。ここでは、魔力と剣術を審査します。受けるのは片方のみでよろしいですが、両方受けることも可能です。では、受けたい方の列に並んでください。」
この試験の合格点は80点だ。両方とも最高100点くれるが、例えば、魔法が苦手だけど、剣術で補いたい。という者がいれば、両方とも受けることができる。普通なら両方選ぶが、どちらかによほど自信があるものは、片方だけで合格点を狙う者もいるそうだ。俺は念の為両方受ける。
「ここは無難に両方かな?」
「私もそうするわ。あなた達は?」
「私も両方だね!」
「私は…魔法だけ…」
ほう、魔法のみに賭けるか。さっき武術は苦手って言ってたもんな。それしかないが…
「いいの?苦手でもちょっとは点数がプラスされるんだよ?」
「いい、魔法なら…誰にも負けない。」
おお!なんかカッコイイな!
「そう言えば、二人の名前聞いてないね。私はハル!こっちはルシルちゃん!」
「ちゃんは止めなさい…まぁいいわ。ルシルよ、よろしく」
「私はリン!」
「私は…ミラ…です。」
「リンちゃんにミラちゃんね!よろしく!」
そして、俺たちの番が回ってきた。
毎日投稿しないとまずいね…誰も見てくれなくなるね…頑張らないと!